第39話 その占いは当てになるのか?

 おっ、宝箱部屋を発見したぞ。


 この階は、ここにあるんだな。


 しかも、扉の前に白いローブの人と腰蓑の人がいる。


 ふたりで宝箱部屋に入るつもりなのだろうか?


「あっ、揚げ物の人だ! あたしたちここに入るんだけど一緒に行かない?」


 腰蓑の人に誘われた。


 やはり入ろうとしていたのか。


「ワタシの今日の運勢を占ったところ『アポカリプス・ゴールデン・ダ・イ・キョ・ウ』という結果が出ました。きっと素晴らしいことが起きますよ」


 白いローブの人が妙なことを言い出したぞ!?


「なんだ、その運勢は!? 意味が分からんぞ!? いったい何占いをしたんだよ!?」


「ワタシの『秘奥義黒魔術占術魔法』で、そのような結果が出たのです」


 なんだその訳の分からん魔法は!?


 奥義なのか、魔術なのか、術なのか、魔法なのか、ハッキリしろ!!


「悪いことが起こりそうに聞こえるのだが大丈夫なのか?」


「そうじゃな。ろくなことにならなさそうじゃぞ!」


「この世の終わりレベルの大凶という意味にも取れるのである」


「問題ありません。前に『カタストロフィ・カラミティ・デッドエンド・激辛豚骨ラーメン・つゆだく』という結果が出た時は、乾燥うどんが当たりましたから、今回もきっと良いものが出ますよ!」


 なんだそりゃぁっ!?


 つゆだくなのに乾麺が出たのか!?


 まったく当てにならん占いだな!?


「さあ、行きましょう! 素晴らしき未来のために!!」


「なんか楽しそうだよ! 行こう、行こう!!」


「同志、入ってみるゲスッス! 良いものを入手するゲスッス!!」


「はいはい、分かったよ。仕方ないなぁ」


 俺たちは中に入った。



 宝箱部屋に入った。


 ここも中は何もない空間なんだな。


 天井、壁、床はホテルと同じ材質だけど。



 中央までやって来た。


「何が起こるのかな~? 楽しみだね~!」


「良いことに決まっていますよ! ワタシの魔法を信じるのです!!」


 白いローブの人と腰蓑の人はとても楽しそうだな。


 占いはまったく信じられないけどな!!


 さて、何が起こるのやら?



 うわっ、突然部屋が暗くなったぞ!?


 周りが全然見えない!?


 なんだこれは!?

 宝箱部屋の演出なのか!?


「なんか暗くなっちゃったね~」


「これは大当たりの演出の一環でしょう!」


「そうなのか!?」


「ワタシの占いに間違いはありません! おおっ、神よ、ありがとうございます!!」


 それが一番ウサンクサイのだがな!!



 ぐあっ!?

 いてぇっ!?


 頭に硬いものがぶつかったぞ!?


 何かが落ちて来たようだ!?


「ぐげぇっ!!」


「きゃあっ!!」


「痛いゲスッス!?」


 みんなにも何かが落ちて来たのか!?



 おっ、明るくなったぞ!


 いったいあれはなんだったんだ!?


 みんなは無事なのか!?


 確認しないと!


「みんな大丈夫か!?」


「おいらは無事ゲスッス。ちょっと痛かったくらいゲスッス」


「ワシらも無事じゃぞ」


「そいつは良かった!」


「ハヤトの兄さんは大丈夫ッスか~?」


「問題ない。衣魔法のおかげで、あまり痛くもなかったからな。ところで、他のふたりは!?」


「ハヤト、そこで倒れているぜ!」


「ええっ!? おい、大丈夫か!?」


「……………………」


 返事がない。

 どうやら気絶しているようだ。


 仕方ない、部屋の外に連れ出そうか。



 そういえば、何がぶつかったのだろうか?


 ん?

 金色の金ダライが落ちているぞ。


 直径一メートル、深さ二〇センチくらいある大型のタライだ。


 しかも、四つもある。


 これが俺たちの頭に落ちて来たみたいだな。


 今回のイベントは、これなのか。


 くだらなさすぎるぞ!?


 しかも、全然当たりではないな……


 いや、待てよ。

 そもそもこれは何でできているのだろうか?


 まさか純金じゃないだろうな!?


 もしそうなら、大当たりじゃないか!?


 いや、それは早計か。

 この世界の金の相場が分からないからな。


 とりあえず、ふたりを運んで、その後に神鑑定してもらおう。



 ふたりを部屋の外に出して、仰向けに寝かせた。


 ふたりの金ダライは近くに置いておいた。


 よし、これで問題ないだろう。


 では、サンクトに神鑑定をしてもらおう。


「分かったぜ!」


 サンクトが儀式を開始した。


 さて、そろそろ腹が減ってきたし、飯にしようか。


 今回の缶詰は『エリンシシと野菜たっぷり雑炊』だそうだ。


 では、いただきます。


 キノコの雑炊のような感じだ。

 うん、なかなか美味しい。


 食べている最中に、どこからともなくクゥーネが現れて、凝視された。


 ああ、やれやれだな。



「おっ、来やがったぜ!」


「どんなものが来たんだ?」


「このタライは純金ではないらしいぜ。売ったら五万ジカァになるらしいぜ!」


「五万か。分かったよ。ありがとう」


 結構高く売れるじゃないか!


 当たりではあるな!


 よし、持って帰ろう!


 あっ、そういえば、アイテムボックスはもう満杯だったな。


 仕方ない、手で持つか。


 タライを持ったまま、ダンジョン探索か。


 なんだかマヌケだなぁ。


 まあ、仕方ないか。



 なんだか眠くなってきたな。


 そろそろ寝ようか。


 どこで寝ようかな?


 おっ、ロビーに高級そうな白いふたり掛けのソファが置いてあるぞ。


 あれの上で寝ようか。


「お客様、よポイントも払わない分際でソファを使わないでくださいねアルティメットニャンモスッスス。そこで寝たらおしおきですよアルティメットニャンモスッスス」


 突然従業員のシレモンが現れて注意された。


「わ、分かったよ」


 ケチだなぁ。


 まあ、仕方ないか。

 寝具を出して寝るとしよう。

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