第77話 逆に考える
俺たちは地下二階にやって来た。
ここも洞窟なのか。
周囲にはボス部屋の扉、上り階段、下り階段があるだけだ。
ドラゴンらしきものは見当たらない。
とすると、ここもボスがドラゴンみたいだな。
ここにいるのは、
では、ボス部屋を覗いてみようか。
中もいつも通りの広い部屋だった。
そして、その中央には円柱型の醤油差しに、筋骨隆々な人間の足が生えている化け物が立っていた。
身長三メートルくらい。
醤油差しは二メートル弱くらい。
注ぎ口の周囲は赤、他は透明なプラスチックのようなものでできている。
中は醤油のような黒い液体で満杯になっている。
足の部分は日焼けしたような肌色で、ムダ毛は生えていない。
靴は履いていない。
あいつが醤油ドラゴンなのか。
毎度のことながら、ドラゴン要素なさすぎるだろ!?
醬油要素はたっぷりあるけどな!
なぜアレでドラゴンを名乗っているのだろう?
まあ、そこはどうでもいいか!
さて、あいつはどんな攻撃をしてくるのだろうか?
足があるから、蹴り技を使ってくる可能性はありそうだ。
他は分からんな。
まあ、結局、逃げる準備をして、戦ってみるしかないか。
では、行こう。
部屋に入った。
いつものようにボスが増えた。
俺たちは扉を固定し、ボスに近付いた。
「人間ごときが何をしに来たショウユドラ」
醤油ドラゴンがそう言った。
「ラーメンの材料を手に入れるために来た」
「ほう、我が醤油を狙いに来たのかショウユドラ。愚かな人間どもだショウユドラ」
「やはりその醤油が材料なのか?」
「その通りだショウユドラ」
「それを分けてくれないか?」
「断るショウユドラ! いきなりそのような
醤油ドラゴンが襲ってきた。
醤油ドラゴンが体を傾け、横蹴りを放ってきた。
俺は後退して回避した。
その後、醤油ドラゴンは多彩な足技を連続で繰り出してきた。
まるで嵐のように激しい攻撃だ!
反撃する隙がない!?
くっ、こいつ強いぞ!?
どうする!?
って、おい、ちょっと!?
注ぎ口から醤油がこぼれまくっているぞ!?
あんなに激しく動くのに、注ぎ口を塞いでないのかよっ!?
もうほとんど醤油が残ってないじゃないか!?
これでは倒しても意味ないだろうが!?
どうしてくれるんだよっ!?
とりあえず、動くのをやめさせないと!
「おい! 醤油がこぼれているぞ! 戦いをやめるんだ!!」
「問答無用ショウユドラ! これをくらえショウユドラ!!」
醤油ドラゴンがムーンサルトキックを放った。
俺は後退して、かろうじて回避した。
その直後、醤油ドラゴンが爆発した。
えええええっ!!
なんで爆発するんだよっ!?
意味が分からないぞ!?
「同志、戦っていたらドラゴンが爆発したゲスッス!」
「シャワイヤーの方もか。俺のも爆発したよ」
「なんで爆発したゲスッスか?」
「分からん。サンクト原因を調べてくれ」
「ああ、良いぜ!」
サンクトが儀式を開始した。
「来たぜ! こいつは倒していないうちに、中の醤油がなくなると爆発するらしいぜ!」
「なんだそれは!? 面倒なヤツだな!?」
「奉納部位は頭頂部に張り付いている葉らしいぜ!」
「そんなのあったのか。身長が高くて見えなかったな」
「後、醤油差しは買い取ってもらえるらしいぜ!」
「そうなのか。あんなの巨大なものを何に使うんだろうな?」
醤油差しとして使うには不便そうだしな。
まあ、そんなのどうでもいいか。
「さて、どうやって醤油ドラゴンを倒そうか?」
「同志、おいらの炎であいつの注ぎ口や足を焼いてやるゲスッス!」
「えっ!?」
恐ろしい方法だな!?
だが、やってみる価値はありそうだ。
「分かった。それをやってみよう!」
「ボス部屋に突撃ゲスッス!」
俺たちはボス部屋に入った。
そして、すぐさま醤油ドラゴンたちに向けて炎を放射した。
「甘いわショウユドラ!」
「その程度の炎なんぞ、簡単に避けられるわショウユドラ!」
醤油ドラゴンたちにあっさりと避けられてしまった。
あいつら俊敏だな!?
そして、戦っているうちに、醤油がすべてこぼれてしまい、醤油ドラゴンたちは爆発してしまった。
「では、作戦を練り直そうか」
「そうじゃな」
「とはいえ、どうするか? あの速さでは攻撃は当たらなさそうだしなぁ」
「なんとか動きを止める手段はないゲスッスか?」
「うーん、そうだなぁ…… キュースト、ちょっとあいつらに能力を使ってみてくれよ」
「ええ~、面倒ッスよ~。どうせ効かないッスよ~」
「それは分からないだろ! やってみろって!」
「人使いが荒いッス~」
俺たちはボス部屋に入り直した。
そして、キューストに能力を使ってもらった。
残念ながら効き目がなかった。
仕方ないので、退却した。
「これもダメだったか」
「他に何か言い方法はないものかのう……」
「こうなったら、こぼれた醤油を空中でキャッチすれば良いんじゃねぇか?」
「えっ!? それは…… 意外と良い案かもしれないな」
発想を逆転したような感じだな。
「誰がやるのじゃ?」
「俺とシャワイヤーは戦う必要があるから、シチローとキューストだな」
「ええ~。面倒ッス~」
「だが、他にいないんだ。頼むよ!」
「仕方ないのう……」
シチローに保存容器を括り付けた。
キューストに保存容器を渡した。
そして、ボス部屋に入った。
俺とシャワイヤーは醤油ドラゴンと戦った。
その間、シチローとキューストは周囲を飛び回って、飛び散った醤油を集めた。
作戦は成功し、保存容器いっぱいの醤油を手に入れた。
それだけためるのに、二〇回戦ったがな。
ああ、疲れた……
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