第31話 怪しい部活ありすぎない?

 そこには黒い球形の爆弾のようなものに、人間の手足が付いた何かががいた。


 身長一メートルくらい。

 爆弾は直径五〇センチくらい。

 頭頂部から白い導火線が出ている。


 手足はあまり筋肉は付いていない、黄色人種みたいな色をしている。

 黒いロングブーツを履いている。


 すごく危険そうな形をしている人だな。


 どんな魔法を購入したら、こうなるのだろうか?


「うむ、ありがとう。お褒めいただき光栄じゃな!」


 シチローがうれしそうにそう言った。


「本当に素晴らしかったよ。自らの姿を利用するとは実に良いアイディアだね。とても独創的で芸術的だったよ。私ちゃんにその発想はなかったね。センス抜群だ。君は才能があると思うよ……」


 延々と褒めてくるな。


 この爆弾の人、さっきのギャグがそんなに気に入ったのか?


「う、うむ、恐縮じゃな……」


 シチローが返答に困っているぞ。


 ん?

 あれは!?


 導火線に火がついているように見えるぞ!?


 ま、まさかあれって!?


「あ、あれは!? みんな逃げろ!! 爆発するぞ!!」


 周囲にいた人がそう叫んだ。


 えええええっ!?

 やはり爆発するのかよっ!?


 逃げろ!!


 俺たちは素早くその場を離れた。



 あたりに爆音が鳴り響いた。


 爆弾の人がいたところには大きなクレーターができていた。


 当人はどこにもいない。


 あの人はどうなってしまったんだ?


 やはり爆発して亡くなってしまったのか?


「そこの生徒、無事か!?」


 人形教師に声をかけられた。


「はい、ケガはありません」


「そうか、良かった。ところで、誰が爆発したか分かるか?」


 えっ!?

 なんだその質問は!?


 まるでこの学校には爆発する人が複数名いるみたいじゃないか!?


 この学校って、そんなに危険なところなのか!?


「ええと、名前は分かりません」


 俺は代わりに身体的特徴を伝えた。


「そうか、おそらく美術部の誰かだな」


 美術部って、爆発するヤツが複数名所属しているのか!?


 怖っ!?


「あの、爆発した方は亡くなってしまったのですか?」


「いや、あの魔法はある程度時間が経過すると復活する」


 復活するのか!?


 これは無事で良かったと思うべきなのか?


「そもそもあれはどんな魔法なのですか?」


「あれは『芸術魔法』といって、魔法で作られた筆や彫刻刀を出せる魔法だ」


 作品を生み出す道具が出てくるのか。


「ギャグ系魔法の一種で、購入するとあのような姿になる。そして、興奮すると爆発してしまうようになる」


 め、迷惑すぎるだろ……


 とんでもない魔法だな。


 なんでそんなのあるのだろうか?


 神の考えることは、よく分からんな。



 さて、売却しに行こうか。


 店員たちが一体、一万ジカァ。

 ボスが一体、千ジカァ。


 合計五万二千ジカァで売れた。


 なんでボスの方が安いんだよっ!?


 まあ、砂と皮とバケツと腰蓑ではそんなものなのかな?



 その後、孤児院に帰って来た。


 そして、夕食の時にカップ焼いてない乾燥させただけソバを、みんなで食べてみた。


 特別美味しいわけでもなく、マズいわけでもない、なんともコメントしづらい微妙な味だった。


 院長も、トレットさんも言葉に詰まっていた。



 次の日。


 また俺は学校のダンジョンにやって来た。


 今日は地下一階に行ってみようか。


 では、進もうか。



 コンビニのような場所にやって来た。


 あれ?

 店員がいないうえに、商品もないぞ。


 先客に倒されてしまったのかな?


「くっ、開かないな……」


 おや?

 スタッフルームの扉の前に誰かいるぞ。


 そこには泥棒としか言いようのない格好をした人がいた。


 全身黒尽くめの服、黒いほっかむりを身に着けている。

 身長は一メートルくらい。


 ピッキングツールのようなものを持っている。


 なんだこいつは!?


 怪しすぎるぞ!?


 教師を呼んで来た方が良いのだろうか!?


「むっ、なんだお前は!? 怪しいヤツだな!」


 黒尽くめの不審者にそう言われた。


 あんたに言われたくないぞ!!


「俺はこの学校の生徒だから怪しくはないぞ。あんたの方こそ何者なんだ?」


「自分は盗賊部の者だ」


 盗賊部!?

 この学校には怪しい部活があるんだな!?


「盗賊部って、どんな部活なんだ?」


「ダンジョンのスタッフルームに侵入する技を磨く部だ」


 そんなのあるんだ。


「では、その扉を開けようとしているわけか。そこは立ち入り禁止と店員に言われたけど良いのか?」


「真面目なヤツだな。シレモンの発言なんて、無視しても問題ないぞ」


 そういうものなのか?


「その中に何があるんだ?」


「いろいろだな。興味があるなら、資料室の本を読んでみろ」


「ああ、分かったよ」


 機会があったら読んでみようか。


「さあ、もういいだろ。自分は忙しいんだ」


「ああ、すまなかったな。では、失礼するよ」


 さて、先に進むか。



 宝箱部屋の近くにやって来た。


 えっ!?

 な、なんだ!?


 変な集団が扉の前にいるぞ!?


 白いローブを着た人の集団だ。

 三〇人くらいいる。

 全員フードを目深にかぶっていて、顔は見えない。


 なんだあいつらは!?


 怪しすぎだろ!?


 何をやっているんだ!?


「では、皆さん、そろそろ部活動を始めますよ」


 ローブの集団の代表者と思われる人がそう言った。


 そして、白いローブの人たちは宝箱部屋に入って行った。


 あれは何部なのだろうか?


 いったい何をするのだろう?


 まあ、どうでもいいか。


 今は部屋に入れなさそうだし、先に進もうか。



 ボス部屋の近くにやって来た。


 また変な集団が扉の前にいた。


 腰蓑こしみのと靴しか身に着けていない人たちと、全身タイツに腰蓑と靴を身に着けている人たちだ。


 人数は四〇人くらい。


 なんだあいつらは!?


 変態の集団なのか!?


「おっしゃぁっ!! テメェら、部活を始めるぞ!!」


「「「おおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」


 腰蓑の集団が雄たけびを上げながら、部屋に入って行った。


 また部活なのか。


 あれは何部なのだろうか?


 あんな格好で何をする気なんだ?


 変な部活が多いなぁ。


 まあ、いいか。


 先に進もう。



 その後、地下一階で店員たちを八体倒して帰った。


 次の日もダンジョンの地下一階で店員たちを九体倒した。


 その後、明日の授業用の水や食料を買って帰った。

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