第48話 情報を求めて
孤児院に帰って来た。
院長にお土産の肉を渡した。
ウマァ・ニー・クゥというシレモンは美味しいらしく、とても喜ばれた。
さっそく夕食に使うそうだ。
そいつは楽しみだな!
寝室にやって来た。
「では、今後の話し合いをしようか」
「うむ、今回のダンジョンは奇妙な経験ができたのう」
「ああ、あんな訳の分からない手を使ってくるヤツもいるんだな」
「シレモンはいろいろいるのである」
「そうだな。さて、これでスローライフ邪魔し隊と戦っていけるのだろうか?」
「そもそも連中は、どのくらいの強さなのじゃろうな?」
「そうだな。資料室に情報はなかったしなぁ」
「結局そこが分からないと、どこまで鍛えたら良いのか分からないゲスッス!」
「それなら誰かに聞いてみれば良いんじゃねぇか?」
「そうだな。では、人生の先輩方に聞いてみようか。まずは院長のところに行ってみよう」
台所にいた院長に聞いてみた。
「そうだねぇ…… スローライフ邪魔し隊の強さについては、私もよく知らないから何とも言えないねぇ」
「そうなんですか」
「とりあえず、教師にでも聞いてみたらどうだい?」
「そうですね。そうしてみます」
「ああ、それから、もうすぐ夕飯だからトレットを呼んで来てくれるかい?」
「分かりました!」
今日の夕飯は、ウマァ・ニー・クゥの炒め物とスープだった。
ちょっと硬かったが、肉のうま味がたっぷり詰まっていて、とても美味しかった。
次の日。
学校の廊下にいた先生に聞いてみた。
「スローライフ邪魔し隊についてか。私もよく知らないな」
「そうですか……」
「ああ、連中の存在自体は有名なのだが、戦力についての情報はまったく出回らない。おそらくなんらかの手段で、情報を隠蔽しているのだろう」
「そうなんですか」
くそっ、面倒なことをしやがって!
「だが、あそこになら情報があるかもしれない」
「えっ!? どこにあるのですか!?」
「『情報系ダンジョン』と呼ばれているダンジョンがある。その最奥でボスを倒すと、記念品として情報が手に入る」
「そこなら何か分かるかもしれないわけですか?」
「そうだ。最寄りのダンジョンを教えよう、行ってみると良い」
「はい、分かりました!」
場所を教えてもらった。
町からそんなに離れてはいないところにあるようだ。
「ところで、そこは何階まであるのですか? どんなシレモンがいるのですか?」
「確か地下四階が最奥で、鳥のようなシレモンがいたと思うが、試練の多面体の日の影響で変わっているかもしれない」
「えっ!? 試練の多面体の日って、そんなことも起こるのですか!?」
「毎回ではないが、起こることがある。準備は念入りにしておけ」
「分かりました」
おのれ、邪神め!
面倒なことをしやがって!
「ああ、それからよポイントをためて、魔法を購入した方が良い。さまざまな状況に対応できるようにな」
「分かりました。ありがとうございます」
では、次の目的地はそこに決定だ!
その後、準備をして孤児院に戻った。
次の日。
俺たちは先生に教えてもらった場所にやって来た。
そこには森に囲まれたログハウスみたいな建物があった。
入り口近くにモヒジ・カンゾウのお堂もある。
ここが情報ダンジョンみたいだな。
では、行こうか。
中に入った。
ここも学校のダンジョンのような洞窟なんだな。
ただ、所々に木が生えているという違いがあるけどな。
あの木はなんのために生えているのだろうか?
まあ、どうでもいいか。
進むとしよう。
このダンジョンは迷路になっているようだ。
かなり入り組んでいて、地図を作らないと迷ってしまいそうだ。
仕方ない、やるか。
アイテムボックスから筆記用具を取り出し、作成しながら進んだ。
「さえずり~、さえずり~」
さっきから木の枝にいる鳥のような姿の小さな青い生物が、変な鳴き声を上げているぞ。
なんだこの奇妙な鳴き声は?
何か意味があるのか?
よく分からんなぁ。
まあ、襲ってくるわけでもないし、放置しておくか。
な、なんだあれは!?
前方から青いダチョウのような生物が走って来たぞ!?
あいつがここのシレモンなのか!?
「オラァァァァァッ!!!」
青いダチョウが野球ボールくらいの大きさの、白い石のようなものを投げ付けてきた。
俺たちはそれを回避した。
その後、青いダチョウは一目散に逃げて行った。
なんだあいつは!?
これがあいつの戦法なのか!?
セコイ戦法だな!
「ハヤトよ、あやつの投げたものに何か書いてあるようじゃぞ」
「えっ?」
俺は投げ付けられたものを拾って調べてみた。
そこには『取るに足らない情報』と黒い文字で書かれていた。
なんだこれは?
なんの意味があるのだろうか?
まったく分からなかったので、神鑑定をしてもらった。
特に意味のないものだそうだ。
当然、買い取ってもらえないし、よポイントにもならないらしい。
なら、これは捨てておこうか。
では、先に進もうか。
その後も、たびたび青い鳥類が現れ、白い石を投げ付けて逃げて行った。
石には『いいね』という文字や『クソ』という文字と『人間の唇』の絵が描かれていた。
なんなんだ、これは!?
あいつらは、いったい何がしたいんだ!?
ここも訳の分からんダンジョンだな!?
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