第51話 不協和音

 俺とシャワイヤーで白いローブのシレモンを三体ずつ倒した。


 こいつらの奉納部位は、白い目出し帽らしいのではぎ取った。


 すると、その下に黒い目出し帽をかぶっていた。


 なんでだよ!?

 なんで二枚もかぶっているんだよっ!?


 意味が分からんな!!


 まあ、そんなのどうでもいいか!


 他は手斧が買い取ってもらえるらしいので回収した。


 さて、先に進むか。



 このダンジョンも迷路になっているようだ。


 分かれ道がたくさんあって、入り組んでいるなぁ。


 仕方ない、地図を作りながら進むか。



 広い廊下を歩いて行くと、前方の天井に大きなシャンデリアが大量に吊り下げられていた。


 幅一五〇センチくらい。

 下部に大量のトゲが付いている。


 なんだあれは!?


 殺意の高いシャンデリアだな!?


 落ちて来る気満々じゃないか!?


 だが、あれでは目立ちすぎだろ!?


 罠としてはお粗末だな!


「人間がいたダベダ!」


 前方に白いローブのシレモンたちが現れた。


 数は八体いる。


「ぶち殺すダベダ!」

「死ねダベダ!」


 シレモンたちは俺たちに向かって来た。


 そして、シャンデリアの下に差し掛かった。


「ぎゃあああああああああっ!!!」


 すべてのシャンデリアが落ちて来て、シレモンたちが全員下敷きになった。


 何をやっているんだ!?


 なんでお前らが引っかかっているんだよっ!?


 自分たちの住んでいるダンジョンだろ!?


 罠の位置を把握していないのかよっ!?


 間抜けすぎるだろ!?


 まあ、どうでもいいか!!


 さて、後始末をしよう。


 奉納部位と手斧を回収した。


 さらにシャンデリアの買い取ってくれそうな部分も回収しておいた。


 では、先に進もうか。



「むっ、人間がいるダベダ!」


 しばらく進んで行くと、また前方に白いローブのシレモンたちが現れた。


 数は一二体いるようだ。


「突撃ダベダ!!」


 シレモンたちが襲いかかってきた。


「ぐああああああああああっ!!!」


 そして、落ちていった。


 そんなところに落とし穴があったのかよっ!?


 全然気付かなかったぞ!?


 こいつらのおかげで助かったな!


 ありがとう、白いローブのシレモンたち!!


 では、後始末をしようか。


 落とし穴の中に入って、奉納部位と手斧を回収した。


 では、先に進もうか。



 その後も、槍の生えてくる床やトゲの付いた吊り天井などの殺意の高い罠がいろいろとあったが、すべて白いローブのシレモンたちが引っかかってくれたおかげで、俺たちは無事に進むことができた。


 見事な空回りっぷりだな。


 このダンジョンは本当に難しいのだろうか?


 だんだん疑わしくなってきたぞ。



 さらに進むと、下り階段を発見した。


 デザインは他と同じだ。


 俺たちは階下に向かった。



 地下一階にやって来た。


 周囲は土や岩で構成された、洞窟の内部のようになった。


 前方にはボス部屋が見える。

 他は上り階段しかない。


 これってダンジョンの最奥の構成だよな。


 ということは、このダンジョンって、もう終わりなのか!?


 ちょっと短すぎないか!?


 いや、決めつけは良くないか。


 ここが最奥とは決まってないよな。


 まあ、なんであれとりあえず、ボス部屋を覗いてみようかな。


 俺は扉を開けた。



 中は他のダンジョンと同じ広大な洞窟の一室だった。


 その中央に、人間用のギロチンが置いてあった。


 あれがここのボスなのか?


 どんな攻撃をしてくるのだろうか?


 あのギロチンの刃を飛ばしてくるのだろうか?


 可能性はありそうだ、注意しておこう。


 では、行こうか。



 部屋に入ると、ギロチンが二台になった。


 やはりあいつがボスのようだ。


「フハハハハッ、よくぞ来た人間どもギギロロ!」


 ギロチンが話しかけてきた。


「さあ、この穴に頭を入れてみよギギロロ!!」


「えっ!? お断りします!」


 入れるわけないだろ!?


 首を切断されるじゃないか!?


 何を言っているんだ、こいつは!?


「入れると面白いぞギギロロ! さあ、やってみるのだギギロロ!」


「お断りだっての!」


「ならば、入れてくれたら、この汚れがよく落ちる洗濯用洗剤をプレゼントしようギギロロ! どうだ、入れてくれないかギギロロ!?」


 二台のギロチンの前に『ヨゴ・レオチマークル洗濯用洗剤』と書かれた箱がひと箱ずつ出現した。


「お断りに決まってんだろ!?」


 そんなものに釣られると思っているのか!?


「仕方ない、大サービスだギギロロ! もうひと箱追加しようギギロロ! これでどうだギギロロ!!」


 二台のギロチンの前に先程と同じ箱が、もうひと箱ずつ現れた。


「だから、いらないっての!! もういい! シャワイヤー、攻撃するぞ!!」


「了解ゲスッス!」


 俺とシャワイヤーは突撃した。


 そして、俺はスローライフオーラ魔法の剣でギロチンを斬り付けた。


「ぐああああああっ!! バ、バカな俺様の完璧な作戦が……」


 ギロチンがしゃべらなくなった。

 どうやら倒したようだ。


 ところで、いったいどこが完璧なのだろうか!?


 欠陥しかなかったように思えるぞ!?


 まあ、いいか。


「同志、倒したゲスッス!」


 どうやらシャワイヤーの方も終わったようだな。



 さて、後始末をしようか。


 ギロチンを神鑑定してもらった。


 奉納部位はギロチンの刃だそうだ。


 他の部分は買い取ってもらえないらしい。


 ついでに洗剤も神鑑定してもらった。


 どんな汚れでも、よく落ちるというのは本当らしい。


 しかも、洗濯物は痛まないし、消臭力にも優れるらしい。


 さらに使い方は適量を入れるだけで、とても簡単なのだそうだ。


 そいつはすごいな!!


 これは院長へのお土産にしようか!

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