第16話 迅速な対応、素晴らしい運営ですね
今の戦法だと、エリンシシを後一六六体狩らなければいけないのか。
先は長いなぁ。
まあ、気長にがんばろう。
では、また森に行くとするか。
またエリンシシを発見し倒した。
そして、解体し、買取所で売却した。
売値はまた六千ジカァだった。
「ハヤトよ、そろそろ日が落ちそうじゃぞ。今日はこのくらいにしておくのじゃ」
買取所の前で、シチローにそう言われた。
「もうそんな時間か…… 買取所と森を何度も往復するのは効率が悪いな」
「うむ、その通りである。アイテムボックスの容量を増やした方が良いのである」
「そうだな。確か一〇〇よポイントで売っているんだったっけ。購入しておこうか」
ショッピングウィンドウを開いた。
「そういえば、ここには容量が増えるとしか書いていないけど、具体的にどのくらい増えるのだろうか?」
「不明である」
「そうなのか」
商品の情報をしっかり書いて欲しいものだ。
せめてクーリングオフ制度みたいなものがあれば良いのに。
まあ、文句を言っても仕方ないか。
買ってみよう。
「よし、購入したぞ。どうだ、ディディ? どのくらい増えたか分かるか?」
「どうやら箱が増えたようである。数は一一箱である」
六箱増えたのか。
なんでそんな半端な数なんだ?
まあ、いいか。
これでエリンシシを2体分持ち運べるぞ。
効率が良くなったな!
では、奉納して帰ろうか。
売れなかったエリンシシの足は院長に料理してもらおう。
次の日から晴れた日は、エリンシシ狩りを行った。
そして、一か月後。
この日も俺はエリンシシ狩りをしていた。
今日の戦果は二体。
累計は五〇体になった。
エリンシシはリングァエルたちよりも個体数が少ないようで、なかなか発見できず、戦果が伸び悩んでいた。
せっかくアイテムボックスを増やしたのになぁ。
くそぅ、もっと出て来ないかなぁ。
まあ、愚痴を言っても仕方ないか。
さて、売却と奉納をして、帰るとするか。
次の日。
おはようございます。
おや?
このサイコロが転がるような音が聞こえてきたぞ。
今日は試練の多面体の日なのか。
二か月ぶりだな。
「ハヤト、起きてるかい!? 避難するよ!!」
「はい、分かりました!」
今日の狩りは、お休みだな。
アイダレの町に避難してきた。
また外食したり、ダラダラと散歩したりしていた。
そして、歩き疲れたので公園で休んでいた時だった。
「シレモンが増加しています。不要な外出は控えてください。シレモンハンターの皆様は駆除にご協力ください。よろしくお願いします」
と呼びかけをしている広報車が近くを通った。
またシレモンが増加したのかよ。
あれ?
そういえば、昨日もっとエリンシシが出て来ないかなぁ、と思っていたよな?
そして、今日はこうなった。
いや、そんなまさかな……
偶然だよな?
この日は町で一泊した。
次の日。
俺たちは孤児院に戻った。
幸いなことに孤児院は無事だった。
いやあ、良かった良かった。
そして、また院長たちとともに、周辺の見回りをすることになった。
また所々畑が荒らされていたので、犯人のリングァエルたちを倒した。
その後、草原も見て回ることになった。
そこに見慣れるヤツがいた。
ターコイズブルーの毛色をした大きなウサギだ。
頭頂部までの高さ六〇センチくらい、幅四〇センチくらい。
目が血のような赤い色をしている。
額に長さ三〇センチくらい、底面の直径五センチくらいの黒い角のようなものが付いている。
なんだあいつは?
シレモンなのか?
あの長い角が危険そうなヤツだな。
「あれは二文字ランクのシレモンの『一本毛ウサギ』だね」
一本毛ウサギ?
「ということは、あの黒い角みたいなものは毛なんですか?」
「そうだよ。短い毛なら全身に生えているのに、一本毛なんだよ」
「おかしな名前ですね」
「そうだね」
「あの毛って、やはり硬いのですか?」
「いや、そんなに硬くはないよ。衣魔法の防御力なら突き刺さりはしないだろうね」
「そうなんですか。意外ですね」
見た目通りではないのか。
「ところで、あいつの奉納部位はどこなんですか?」
「あの黒い毛だよ。どうだい、トレット、ハヤト、戦ってみるかい?」
「僕が戦ってみますよ」
トレットさんが立候補した。
「そうかい? なら、やってみな。あいつは動きが速いから気を付けるんだよ」
「はい! では、いきますよ!!」
トレットさんの周囲に、直径一五センチくらいの黄と茶色の水の球が多数出現した。
そして、その球がすさまじい速さで一本毛ウサギに飛んで行った。
おおっ!
人間のお茶魔法には、あんな魔法もあるのか!
あの水の球はシチローより速いぞ!
それを大量に撃つとは、なんて強力な魔法なんだ!
これは避けられないだろう!
勝ったな!
「ふっ、甘いゲス! この程度かわしてみせるゲス!!」
な、なんだと!?
一本毛ウサギがすべての魔法を回避したぞ!?
なんという速さだ!?
「今度はこちらの番だゲス!!」
一本毛ウサギがトレットさんに向かって、突進して来た。
エリンシシよりもはるかに速い突進だ。
俺は避けられなさそうだぞ!?
トレットさん危ない!?
「な、なんだこれはゲス!? あ、足が離れんゲス!?」
と思ったら、突然一本毛ウサギの動きが止まった。
どうしたのだろうか?
ん?
よく見ると、一本毛ウサギが茶色い水たまりを踏んでいるぞ。
そして、そこに足がくっ付いているようだ。
あれは黒光りするあの虫などを捕るために使う、粘着シートみたいなものなのか?
あれも人間のお茶魔法なのかな?
本当に多種多様な魔法があって便利だな。
その後、一本毛ウサギはトレットさんの魔法で、一本毛を切り取られ倒された。
それにしても、一本毛ウサギは素早いかったな。
今の俺に倒せるのだろうか?
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