第55話 スタンプラリー?

 四日後。


 三階にたどり着いた。


 地図があるとはいえ、洞窟は広いし、け~びいんは大量に出て来るしで、苦労したなぁ。



 さて、窓口に行こう。


 また八番までの窓口があるみたいだな。


 どこにしようか?


 また一番でいいか。


 俺たちは窓口に向かった。


「すみません。この書類を提出するのは、ここでよろしいでしょうか?」


「はい、良いですよデアリマス。では、すぐに判子を押しますねデアリマス」


「おいらのも頼むゲスッス」


「かしこまりましたデアリマス」


 担当者が二枚の書類に押印した。


 判子には『まるち』と彫られているようだ。


 誰かの名前なのか?


 それとなぜか『ま』の文字だけが、他のものより大きい。


 またなのか。


 なんで頭文字だけ大きいのだろう?


 意味が分からんなぁ。


「次は三四階の窓口に提出してくださいデアリマス」


「えっ!? またですか!?」


「はい、またですデアリマス」


「もしかして、この押印欄の数だけ判子が必要なのですか!?」


「はい、その通りですデアリマス」


 えええええっ!?

 ということは、後八回も窓口に行かなければいけないのか!?


 め、面倒くさすぎる……


 というか、そろそろ持ってきた食料が底を突きそうなんだけど……


 補充して来ても良いのかな?


 質問してみた。


 問題ないらしいので、いったんここを出て準備を整えることにした。



 ダンジョンの入り口にやって来た。


 近くにあったお堂に、け~びいんたちの奉納部位を奉納した。


 一体、千よポイントだった。


 四四〇体分あったので、俺とシャワイヤーは二二万よポイントずつ手に入れた。


 もうかったなぁ。


 まあ、その分面倒だったけどな。



 さて、魔法を購入しようか。


 長期戦になりそうだし、アイテムボックスの容量を拡張しておきたいところだな。


 探してみようか。


 ディディのアイテムボックスの数が増える。

 ディディのアイテムボックスの大きさが増す。


 このふたつが十万よポイントで売っているぞ。


 高いけど、必要だろう。

 購入しよう。



 よし、購入したぞ。


 ディディにアイテムボックスを見せてもらおう。


 大きさは幅、奥行き、高さが二メートルくらいになった。


 数は三五箱に増えた。


 これだけあれば、食料を大量に買い込んでも問題ないだろう。



 後は水だな。


 あれを買うとかさばるからなぁ。


 何か良い魔法はないかな?


 そういえば、水がコップ一杯分出るマトモ系魔法があったな。


 購入しておこうか。


 百よポイントで水魔法を購入した。


 よし、これで長期戦でも問題ないだろう。


 では、町に行こう。



 ビビカフ町に戻り、買取所に向かった。


 け~びいん一体分が二万ジカァで売れた。


 俺とシャワイヤーは四四〇万ジカァずつ手に入れた。


 その後、必要なものを買い、宿で一泊した。



 次の日。


 俺たちは再びスローライフ許可証のダンジョンにやって来た。


 さあ、今回こそクリアしてやるぜ!


 よし、行くぞ!!


 俺たちは襲ってくるけ~びいんたちを蹴散らしながら、三四階に向かった。



 四日後。


 ようやく三四階に着いた。


 では、判子をもらおう。


 俺たちは一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『さいばー』と彫られていた。


 そして、なぜか『さ』の文字だけが、他のものより大きかった。


 またなのか。


 なんの意味があるのだろうか?



 次は一一階の窓口に行けと担当者に言われた。


 今度は一一階か……


 なんでわざわざ移動距離が長くなるようにしているんだ?


 三階に行ってから、一一階に行った方が良いのではないか?


 意味が分からんな。


 まあ、今更文句を言っても仕方ないか。


 金とよポイントは稼げているから、大目に見よう。


 では、行こうか。



 三日後。


 俺たちは一一階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『れんこん』と彫られていた。


 なぜか『れ』の文字だけが、他のものより大きかった。


 次は二七階の窓口に行けと言われたので向かった。



 二日後。


 俺たちは二七階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『たんぼ』と彫られていた。


 なぜか『た』の文字だけが、他のものより大きかった。


 次は四階の窓口に行けと言われたので向かった。



 三日後。


 俺たちは四階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『なっとう』と彫られていた。


 なぜか『な』の文字だけが、他のものより大きかった。


 次は三三階の窓口に行けと言われたので向かった。



 三日後。


 俺たちは三三階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『まるぼうず』と彫られていた。


 なぜか『ま』の文字だけが、他のものより大きかった。


 次は二階の窓口に行けと言われたので向かった。



 四日後。


 俺たちは二階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『ぬふぉふぇ』と彫られていた。


 ぬふぉふぇ!?

 どういう意味なんだよっ!?


 しかも、また『ぬ』の文字だけが、他のものより大きいぞ!?


 これはいったいなんなのだろうな?


 次は二九階の窓口に行けと言われたので向かった。



 三日後。


 俺たちは二九階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『けち』と彫られていた。


 なぜか『け』の文字だけが、他のものより大きかった。


 次は一六階の窓口に行けと言われたので向かった。



 二日後。


 俺たちは一六階に着いた。


 一番窓口へ行き、押印してもらった。


 今度の判子には『めし』と彫られていた。


 なぜか『め』の文字だけが、他のものより大きかった。



 よし、これですべての押印欄に、判子を押してもらったぞ!!


 この後はどうすれば良いんだ?


 窓口の担当者に聞いてみた。


 次は一階の窓口に行けと言われた。


 また移動するのかよっ!?


 まあ、いい、これが最後だ!


 さあ、行こうか!!



 二日後。


 俺たちは一階に戻って来た。


 そして、一番窓口へ行って、書類を提出した。


 これでようやくスローライフ許可証の入手方法が分かるのか。


 ああ、長かったなぁ。


 その苦労もようやく報われるのか。


「ふむ、残念ですが、これは受理できませんねデアリマス」


 担当者にそう言われた。


「ええっ!? なんでだよっ!?」


「どういうことだゲスッス!?」


「この判子は、かなり精巧に作られた偽物ですねデアリマス」


 な、なんだってぇぇぇぇぇっ!?

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