第19話 変わり者が多そうな学校

 三か月が経過した。


 狩りができる日は、必ず一本毛ウサギ狩りを行い、金を稼いだ。


 そして、ついに……


 ついに百万ジカァためることができたぞっ!!


 ああ、ようやくここまできたか……


 長かった……


 苦労続きの日々だったなぁ……


 雨季に入ったせいで狩りができない日が続いたり、シレモンハンターの皆さんが駆除をがんばってくれたおかげで、獲物が見つけにくくなっていたりしたなぁ。


 だが、それもやっと報われるぞ!


 さあ、学校へ行こうか!!



 町の学校に着いた。


 相変わらず、日本にありそうな校舎だな。


 では、中に入ろうか。



 殺風景な玄関だな。


 白い天井、壁、床。

 観葉植物が二鉢。

 緑色の玄関マット。


 そして、受付があるくらいだ。


 ただ、そこに奇妙なものが立っているぞ。


 金髪で、ちょんまげを結っている。

 日本人形のような造形の顔をしている。


 身長二メートルくらい。

 赤い着物を着ている。


 このような姿だ。


 なんだあれは?


 ギャグ系魔法のせいで、あんな姿になってしまった人なのか?


 それともただの置物なのか?


 とりあえず、調べてみるか。


 俺は人形に近付いた。


「らっしゃっせぇぇぇっ!!! ご注文は何にしやしょうか!?」


 しゃべった!?


 やはりギャグ系魔法の使い手だったのか!?


「ええと、入学希望なんですけど……」


「それでは、どのコースにしやしょう!?」


「ダンジョンに関することが学べるコースをお願いしたいのですが……」


「ダンジョンコース一丁入りやす!! 料金は百万ジカァになりやす!!」


 元気の良い受付だな。

 まあ、どうでもいいけど。


 俺は料金を支払った。

 そして、書類に必要事項を記入した。


「ありがとうございや~す!!」


 そういえば、いつから授業を始めるのだろうか?


 ちょっと聞いてみた。


「日程の調整がありやすので、授業は一週間後になりやす! その日の朝八時に、またここに来てくだせぇ!!」


「分かりました」


 では、帰ろう。


 授業が始まるまでは、またシレモン狩りをして、よポイントをためるとしようか。


 あっ、そうだ。

 ためたお金で筆記用具を買わないと。


 勉強するなら必要だろうしな。



 一週間後。


 俺たちは学校にやって来た。


 さあ、今日から授業だ!


 スローライフのために気合を入れて勉強しないとな!!



 校舎の中に入り、受付に向かった。


 そこには一週間前と同じ方がいた。


「おはようございます。新入生の生方速人ですけど、今日はどこに行けば良いのでしょうか?」


「らっしゃっせぇぇぇっ!! ダンジョンコースの方ですね! 今担当の教師が来やすんで、ここで少々お待ちくだせぇ!!」


 相変わらず、元気な受付だな。


「はい、分かりました」


 では、受付の邪魔にならない場所で待っているとするか。



 おや?

 正面玄関から誰かが入って来たぞ。


 生徒かな?


 えっ!?

 なんだあれは!?


 銀色の人間!?


 身長七〇センチくらい。

 赤いロングのジャージ上下に、黒いスニーカーを身に着けている。


 肌、髪が金属のように見える、ロングヘアーの美少女だ。



 それと空飛ぶ包丁もいるぞ!?


 長さは三〇センチくらい。

 刃渡り二〇センチくらい。


 刃は銀色で柄は黒い。

 万能包丁のような形をしている。


 あの人たちもギャグ系魔法を購入したのだろうか?


 なんの魔法を購入したら、あんな風になるんだ?



 ん?

 金属の子が俺の方を見ているぞ。


 何か用でもあるのだろうか?


「美味しそう…… これは食べても良いの?」


 突然金属の子がそう言った。


 はぁっ!?

 何を言っているんだ、こいつは!?


「お待ちなさい! ここにいるということは人間なのかもしれないでしょう! 食べてはいけません!!」


 空飛ぶ包丁がそう言った。


「その通りだ! こんな見た目でも、いちおう人間だぞ! 食おうとするな!」


「揚げ物は食べ物。すなわち、あなたは食べ物。いただきます」


「いただくな!?」


「落ち着きなさい! そもそもあなたは食事を取れないでしょう!?」


「うっ、そうだった……」


 金属だから食事を取らなくても問題ない体なのか?


 この世界には、よく分からんものがたくさんあるなぁ。


「さあ、受付に行きましょう! 初日から遅れるわけにはいきませんよ!」


「そう…… なら、食べれるようになったら食べれば良いか……」


「食べるのはやめろ!?」


「食べてはいけません!! さあ、行きますよ! では、失礼します」


 金属の子と包丁の子が受付に向かって行った。


 どうやらあの子たちも生徒みたいだな。


 この学校にも変なのはいるんだなぁ。



「すみません。本日からダンジョンコースを受けることになった者なのですが……」


「らっしゃっせぇぇぇっ!! 今担当の教師が来やすんで、ここで少々お待ちくだせぇ!!」


 ええっ!?

 あの子たちも俺と同じコースなのか!?


 ということは、一緒に授業を受けるのか!?


 なんか不安になってきたぞ……


 食われなきゃ良いけど……



 ん?

 校舎の奥から、誰かがやって来たぞ。


 な、なんだあれは!?

 サイのマスクをかぶったデッサン人形か!?


 身長一五〇センチくらい。

 体は木製のように見える。


 マスク以外は何も身に着けていない。


 手には黒いクリップボードのようなものを持っている。


「君たちがダンジョンコースの学生なのかな?」


 サイマスクの方が話しかけてきた。


 えっ!?

 もしかして、この人が教師なのか!?


 人を見た目で判断するのは良くはないけど……


 この学校は大丈夫なのか!?


 とは思ってしまうなぁ……

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