第75話 地下一階のドラゴン

 一階でドラゴンという名の寸胴鍋狩りを続けた。


 爆発してばかりで苦労したが、なんとか材料を集め終えた。


 よし、では、次の階へ行こうか!



 地下一階にやって来た。


 ここも洞窟内部ような場所だ。


 長い通路が一直線に伸びている。


 そして、左右にボス部屋の扉がひとつずつある。


 あの中に麺ドラゴンとトッピングドラゴンがいるのだろう。


 では、部屋の中を覗いてみようか。


 まずは右の部屋からだ。



 中は広大な洞窟の一室だった。


 中央に高さ三メートルくらいの、作り物のアヒルのようなヤツがいる。


 あれがボスでドラゴンなのか?


 あいつもまったくドラゴンに見えないな。


 あいつは麺ドラゴンとトッピングドラゴンのどちらなのだろうか?


 サッパリ分からんな。


 そこは後でサンクトに調べてもらえば良いか。


 では、次は左の部屋も見てみよう。



 こちらも中は広大な洞窟だ。


 中央に剣道の頭用の防具が上に載っている、直径一メートルくらいの白い綿でできた球体がいる。


 あれもドラゴンなのか?


 あいつもドラゴンらしさは皆無だな。



 さて、どちらと戦おうか?


 結局両方と戦うことになるから、どちらでもいいか。


 では、綿のボスからにしよう。



 さて、あの綿のボスはどのような攻撃をしてくるのだろうか?


 まったく想像が付かないな。


 仕方ない、試しに一回戦ってみるか。


 念のため、逃げる準備もしておこう。



 俺たちはボス部屋の入った。


 ボスが一体増えていた。


 いつも通りだな。


 では、さっそく逃げる準備をしようか。


 俺たちはボス部屋の扉を勝手に閉まらないよう固定した。


 よし、これでいつでも逃げられる!


 では、戦おうか!


 俺たちはボスに向かって、一歩踏み出した。


 その直後、ボスの周囲に魚介ドラゴンたちと同じような寸胴鍋が多数出現した。


 そして、俺たちに向かって、いっせいに飛んで来た。


 俺たちは部屋の外まで逃げた。


 寸胴鍋は壁に激突し、爆発した。


 な、なんだよ、あれはっ!?


 なんでまた爆発する寸胴鍋が飛んで来るんだよっ!?


 このダンジョンを作ったヤツは、寸胴鍋に恨みでもあるのか!?


 逃げる準備をしておいて良かったな!



「では、作戦会議を開こう。どうやってボスを倒そうか?」


「そうじゃな。寸胴鍋を避けて接近するのはどうじゃ?」


「数が多いし、爆発するからなぁ…… 難しいと思うぞ。シャワイヤーは避けられそうか?」


「それは無理ゲスッス」


「そうか。なら、どうするか?」


「近付かずに倒すのである」


「そんなことを言われてもなぁ…… そういえば、スローライフオーラ魔法で光線を出せるんだったな。それを使ってみようか?」


「良いかもしれんな。ただ、その魔法はまったく使ったことがないじゃろ。試し撃ちをした方が良いと思うぞ」


「そうだな。やってみよう!」


「おいらもやってみるゲスッス!」


 俺とシャワイヤーはボス部屋に向けて、魔法を使用してみた。


 太さ一センチくらいの緑色の光線が一直線に飛んで行った。


 その後、何度か試してみた。


 どうやら光線の太さを変えられるうえに、複数同時に撃ち出すことも可能だということが分かった。


 これなら寸胴鍋を撃ち落とせるかもしれないな。


 よし、もう一度戦ってみよう!



 俺たちはボス部屋に入った。


 またボスの周囲に多数の寸胴鍋が現れた。


 今だ!


 俺とシャワイヤーは寸胴鍋目がけて、光線を発射した。


 光線はすべての寸胴鍋に命中した。


 そして、寸胴鍋は爆発した。


 よし、これでボスを攻撃できるな!


 って、ちょっと待て!?

 ボスが燃えているじゃないか!?


 爆発の際に引火したのか!?


 そして、ボスはそのまま燃え尽きてしまった。


 ええと、これは……


 ボスには勝ったけど、ラーメンの材料は手に入らないということなのではないか!?


 ちょっとサンクトに調べてもらおう!


 サンクトが儀式を開始した。



「おっ、来たぜ! 燃え尽きちまった今の状態じゃあ、ラーメンの材料にはならねぇらしいぜ!」


「やはりダメだったか……」


 まあ、完全に燃え尽きているしな。


「ところで、どこが材料になるんだ?」


「奉納部位以外の部分をすべて使うらしいぜ」


「こいつはラーメンの何になるんだ?」


「麺になるそうだぜ!」


「とすると、こいつが麺ドラゴンなのか。あれがどうやったら麺になるんだ!?」


「細かく切って、水を入れて練って、それを麺状に切って、ゆでるらしいぜ!」


「意外と普通なんだな!? とすると、調理する場所が必要か。まあ、それは後でいいか。では、こいつの奉納部位はどこなんだ?」


「防具と綿の間に、葉が挟まっているらしい、そいつが奉納部位だぜ!」


「挟まっているだけなのか?」


「ああ、そうらしいぜ! 防具を叩き落すと奉納部位も一緒に落ちるらしいぜ!」


「そうなのか。では、防具を攻撃する方法を考えてみようか」


 さて、どうしようか?


「爆発する前に攻撃するしかなさそうじゃねぇか?」


「麺ドラゴンは燃えやすそうなのである。爆発すれば引火する可能性が高いのである」


「確かにそうだな」


「そうじゃ! 寸胴鍋が飛んでくる前に石を投げ付けるというのはどうじゃ? スローライフの試練のおかげで、制球力は上がっておるじゃろ?」


「えっ!? 確かにうまくはなったなぁ」


「ならば、ここがその技術の使いどころじゃな!」


「そうだな。やってみようか!」


 まさかあの試練が役に立つとは思わなかったぞ!



 俺とシャワイヤーは石を拾って、ボス部屋に入った。


 そして、すぐさま石を投げた。


 石は防具に命中し、綿の上から落ちた。


 これで勝ったのかな?


 麺ドラゴンに近付いてみたが、寸胴鍋は出て来なかった。


 どうやら倒したようだ。


 攻略法が分かれば楽勝なんだな。

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