第17話 スローライフのために一発ギャグをしよう!

 あの後、また草原で一本毛ウサギを発見した。


 今度は俺が戦わせてもらった。


 俺もシチローも、相手の素早い身のこなしに付いて行けず、傷一つ付けることができなかった。


 勝ち目がないので、トレットさんに助けてもらった。



 そして、さらにマズいことが起きた。


 一本毛ウサギが多数出現し、草原に住み着いたのだ。


 草原を通らなければ、その奥にある森には行くことができない。


 一本毛ウサギに見つかった場合は当然襲われる。


 見つからずに森に行くのは不可能。


 こんな状況で、これからどうやってお金を稼げば良いのだろうか?


 やはり一本毛ウサギを倒すしかないのか?


 だが、どうやって?


 うーん、あの速さに対処する方法か……


 何も思い付かないな。


 それならいっその事、他の狩場を探してみるか?


 そんなことを考えながら寝室のベッドに腰掛けて、ワライトールショッピングウィンドウを見ていると、あるものを発見した。


 『泥包装魔法で出した泥に粘着性を持たせる』というものだ。


 これがあればトレットさんと同じ方法で、一本毛ウサギを倒せそうだな。


 それでいくらなんだ?


 お値段は千よポイントか。


 手持ちが足りないな。


 ん?

 誰かがやって来たようだ。


「ハヤト、ちょっと良いかい?」


「なんですか、院長?」


「実はまたリングァエルどもが畑を荒らしているみたいなんだよ。駆除するから手伝っておくれ!」


「良いですよ!」


 よポイントが必要だったし、ちょうど良い機会だな。


「ところで、なんでまたリングァエルたちが来たのですか?」


「一本毛ウサギに住処を追われたようだね」


 またシレモンの縄張り争いか。


 あいつらも大変だな。


「一本毛ウサギへの対策は立てないのですか?」


「町のシレモンハンターたちが、一本毛ウサギの駆除をしているようだけど、まだまだ時間がかかるみたいだね」


 えっ!?

 それって森に行けるのでは!?


「それから一本毛ウサギが森の中にまで出現しているらしいよ。勝てないうちは入らないようにね」


「はい。分かりました。ところで、森以外に稼げそうな場所はありませんか?」


「歩いて行ける距離にはないねぇ。空を飛ぶ魔法があれば、いくつかあるんだけど、その手の魔法は値段が高いからねぇ」


 世の中そんなにうまくはいかないか。



 夕方くらいまで、畑の周辺の巡回し、リングァエルたちを倒した。


 リングァエル五体、ナゲァエル六体、アボカズァエル四体を倒したぞ。


 結構数が多かったな。


 この調子で、後四八五体倒せば購入できるぞ。


 今日と同じ数を倒し続けることができたとしても、後三三日もあるのか。


 先は長いなぁ……


 しかも、その後はお金を稼がないといけないしな。


 はぁ、地道にやって行くしかないのか……


 いや、待てよ。

 奉納一発ギャグをやってみようか?


 本業がダメなら副業で稼ぐというのも手だよな。


 うん、良いかもしれないぞ。


 では、一発ギャグを考えてみようか。



 モヒジ・カンゾウの前にやって来た。


 道中、一発ギャグを考えていたのだが、まったく思い付かなかったぞ!?


 どうすれば良いんだ!?


 ここはみんなと相談してみるか。


「よし、ここはワシに任せておくのじゃ!」


「今回は俺君も思い付いたぜ!」


「おおっ!! それはすごい!! なら、ふたりともやってくれ!」


「うむ! まずはワシからいこう!」


 俺はヘタを一本奉納した。


「よし、良いぞ!」


「ゆくぞ、カスクソ邪神よ! 奉納一発ギャグ『メタルシルバー出っ歯』じゃぁぁぁっ!!!」


 シチローが俺の口の前に来て、そう叫んだ。


 出っ歯!?

 髪型の次は歯にしたのか!?


 これはどうなんだ!?


 面白いのか!?


 おっ、ウィンドウが出たぞ!


「どうじゃ!? 何よポイントもらえたのじゃ!?」


「おおっ! 五〇よポイントももらえたぞ!!」


「な、なんじゃと!? あれで五〇しかもらえんのか!?」


「いやいや、すごいだろ!? エリンシシ五体分だぞ!」


「何を言っておる!? あれなら五京よポイントはもらえるはずじゃろ!?」


「五京!? さすがにそこまではもらえないだろ!? 欲張りすぎだ!!」


「むむむっ!! 悔しいのう! 仕方ない、またの機会にリベンジじゃな!!」


「ああ、がんばってくれよ!」



「おっしゃぁっ!! 次は俺君がやるぜ!!」


「ああ、頼むぞ、サンクト!!」


「任せておけ!!」


 俺はヘタを一本奉納した。


「いくぜ!! 俺君の奉納一発ギャグ『ゴールデン・ビッグおでき』だ!!」


 サンクトが俺の額にくっ付いて、そう叫んだ。


 おでき!?

 不自然に膨らみすぎだろ!?


 これはどういう評価になるんだ!?


 おっ、ウィンドウが出た!


「結果が出たか!! 何よポイントだった!?」


「四〇よポイントだな!」


「四〇か。まあまあじゃねぇか!!」


「いやいや、十分すごいって!!」



 これで合計九〇よポイントか。


 結構もうかったな。


 シチローとサンクトに感謝だな!


 では、残ったヘタを奉納して帰るとするか……


 はっ!?

 ひらめいた!?


 なぜか突然一発ギャグを思い付いたぞ!!!


 よし、俺も挑戦してみよう!!


「なんじゃ? ハヤトも挑戦するのか?」


「おっ! がんばれよ、ハヤト!」


「うむ、応援しているのである」


「ハヤトの兄さん、がんばるッスよ~」


「みんなありがとう! では、いくぞ!」


 俺は発光器魔法を使用した。

 ヘソと膝の裏が光り出した。


 そして、残ったヘタをすべて奉納した。


「これが俺の奉納一発ギャグ『灯台の揚げ物』だ!!」


 俺はその場で横に回転をした。


 どうだ、こいつが俺の一発ギャグだ!!


 おっ、ウィンドウが出て来たぞ。


 さあ、結果は!!


 えっ!?

 はぁっ!?


 な、なんだとぉぉっ!?


 たったの一よポイントだと!?


 な、なんでだよっ!?


 ちょっとカスクソ邪神さん!?


 これはどういうことなんだよっ!?


 俺だけ採点基準が厳しすぎるのではないかぁぁぁっ!!!

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