第27話 ひたすら本を読む

 あっ、そうだ!

 チクイスロードルート国の場所を確認しないとな!


 ここに地図はないものかな?



 おっ、あった!


 さっそく見てみようか。


 えっ!?

 チクイスロードルート国って、略称なのか!?


 正称は『チョォ・クセン・イッポーンミチ・ストレート・ロードルート国』というのか。


 ダンジョンが大量にあるとは思えない、真っ直ぐな道の国って感じだな。


 まあ、どうでもいいけど。



 さて、今俺がいる国はどこなんだ?


 ええと、確かエヴェオサ国だったよな。


 チクイスロードルート国はエヴェオサ国の東、海を渡った先にあるようだ。


 これは移動手段も調べないといけないようだな。


 定期船とかあるのかな?


 探してみるか。



 『旅行王イエカ・ラデェタ・クナーイの最強無双の旅行術』という本を発見した。


 日本にあるガイドブックのような感じの本だ。


 表紙に観光名所と思われる場所の風景写真が多数掲載されている。


 これを読んでみるか。



 ふむ、シレモンに乗り物を壊されるせいで、都市間の移動手段は飛行できる魔法が主流になっているのか。


 車などの乗り物は町の中専用になっているらしい。


 なるほど。


 飛行魔法で他の町に送り届けてくれるサービスもあるけど、自分で魔法を購入した方がいざという時も安心だそうだ。


 そうなのか。


 なら、購入しようか。

 と言いたいところだが、戦力も向上させないといけないのではないか?


 スローライフ邪魔し隊がいるわけだしな。


 そちらを先にすべきなのだろうか?


 そもそもあいつらって、どのくらい強いのだろうか?


 確かトゥハァの語尾には『ゴワス』が付いていたなぁ。


 ということは、三文字ランクだよな。


 伝令係でそれということは、戦闘係はもっと強いのか?


 まあ、普通に考えたらそうなるよな。


 やはり戦力も向上させないといけないな。


 強くなる方法が書かれた本はないかな?


 探してみようか。



 『天下無双のシャイニング・ゾウギョさんが強くなる方法を教えてくれるかもしれない奥義書』という本を見つけた。


 表紙に、赤い魚の被り物と白い道着を身に着けた人が描かれている。


 この人がシャイニング・ゾウギョさんなのかな?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 ちょっと読んでみよう。



 強くなるには、とにかくシレモンを倒して、魔法を購入した方が良いそうだ。


 理由は実戦経験を積めて、攻撃手段が増えるからだそうだ。


 そんな分かり切っていることだろうがっ!?


 もっと他のはないのかよっ!?


 この本には書いてないな!


 ダメダメじゃないか!?


 もう、いい!

 他の本を読もう!



 『スローライフとファーストライフが両方備わり最強に!!』というタイトルの黒い本があるぞ。


 なんだこれは!?

 どういうことなんだ!?


 ちょっと読んでみようか!


 効率やスピードを最優先する心から出る意思の力『ファーストライフオーラ』というものと、それを消費して発動する『ファーストライフオーラ魔法』というものがあるそうだ。


 スローライフオーラ魔法を使用し続けると、このファーストライフオーラというものがたまっていくそうだ。


 逆にファーストライフオーラ魔法を使用し続けると、スローライフオーラの方がたまっていくらしい。


 よって、このふたつの魔法を購入すると、永久機関が完成するそうだ。


 なんじゃそりゃぁっ!?


 そんなにうまくいくものなのか!?


 さらにスローライフオーラとファーストライフオーラの量が同じになると『ワークライフバランスオーラ』という究極のオーラが出て来るらしい。


 訳が分からなさすぎる!?


 なんだよ、そのオーラは!?

 いったい何に使うんだ!?


 ワークライフバランスオーラでもスローライフオーラ魔法と同じことができるらしい。


 ただ、威力は桁違いに高いそうだ。


 そうなのか。

 なら、ファーストライフオーラ魔法を購入した方が良いのだろうか?


 ちょっと値段を見てみよう。


 スローライフオーラ魔法と同じみたいだな。


 よポイントをためて購入してみるか。


 この本はこれで終わりだな。


 では、他の本を探そうか。



 おっ、これは!?


 『水と油の合体魔法』という本があるぞ。


 合体魔法!?

 なんだそれは!?


 これは興味深いな!

 読んでみようか!!



 ギャグ系魔法の中で、水と油を扱う魔法を購入すると、いつの間にか使えるようになっているそうだ。


 名前は『ユルユユルル』というそうだ。


 効果は腹が緩くなるような気がするらしい。


 緩くなる気がするって!?

 それは何か役に立つのか!?


 魔法の使い方は敵を視認し、ユルユユルル出ろと思うだけで出るらしい。


 簡単だな。


 水と油か……


 泥包装魔法と衣魔法でも使えるのかな?


 後で試してみようか。


 よし、この本を読み終えたぞ。


 では、他の本を探そうか。



「むっ!! ハヤトよ、この本を読むのじゃ!!」


「えっ?」


 そこには『奉納一発ギャグ完全攻略本』という本があった。


「さあ、読むのじゃ!!」


「分かったから、静かにしろ」


 これはどんな奉納一発ギャグをすれば、より多くのよポイントを獲得できるか調査したものをまとめた本だそうだ。


 それで結果はどうだったんだ?


 えっ!?

 奉納一発ギャグを人前でやると評価が上がるのか!?


 それも人数が多い方がより高くなるのか!?


 なんでそんなことになるんだ!?


 原因は不明なのか。


 他の獲得量の上げ方も不明みたいだな。


 ふむ、なるほど。


 奉納一発ギャグを思い付いたらやってみようか。



「げぇぇぇぇぇぇぇこぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!」


 部屋に設置されているスピーカーから、奇声が聞こえてきたぞ!?


 なんだこれは!?


 どうやら校内放送みたいだけど、いったいなんなんだ!?


「生徒諸君、下校の時間だ。すみやかに帰宅しなさい」


 下校時間?


 もしかして、さっきの奇声はそれを知らせるものだったのか!?


 変な学校だな!?


 まあ、どうでもいいか。


 帰るとしよう。

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