第32話 合同授業
授業の日の朝になった。
俺たちは学校の集合場所にやって来た。
おや?
人がたくさん集まっているぞ。
五〇人以上いるみたいだ。
ダンジョンコース以外の生徒たちも、ダンジョンに入る授業があるのかな?
まあ、そこはどうでもいいか。
先生が来るまで待っていようか。
おっ、先生が来たぞ!
しかも、同じ容姿の先生方が十数人やって来た。
あの先生方はひとりの人間が動かしているのかな?
そうだとするなら、人形魔法はすごいもんだな。
俺も覚えてみようかな?
検討してみようか。
「おはよう、生徒諸君!」
「「「おはようございます!」」」
「それでは班ごとに別れて、ダンジョンに入る。一班の者は、ここに来てくれ!」
班か。
三人しかいないダンジョンコースには存在しないものだな。
「ダンジョンコースの者と八班の者は、こちらに来てくれ!!」
おっ、呼ばれたぞ。
今回は他のコースの人との合同授業になるみたいだな。
では、行くか。
俺たちは先生の元に向かった。
いつもの三人の他に五人やって来た。
しかも、全員見覚えがある連中だな!?
ギターの人、爆弾の人、泥棒っぽい人、白いローブの人、全身タイツと腰蓑の人じゃないか!?
縁があるのかな?
「集まったようだな。では、今回の授業はこのメンバーでダンジョンに入る。初めて会うものもいるだろうから軽く自己紹介をしよう」
「では、吾輩からしよう」
ギターの人がそう言った。
「吾輩の名前は『スィソー・ダーガッキ』という。通常コースの二年だ」
通常コースって、確か日本の義務教育みたいなコースだったな。
「音楽部に所属している。よろしく頼む」
音楽部なのか。
見た目通りの趣味の持ち主なのかな?
「私ちゃんは『ギョーコ・ブリザー』です。通常コースの二年で美術部所属です。よろしく~」
爆弾の人がそう言った。
あの人は、この前爆発した人だよな?
本当に復活したんだ。
魔法って、すごいな!!
「盗賊部所属、通常コース二年『マツト・ウマジメ』だ。よろしく」
泥棒っぽい人がそう言った。
みんな二年生なのか?
「初めまして、ワタシは『ケンジ・ツナヒト』と申します。通常コースの二年、ギャンブル部所属です。よろしくお願いします」
白いローブの人がそう言った。
学校なのにギャンブル部なんてあるのか。
よく許可が下りたな。
それとなんでギャンブル部なのに、あんな格好をしているのだろうか?
よく分からんな。
「あたしは『アツギ・シィスギ』です! 全身タイツ部と腰蓑部に所属している通常コースの二年です! みんなよろしくね~!」
白い全身タイツと腰蓑を身に着けた人がそう言った。
全身タイツ部に腰蓑部!?
なんでそんな部活があるんだ!?
訳の分からん学校だな!
その後、ダンジョンコースの面々も自己紹介をした。
「では、ダンジョンに向かおうか」
先生がそう言って、ダンジョンに入って行った。
生徒たちも後に続いた。
先生の人数は四人いる。
ダンジョンの奥地は、それだけ危険なのだろうか?
気を引き締めていかないとな。
一階と地下一階を足早に通り抜けて、地下二階にやって来た。
とても広い部屋だ。
床は一面青いタイル張り。
壁には富士山みたいな山の絵が描かれている。
鏡や青いタイルが取り付けられている場所もある。
天井は白い塗り壁で、所々白く光っている。
奥の方に先に進むための通路が一本ある。
なんだここは?
まるで大浴場のような場所だな。
浴槽はないけど。
「ここは非常に滑りやすい。足元に注意して歩くように」
まあ、確かに滑りそうだな。
「では、進もうか」
俺たちは先に進んだ。
何か所も枝分かれした道がある。
ここは迷路のようになっているんだな。
迷いそうだし、簡単な地図でも書きながら進むとするか。
「むっ、生徒諸君、注目! あそこに罠がある!」
先生がそう言って、床を指差した。
そこには、
床のタイルと同じような色。
形は直方体。
大きさは日本に普通に売っている石鹸と同じくらいだ。
あれが罠?
そうは見えないけどなぁ。
どういう罠なのだろうか?
近付くと飛んで来るのか?
「あれはどういう罠なんじゃ?」
「あれはよく滑るため、踏むと転倒してしまう」
えっ!?
ナニソレ!?
くだらないぞ!?
それは本当に罠なのか!?
「ショボい罠だぜ! そんなの適当に投げ捨てれば良いんじゃねぇのか?」
確かにサンクトの言うとおりだな。
「それだけではない。あれにはかなり強い毒があり、触れた部分がかぶれてしまう。触らないように。それと持ち帰って、石鹸として使おうとしないように」
微妙な罠だなぁ……
貧乏性の人を狙った罠なのだろうか?
「なかなかデンジャーだな。まあ、もっとも吾輩には通用しないがな」
「保護色になって、相手の目を欺くんだね。実に恐ろしくて芸術的な罠だね!」
「恐ろしい罠だ。盗賊部の自分に、この程度の罠は通用しないが、他の者は気を付けろよ」
「なんと恐ろしい…… 近付くと運気が下がりそうです」
「怖いね~。この辺で踊らないようにしないとね」
ちょっと二年生の皆さん!?
それは過大評価なのではないですか!?
まあ、どうでもいいけど!
しばらく進むと、前方から蛇のような動きをする何かが向かって来た。
あれは動くシャワーヘッドとホースか?
長さは二メートルくらい、全身が銀色をしている。
なんだあいつは?
もしかして、シレモンなのか?
ん?
なんだ?
ヘッドの先端から水を出し始めた。
通路が
あっ、シャワーが逃げて行った。
あれはなんだったんだ?
「生徒諸君、あれも罠の一種だ。あのように進行方向に水をまき、滑りやすくしているのだ」
ええっ!?
なんだよ、それは!?
低クォリティ極まりない罠だな!!
「ほう、こいつはデンジャーだな。当然、吾輩には通用しないが」
「あの素早い動き、実に芸術的な素晴らしい罠だね!」
「恐ろしく卑怯な罠だ。自分には通用しないがな」
「なんと恐ろしい…… 滑って転んだら、運気が下がりそうです」
「怖いね~。あの上で踊らないようにしないとね」
ちょっと二年生の諸君!?
なんでそんな評価になるんだよっ!?
ひょっとして、あれは冗談なのか!?
笑った方が良いのか!?
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