第46話 仕掛けにはかからなかったけど大漁
獣頭と鳥頭の骸骨を倒しまくっているのだが……
「人間クセェぞオイコラァ!」
「誰だ、この人間臭いものを入れたバカはテメェオラァ!」
スープの中から、次々とおかわりが出て来るぞ!?
いったい何体いるんだよっ!?
「ハヤト、あの釣り竿を入れっぱなしなのが悪いんじゃねぇか!?」
サンクトに指摘された。
そういえば、そうだったな!?
「確かにそうかもしれない! 回収するぞ!!」
「分かったゲスッス!」
俺とシャワイヤーは釣り竿を回収した。
すると、おかわりは来なくなった……
「クセェ、人間クセェぞオイコラァ!!」
「人間臭すぎるぞテメェオラァ!!」
なんてことは起こらなかった。
世の中はそんなに甘くはないようだ。
その後も、しばらくの間、おかわりが出続けた。
俺たちは骸骨を倒しまくった。
そして、ようやくすべての骸骨を倒し終えた。
な、なんとかなったか……
ああ、疲れた……
こいつらは単体は弱いけど、集団で襲ってくるタイプだったみたいだな。
苦労したが良い経験にはなった。
では、後始末をしようか。
獣頭の骸骨は上の前歯、鳥頭の骸骨は下くちばしが奉納部位らしいので集めた。
骨の他の部分は買い取ってもらえないそうなので放置した。
さて、この後はどうしようか?
帰るか?
それとも最奥のボスと戦ってみるか?
みんなの意見を聞いてみようか。
「経験を積むためにも戦った方が良いと思うのじゃ」
「そうだな、俺君もそう思うぜ!」
「それに賛成なのである」
「え~、面倒なんでさっさと帰りましょうよ~」
「スローライフのために戦うゲスッス!」
「賛成多数のため、戦うことに決定だな。では、ちょっと休憩したら、先に進もうか」
その後、地下三階を探索し、下り階段を発見した。
地下四階にやって来た。
ここは学校のダンジョンの地下四階と同じような構成だ。
それなりの広さの洞窟に、ボス部屋と上り階段があるだけだ。
最奥はどこもこんな感じなのかもしれないな。
では、ボス部屋を覗いてみようか。
俺は扉を開けた。
な、なんだこれは!?
広大な洞窟の一室に、多数の白い
握り部の形状は丸型で、大きさは日本の電車に使われているものと同じくらい、高さ一メートルくらいの位置にある。
ベルトの部分は異様に長く、かなり高い位置に取り付けられているようだ。
こいつらがボスなのか!?
いったいどんな攻撃をしてくるんだ!?
想像が付かなさすぎる!?
ちょっとみんなと相談してみよう。
「では、ボス対策会議をしようか。皆さん遠慮なく意見をどうぞ」
「正直、何をしてくるのか想像も付かんのう」
「ああ、あれは訳分かんねぇな! そうだ、ここは俺君が神鑑定をしてやろうか?」
「そうだな。では、頼むよ」
「よっしゃっ! じゃあ、いくぜ!!」
サンクトが儀式を開始した。
「では、話し合いを続けようか」
「情報がなさすぎるのである。ここはいつでも逃げられるようにしつつ、戦ってみて情報を集めるのである」
「なるほど、それも良いかもしれないな」
「面倒だから帰るというのも手だと思うッスよ~」
「経験を積みたいし、逃げ帰るのは最終手段だな」
「ここは突撃しかないゲスッス! 弱気になってちゃスローライフはできないゲスッス!!」
「うーむ、結局ぶつかってみるしかないのかな?」
さて、どうするかな?
とりあえず、儀式が終わるのを待つか。
「おっ、来たぜ! 残念ながら、たいした情報はもらえなかったけどな」
「何をもらったんだ?」
「『ひ・み・つ』だそうだぜ!」
「本当にたいしたものじゃないな! ケチな邪神だ!」
「まったくだぜ!!」
結局ぶつかってみるしかなさそうだな。
「では、試しに戦ってみるか。もちろん、逃げる準備は万全にしてな」
「分かったゲスッス!」
「よし、行くか!」
俺たちは部屋の中に入った。
そして、扉を全開まで開けて、勝手に閉まらないように、その辺に落ちていた石で固定した。
これで逃げる準備は万全だな。
多分。
では、ボスに近付いてみようか。
……かなり近くまで来たのだが、なんの反応もないな。
どういうことだ?
こいつは飾りなのか?
ちょっと触ってみようか?
俺は指先で輪を突いてみた。
……何も起きないな。
いったいどういうことなんだ?
何をすれば倒したことになるんだ?
よく分からんボスだな。
「こやつはボスではないのかもしれんのう。ハヤトよ、室内をくまなく探してみるのじゃ」
「分かったよ」
俺たちは部屋の中を回ってみた。
変わったものは見当たらないな。
学校のダンジョンのボス部屋と比べると、落ちている岩の量がちょっと多いかなというくらいだ。
残るは上か、調べてみよう。
天井は所々が白く光っている。
そして、吊り革が直接垂れ下がっているようにも見えるが、距離があるせいでハッキリとは分からないな。
ここはシチローに見て来てもらおうか。
シチローが上空に向かって行った。
「ハヤトよ、天井に戸が付いておって、これを引くと開く仕組みになっておるぞ。ボスはそこに隠れているのかもしれんな」
「そうなのか。なら、引いてみようか」
「うむ、十分注意するのじゃぞ」
「ああ、分かったよ」
俺は吊り革を引っ張ってみた。
「痛っ!?」
なぜか吊り革が外れて落ちて来た。
そして、俺の頭にぶつかった。
なんだこれは!?
まさかこれがボスなのか!?
調べてみたが違うようだ。
くそっ、ここのボスはいったい何がしたいんだ!?
訳が分からんぞ!?
さっさと出て来て、正々堂々勝負しやがれ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます