第14話 メタルな……

 他に何か良い魔法はないものかなぁ。


 衣魔法、泥包装魔法には、現在のよポイントで強化できるものはない。


 五〇よポイントで電線魔法の電線の長さを伸ばすことができる。

 五〇よポイントで発光器魔法の光量を増やすことができる。


 うーん、このふたつを強化して、エリンシシをどうにかできるのか?


 難しそうだな。


 あ、そうだ!

 キューストの能力を強化するものはないのか?


 あれはすごかったからなぁ!

 探してみよう!!


 ……ないみたいだな。


 手持ちのよポイントでは買えないのか?


 絞り込みを解除して探してみるか。


 おっ、あったぞ!


 お値段は十万よポイントだ。


 高すぎだろ!?

 買えないじゃないか!?


 くっ、仕方ない、他のものを探そう。



 そういえば、トレットさんはエリンシシの尻尾を魔法で切断していたな。


 そういう魔法はないのか?


 ……見つからないな。


 購入できるものの中にはないようだ。



 うーむ、いったいどうすれば良いんだ?


 まったく倒せる方法が思い付かんぞ。


 そうだ、ちょっとみんなと相談してみようか。


「ハヤトよ、ここはワシを進化させてみるというのはどうじゃ?」


「シチローを? なぜそうなるんだ?」


「ワシが進化すると、どのようになるのかまったく分からんからじゃ! 要するに賭けじゃな!!」


「ええ~…… それはちょっとなぁ…… せっかく苦労してためたよポイントなわけだしなぁ……」


「現状手詰まりじゃし、良いのではないか?」


「うーん…… あっ、そうだ! サンクトに神鑑定してもらえば良いんじゃないのか!?」


「ふむ、なるほど、それは良いかもしれんのう」


「おっ、やってみるか! 良いぜ、やってやろうじゃないか!!」


 サンクトが儀式を始めた。


 では、結果が出るまで他の案を検討してみようか。



「おっ、来やがったぜ!!」


 サンクトの儀式が終わったようだ。


 良い案は出なかった。


「結果はどうだったんだ?」


「『やってみてのお楽しみ!』だそうだぜ!!」


「えええええっ!?」


 なんじゃそりゃぁっ!?


 教えてくれよ!?


 おのれ、邪神め!!


 確か進化の価格は一〇〇よポイントだったよな。


 現在所持しているよポイントの半分か……


 くっ、どうしよう!?


 うーむ、ここは……


 やってみるか!

 賭けに出てみよう!!


「では、購入することにしよう! シチロー、準備は良いか?」


「うむ、いつでも良いぞ!」


 それでは、購入だ!


「むっ!? こ、これは!?」


 突然シチローが白い光に包まれた。


 これが進化か!?

 いったいどうなるんだ!?


 そして、光がはじけた。


 そこには金属製の筏のようなものがいた。


 長さ一〇センチくらい、直径二センチくらいの棒が五本並んでいる。

 それらを灰色のワイヤーで縛っている。


 色は銀。

 棒の片側の先端が、鋭くとがっている。


 これが進化したシチローなのか!?


 メタル筏って感じな姿だな!?


 すごく沈みそうだぞ!!


「どうじゃ? ワシの進化した姿は?」


「強くなった、という感じはするぞ」


 木から金属になっているしな。


「おおっ、そうかそうか!」


 シチローがうれしそうにしている。



「さて、問題はどうやってエリンシシを倒すかだよな」


「うむ、その通りじゃな」


「そもそもどのくらい能力が伸びたのだろう? どうなんだ、シチロー?」


「うーむ、よく分からん! キューストの言っておった通り、自分のことは意外と分からんもんじゃな!」


「そうッスよ~。分からないものッスよ~」


「そうなのか。なら、また神鑑定をしてもらおうか」


「おっ、やるのか! おっしゃっ! いくぜ!!」


 サンクトが儀式を始めた。


 また三〇分ほど会議は中断か……


 便利な能力なんだけど、この点だけは不便すぎるよな!!


「ハヤト君、夕食の時間だよ!」


 トレットさんが呼びに来てくれた。


「はい、分かりました。すぐに行きます! わざわざありがとうございます!!」


 しばらく終わらないし、先に飯を食ってくることにしよう。



 夕食はオムライスだった。


 卵の中はチキンライスではなく、リングァエルたちの足の肉が使われているケチャップライスだ。


 リングァエル、ナゲァエル、アボカズァエルライスとでも呼べば良いのだろうか?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 味はオムライスと同じで、とても美味しかった。



 食事が終わって、寝室に戻って来た。


「ぺひょうへええええええっ!! でびょひょおおおおおおおおっ!!!」


 まだサンクトの儀式が続いていた。


 本当に長いな。



「おっ、来たぜ!!」


 ようやく終わったようだ。


「どんなものが来たんだ?」


「シチローはさらに硬くなっているぜ! まあ、そこは見た目通りだな! それと飛行速度が上がったらしいぜ!」


「そうなのか。なら、尖っている部分で、足を突き刺したら動きを鈍らせることができるかな?」


「そうじゃのう…… ちと試してみるか」


 シチローがそう言って、部屋の中を飛び回った。


「おおっ、こいつは速いな! 目にもとまらぬ速さだ! これならエリンシシの足に深手を負わせることができそうだ! これで勝ち目が出てきたぞ!」


「そうかそうか…… むっ、それはワシがエリンシシに、体当たりをせねばならんということかのう?」


「そうなる。それも学費を稼ぎ終わるまでだから百体分だな」


「な、なんじゃと!? 人使いが荒すぎじゃろ!?」


「頼んだぞ! スローライフのために!!」


「ひ、ひどすぎるじゃろぉぉぉっ!!!」

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