第13話 魔法をいろいろ試そう

「畑の周辺には、もういないようだね。次は草原の方に行ってみようか」


 俺たちは院長の指示に従い、草原に向かった。



 げっ!?

 あいつは!?


 草原の中にエリンシシが一体いた。


 また森から出て来たのかよ!?


 おや?

 どうやら俺たちには気づいていないようだな。


 これは先制攻撃のチャンスだ!


 院長とトレットさんに断りを入れ、キューストに行ってもらった。


 その結果は、全然ダメダメなものだった。


 エリンシシはキューストを無視して、俺たちの方に向かって突進して来たのだ。


 トレットさんの茶色い水の魔法で、あっさりと倒されたけどな。


 くそぅ、あれが決まれば、倒し放題だったのになぁ。


 強力なシレモンには効かないのかな?


 はぁ、世の中そんなに甘くはないか。


 まあ、仕方ない、他の手段を考えよう。



 むっ、またナゲァエルを発見したぞ。


 そうだ。

 他の魔法も試してみようか。


 まずは衣魔法からだ。


 衣の防御力を試すために、わざとナゲァエルの体当たりを受けてみた。


 結構勢いのある体当たりを受けたのだが、たいして痛くなかった。


 素晴らしい防御力だな!!



 次に電線魔法の電気をナゲァエルに流してみた。


「痛いニュ!? 何をするんだニュ!!」


 と言われただけだった。


 威力なさすぎだろ!?



 最後に発光器魔法の光をナゲァエルに当ててみた。


「ぎゃっ!? ま、まぶしいニュ!!」


 と言って、わずかな間だけだが、動きが止まった。


 これは目がくらんだのか?


 というか、こいつらに目ってあるのか?


 見た限りではなさそうなのだが?


 どうなんだろうな?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 それよりも、ほんのわずかとはいえ、隙を作り出せたのは良かったな。


 向かって来るヤツに、まずはこれをくらわせるというのも良いかもしれない。



 これで購入した魔法はひと通り試したか。


 で、この戦力でどうやってエリンシシに勝てば良いんだ?


 うーむ、そうだなぁ……


 まったく思い付かんな!!


 はぁ、仕方ない……


 ここは地道に食べて、運動して、寝て、俺自身の体を育てつつ、リングァエルたちを倒して、よポイントを稼ぐことにしよう。


 早くスローライフをしたいところだが、エリンシシにやられてしまっては意味がないからな。



 その後、見つけたシレモンを倒して、奉納して帰った。


 リングァエル一体。

 ナゲァエル二体。

 アボカズァエル二体。


 これが今日の戦果だ。


 よポイントは、どれも一だった。


 奉納一発ギャグは思い付かなかったのでやらなかった。



 今日の夕飯は、リングァエル、ナゲァエルの体の部分のバター焼きと、アボカズァエルとリングァエル、ナゲァエルの足の部分のバターしょうゆ焼きだった。


 ナゲァエルとアボカズァエルの体は、梨とアボカドの味がして美味しかった。


 足は鶏肉のような味で、こちらも美味しかった。


 その後は、風呂に入って寝た。



 次の日から晴れた日は、朝から夕方まで草原でシレモン狩り、その後は飯、風呂、就寝。


 雨の日は休息を取ったり、戦術を考えたりしていた。


 そして、一か月が経過した。


 この日も俺は草原でシレモン狩りをしていた。


「ハヤトよ、そろそろ日が落ちて来る頃じゃぞ」


「分かったよ、シチロー。奉納して帰ろうか」


 ふう、今日もがんばったなぁ。


 リングァエル三体。

 ナゲァエル三体。

 アボカズァエル四体。


 これが今日の戦果だ。


 順調に狩れる数が増えているぞ。


 良い調子だな!



 モヒジ・カンゾウの前にやって来た。


 では、奉納するか。


「ちょっと待つのじゃ!!」


「どうしたんだ、シチロー?」


「フフフッ! 聞いて驚けっ! 昨日の夜に最高の奉納一発ギャグを思い付いたのじゃぁぁぁっ!!!」


「お、おう、そうなのか…… では、やってもらえるか?」


「任せておくのじゃ!!」


 俺はヘタを奉納した。


「では、ゆくぞ! 奉納一発ギャグ『筏モヒカンヘアー』じゃぁぁぁっ!!!」


 シチローがそう言って、俺の頭の上に乗った。


 ……それ前回のと変わってなくないか?


 まあ、いいけど。


 おっ、ウィンドウが出て来たぞ。


「どうじゃった!? なんよポイントじゃった!?」


「二〇よポイントだな」


「そ、そんなバカな!? たった二〇じゃと!? あ、ありえんじゃろ!? 少なすぎるじゃろ!?」


「いや、そう書いてあるから。それに前回の倍も獲得できたんだぞ。すごいじゃないか!」


「あれなら二百兆よポイントはもらえると思っておったのに……」


「それは多すぎだろ!?」


「うぐぐぐぐ…… 致し方ない、次の機会にリベンジじゃ!!」


「ああ、がんばってくれよ。期待してるぞ」


 さて、これで現在所持しているよポイントは、ちょうど二〇〇になったわけだ。


 そろそろ何か購入しようかな?


 帰ってからショッピングウィンドウを見てみるか。



 孤児院に帰って来た。


 そして、院長に獲物を渡し、寝室のベッドに腰掛けた。


 では、ワライトールショッピングウィンドウオープン!


 それから購入できる魔法を絞り込み検索!


 ズラリと大量にリストアップされたなぁ……


 さて、どれにしようか?


 エリンシシに勝てそうなものはないものかな?


 おっ、電線魔法の電力を上げるというものが、一〇〇よポイントで売っているぞ!


 これなら勝てそうかな?


 どうなんだろう?


 どのくらい威力が上がるものなんだろうか?


 いや、よく考えると危険じゃないか?


 ヘタしたら森が火事になるかもしれないぞ!?


 これを購入するのはマズいかも。


 そうだ!

 ちょっと電線魔法の先輩に聞いてみようか!



 院長に聞いてきた。


 電力を一回上げたくらいでは、エリンシシを倒すのは無理。


 電気で倒した場合、エリンシシの体が損傷しすぎて、買い取ってもらえなくなる可能性がある。

 火事になる可能性もある。


 電気を使いたい場合は、対象以外に電気が流れなくなる機能が一万よポイントで売っているので、それを購入してからの方が良いそうだ。


 これは電力を上げるのは却下だな。


 他の方法を考えよう。

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