第18話 顔面ウサギ

 うう、なんで俺だけ、一よポイントなんだよ……


 納得いかなさすぎるぞ!!!


 いったいどういうことなんだよぉぉっ!?


「ハヤトよ、次の機会もある。元気を出すのじゃ」


「そうだぜ! また挑戦すれば良いんだぜ!!」


「うまくいかないことは、誰にでもあるのである」


「あまり気にしちゃダメッスよ~。今日は帰ってのんびりしましょう~」


「みんなありがとう……」


 みんなに励ましてもらった。


 本当に良いヤツらだなぁ。



 その後、孤児院に帰って、飯、風呂、就寝の三点セットだった。



 次の日から畑の周辺で狩りをした。


 畑を荒らされると困るので、雨の日も行った。


 奉納一発ギャグは思い付かなかったのでやらなかった。



 一か月が経過した。


 その日の夕方、狩りを終えた俺たちはモヒジ・カンゾウにヘタを奉納した。


 これでようやくよポイントがたまった!


 魔法を強化できるようになったぞ!!


 いやあ、働き詰めで大変だったなぁ。


 では、さっそく購入しようか!


 ワライトールショッピングウィンドウを開き、購入した。


 よし、これで泥に粘着性が出るようになったはずだ。


 ちょっと試してみようか。


 俺は顔を触ってみた。


 ん?

 くっ付かない?


 粘着性なんてないぞ?


 これはどういうことだ?


 どうすれば出るんだ?


 粘着力出ろと思えば良いのか?


 うおっ!?

 手がくっ付いた!?


 どうやら正解だったようだな!


 こいつはすさまじい粘着力だ!?


 手が離れなくなったぞ!?


 これならいけるかもしれない!!


 ん?

 今度はどうやってはがせばいいんだ!?


 今度は粘着力消えろと思えば良いのか!?


 おっ、手が離れた!


 ふむ、なるほど、粘着力出ろと思うと出て、消えろと思うと消えるのか。


 とても分かりやすいなぁ。



 さて、これで準備は整ったぞ!


 よし、明日は一本毛ウサギと戦ってみようか!


「ハヤトよ、顔面に一本毛ウサギをくっ付けて、捕える気でおるのか?」


「えっ!? あっ!? そういえば、顔以外の場所に泥を出せなかったな……」


 さすがに顔にくっ付けるのは抵抗があるなぁ……


 すごく痛そうだし。


 泥を他の場所に出す方法を調べてみようか。


 『全身を泥で覆えるようになる』

 『泥を体のどこかに移動させる』


 これらが、ひとつ千よポイントで売っていた。


 た、高いな……


 これを購入しようとすれば、また何か月もリングァエルたちを狩らなければいけなくなる。


 奉納一発ギャグはまったく思い付かないしな。


 さて、どうするか?


 試しに一回、一本毛ウサギと戦ってみようか?


 そうしてみるか。


 何事もやってみないと分からないところもあるしな。


 では、どうやって倒そうか?


 俺から向かって行っても、あの速さでは避けられそうだよな。


 一本毛ウサギが体当たりをしてきた時に、タイミングを合わせて顔からぶつかって行くしかないのか?


 それしかなさそうだよな。


 うう、痛そうだな……



 次の日の朝。


 俺たちは草原にやって来た。


 周辺には、シレモンハンターと思われる人が数名いる。


 西洋甲冑を着た人や、迷彩服を着ている人、ギャグ魔法の購入者と思われる人、いろいろいるなぁ。


 あの人たちも一本毛ウサギ狩りをしているのだろう。


 さて、俺たちも狩りを開始するとするか。



 おっ、一本毛ウサギを発見したぞ。


 よし、あいつと戦ってみよう!


 では、予定通り攻撃するよう仕向けてみるか。


「おい、そこのウサギ! 俺と勝負しろ! かかって来やがれ!!」


「このワタシに勝負を挑むとは良い度胸ゲス! ぶち殺してやるゲス!!」


 一本毛ウサギが突っ込んで来た。


 滅茶苦茶怖いけどスローライフのためだ!


 やるしかない!!


 いくぜ!!


 俺は一本毛ウサギに顔から突っ込んで行った。


「なっ!? ぐああっ!!」


 一本毛ウサギの顔面と正面衝突した。


「か、顔が離れないゲス!?」


 俺の額と、一本毛ウサギの両目の間あたりがくっ付いた。


 作戦は成功だ!


 しかも、顔面はあまり痛くないぞ!


 衣魔法のおかげみたいだな。


 ありがたい!

 この魔法を購入して本当に良かった!


 さあ、後は奉納部位を切るだけだな!


「クソがゲス!! 離しやがれでゲス!!」


 一本毛ウサギが両前足で殴ってきた。


 だが、衣魔法の前では無意味だった。


 俺はナイフで一本毛を根元から切り裂いた。


「こ、こんな手でやられる、なん、て……」


 一本毛ウサギは動かなくなった。


 ふぅ、どうやら勝てたようだな。


 良かったぁ。


 これでエリンシシ狩りが再開できるぞ!



 そういえば、この一本毛ウサギはどうすれば良いんだ?


 このまま買い取ってくれるのか?


 それとも解体が必要なのだろうか?


 どうなんだろう?


 そうだ、周辺のシレモンハンターたちの様子を見てみようか。


 ふむ、どうやら解体はしなくても良いようだが、血抜きが必要なようだな。


 彼らの真似て血抜きを行った。


 そして、アイテムボックスに入れてもらった。


 さて、森に向かうとしようか!


 久しぶりに稼ぐぞ!!



 夕方近くまで、森で狩りをした。


 だが、エリンシシは見つからなかった。


 その代わりに、一本毛ウサギを四体狩ることができた。


 さて、奉納と売却に行くか。



 モヒジ・カンゾウに一本毛ウサギの黒い毛をすべて奉納した。


 奉納一発ギャグは思い付かなかったのでやらなかった。


 黒い毛一本、一〇よポイントだった。


 よポイントはエリンシシと同じなんだな。



 その後、買取所で一本毛ウサギをすべて売却した。


 一体五千ジカァで買い取ってもらえた。


 ん?

 これはもしや、一本毛ウサギの方が効率よく稼げるんじゃないか?


 明日からは草原で、一本毛ウサギ狩りをしよう。

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