第15話 進化した力を見せてもらおう!
さて、他にやるべきことはあるかな?
「ハヤトよ、エリンシシはそのままではアイテムボックスに入らないのである。解体道具が必要なのである」
「確かにそうだな。院長に解体について聞いてみよう」
院長に解体方法と売却場所を聞いた。
道具は前に借りたナイフで行えるそうだ。
これで準備は万全かな?
では、風呂に入って寝るとするか。
次の日の朝。
俺たちは森にやって来た。
当然のことだが、樹木が生い茂っているぞ。
ただ、エリンシシが往来しているせいか、木と木の間隔がそれなりに広い。
獣道もある。
では、エリンシシを探すとするか。
周囲を警戒しながら、森の中を歩いている。
「ハヤト、初日くらいトレットに付いて来てもらった方が良かったんじゃないか?」
サンクトに指摘された。
「確かにその方が安全なんだろうけど、トレットさんにも何か目的があるようだからな。そう何度も迷惑をかけるわけにはいかないだろ」
トレットさんも日中は、森で狩りをしているようだしな。
「トレットは何が目的なんじゃろう?」
「さあ、なんだろうな」
「ハヤトは気にならんのか?」
「気にはなるけど、プライベートなことだからなぁ。無理に聞き出すつもりはないよ」
「ふむ、そうか」
「むっ、エリンシシがいるのである」
「えっ!?」
俺の方でもエリンシシを確認した。
距離はかなり離れているせいか、俺たちには気づいていないようだ。
先制攻撃のチャンスだ!!
「よし、頼むぞ、シチロー」
「仕方ないのう。ハヤトはその辺の木の陰にでも隠れておれ」
「ああ、分かったよ」
シチローがエリンシシに向かって行った。
そして、右後ろ足に猛スピードで体当たりをした。
「ぐああああああっ!? な、何事ダス!?」
おおっ!
ダメージを与えたようだぞ!
良いぞ!!
その調子だ!!
やってしまえ、シチロー!!
その後、シチローはエリンシシの周囲を飛び回り、何度も足を突き刺した。
エリンシシはシチローの速さに付いていけないようだ。
一方的に攻撃されているぞ。
これは見事だな!
そして、エリンシシは倒れた。
これでエリンシシは攻撃手段を失ったはずだ。
近付いてとどめを刺そう。
「お、おのれ、人間めダス! こんな卑劣な手段を用いて恥ずかしくないのかダス!? 正々堂々と戦うダス!」
エリンシシに非難された。
いや、それだと勝てないから。
仕方ないんだよ。
悪く思わないでくれ。
さあ、とどめを刺してしまおう!
俺はエリンシシの尻尾をナイフで切り取った。
エリンシシは動かなくなった。
よし!
これで勝利だな!!
「やったな、シチロー! 見事な連続攻撃だったぞ!!」
「まあ、ワシにかかれば、このくらい朝飯前じゃな!」
「この調子で、後九九体倒してくれよ!」
「ひ、人使いが荒過ぎるじゃろ! ブラック企業じゃ!!」
「人聞きの悪いことを言うなっての! スローライフのために必要なんだよ!!」
「ワシはまったくスローライフじゃないわい!!」
「今は仕方ないんだよ! 許可証を取るまでは我慢だ!!」
「うぬぬぬぬぬ…… 仕方ないのう……」
さて、解体してしまおうか。
うーむ、当然のことだが足が傷だらけだな。
これは買い取ってもらえるのだろうか?
不安になってきたぞ……
まあ、持って行ってみるしかないけどな。
よし、解体が終了したぞ。
エリンシシが巨体だから、結構手間取ったな。
それにアイテムボックスを四箱も使ってしまった。
これ以上狩っても、持って帰れないな。
仕方ない、いったん売却してこよう。
俺たちは森を出た。
買取所の前にやって来た。
瓦屋根の和風の建物だ。
結構年季が入っている気がする。
近くに立て看板があり、そこに『シレモン買取所』と黒い文字で書いてある。
孤児院の近くに建っている。
買取所って、こんな近くにあったのか。
気付かなかったぞ。
まあ、それはどうでもいいか。
入ってみよう。
お邪魔します。
中は椅子が何脚か置いてあるだけの待合所、受付が三か所、その奥に事務仕事をするスぺースがある。
シンプルな作りだな。
人は全然いない。
受付の奥に職員の方が三人いるくらいだな。
あまりシレモンを売りに来る人がいないのかな?
まあ、どうでもいいけどな。
さて、売却してしまおう。
「すみません。買い取りをお願いしたいのですが」
俺は受付のおばさんに話しかけた。
そして、受付にアイテムボックスを出してもらった。
「かしこまりました。少々お待ちください」
受付の方がアイテムボックスの中身を取り出して調べ始めた。
アイテムボックスを見ても、まったく驚かないんだな。
それに俺の姿を見ても、動じる素振りも見せないし。
さすがは異世界だ。
「お待たせいたしました。エリンシシの脚部ですが、損傷が激しいので、申し訳ありませんが買い取りできかねます」
やはり無理だったか。
「胴部のみの売却となりますと、六千ジカァとなります。よろしいでしょうか?」
六千か……
まあ、仕方ないか。
「はい、お願いします」
「かしこまりました」
受付の方から六枚のお札を受け取った。
これがジカァか。
どんな柄なのだろうか?
俺はお札を見てみた。
はぁっ!?
な、なんじゃこりゃぁっ!?
お札の両面に抽象画が描かれていた。
丸、三角、直線、人の目玉のようなものがある。
他は『千ジカァ』という青い文字と、黒い文字の番号、それと『
なんでこんな訳の分からんデザインなんだ!?
コレは使えるんだよな!?
偽札ではないんだよな!?
後で院長に見てもらおうか。
まだ時間はあるな。
では、狩りに行くとしようか。
俺たちは買取所を出た。
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