第38話 語尾が長すぎる
休憩部屋の前にやって来た。
部屋というよりビルだけどな。
おっ、他のみんなも集まっているようだな。
「全員集合したようだな。では、中に入るぞ」
先生がそう言って、中に入って行った。
俺たちもそれに続いた。
おおっ、こいつはすごい!
中も豪華なんだな!
高級ホテルのようなエントランスホールだ!
今日はこんなところに泊まれるのか!
素晴らしいぞ!
「いらっしゃいませアルティメットニャンモスッスス」
従業員と思われる変態に声をかけられた。
身長二メートルくらい。
筋骨隆々の男性体型。
白人のような肌をしている。
背中に一対の白い天使のような羽がある。
目の部分に穴の開いた茶色い紙袋をかぶっている。
穴が開きまくっているボロボロの白いタンクトップと、茶色いハーフパンツを身に着けている。
裸足。
こんな姿をしている。
なんだこいつは!?
場に似つかわしくない格好をしているな。
まあ、俺も人のことは言えないけどな!!
それとなんだあの語尾は!?
一一文字ランクなのか!?
突然増えまくったな!
なんでこんなのがいるんだ!?
「料金は一千万よポイントからとなっておりますアルティメットニャンモスッスス」
よポイントを払わなければいけないのか!?
高すぎて払えないぞ!?
「生徒諸君、こんなことを言っているが、エントランスホールを使うだけなら無料だ」
「では、料金を払った場合はどうなるのですか?」
「払った者がいないため正確なことは分からんが、おそらく個室に泊まれるのだろう」
いないのかよっ!?
まあ、あの額では仕方ないけどな。
「それから昨日も言ったが、ここでは戦闘行為は禁止だ。くれぐれも早まった真似をしないように」
「やはりそこの従業員は強いのですか?」
「誰も戦ったことがないので不明だ。ただ、他の一一文字ランクのシレモンは、すさまじく強いというウワサは聞く」
「そうなんですか。なんで急にランクの高いシレモンが現れたのですか?」
「そこは不明だ。ダンジョン内では、こういうこともあると思っておくように」
「分かりました」
勉強になるなぁ。
「ちっ、貧乏人かアルティメットニャンモスッスス。相手をして損したアルティメットニャンモスッスス」
従業員のシレモンが悪態をついて立ち去って行った。
なんだあいつは態度が悪いな!?
ろくでもないヤツだ!!
従業員教育をちゃんとやれよ!!
「それでは、本日の授業はここまでだ。各自休息を取ってくれ。この建物からは出ないように」
「分かりました。お疲れ様でした」
さて、これからどうするかな?
半魚人を食べすぎたせいで、あまり腹は減っていないし、眠くもないから、この中を見て回ろうかな?
では、行こうか。
おや?
受付の奥に『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた片開きの扉があるぞ。
あそこはスタッフルームなのかな?
「むむむ、手強いな……」
しかも、その扉の前にギターの人と泥棒っぽい人がいた。
どうやら鍵を開けようとしているようだ。
部活熱心なヤツだな。
「困りますねぇ、お客様アルティメットニャンモスッスス。そこは立ち入り禁止ですよアルティメットニャンモスッスス」
うわっ、突然従業員のシレモンが現れたぞ!?
まるで瞬間移動のようだ!?
あれが一一文字ランクの実力なのか!?
「お客様、ご存じですかアルティメットニャンモスッスス? ここは戦闘行為は禁止ですが、おしおきなら戦闘行為にならないのですよアルティメットニャンモスッスス」
そうだったのか。
それにしても、語尾が長すぎてうっとうしいな。
「というわけで、おしおきですアルティメットニャンモスッスス! 『セイクリッド・ソリッド・サテライト・ディザスター』アルティメットニャンモスッスス!!」
従業員のシレモンがそう言うと、ギターの人と泥棒っぽい人の真上から金色の大きな金ダライが落ちて来た。
「ぐああああああっ!!!」
「ぎゃあああああっ!!!」
金ダライがふたりに直撃した。
あれは痛そうだな。
「これに懲りたら、もう二度としないでくださいねアルティメットニャンモスッスス」
従業員のシレモンがそう言い終えた瞬間に消えた。
また瞬間移動したのか。
すごいもんだな。
あのふたりは大丈夫かな?
声をかけてみるか。
「お~い、大丈夫か~?」
「……………………」
返事がない。
ふたりとも気絶しているようだ。
これはどうしようか?
仰向けにして、その辺に寝かせておけば良いか。
どうせこの中で寝る予定だしな。
そういえば、あの金色の金ダライはどこに行ったのだろうか?
周辺には落ちてないな。
あれは魔法のタライで、役目を終えたら消えてしまうのかな?
よし、寝かせ終えた。
他の場所に行こうか。
おっ、あれはモヒジ・カンゾウのお堂だな。
ここにもあるのか。
今日手に入れたものを奉納しておこうか。
巻貝が一個一〇よポイント。
半魚人のヒゲと、ヤシの木の赤い鱗がひとつ一〇〇よポイントだった。
「今回は奉納一発ギャグをしないのかい?」
爆弾の人に話しかけられた。
「うむ、今回はなしじゃ。何も思い付かんからのう」
「それは残念だね。またあの素晴らしい一発ギャグが見れると思ったのに」
「また次の機会にじゃな」
「楽しみにしているよ。ああ、それにしても、あの一発ギャグは素晴らしかったね。とても斬新で画期的で……」
爆弾の人がまたギャグを褒め出した。
しかも、また導火線に火がつきやがったぞ!?
簡単に火がつきすぎだろ!?
退避しないと!?
「お客様、爆発は困りますアルティメットニャンモスッスス。これはおしおきですねアルティメットニャンモスッスス」
「ふぎゃあああっ!!!」
金色の金ダライが爆弾の人の頭頂部に直撃した。
爆弾の人は倒れた。
ついでに導火線の火も消えた。
助かったぁ、従業員のシレモンに感謝だな!
爆弾の人は気絶しているようだ。
その辺に寝かせておこう。
さて、他の場所に行ってみるか。
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