第9話 まだまだ人間やめるぜ!
電線魔法と泥包装魔法を購入すれば、さらに防御を固めることができるだろう。
発光器魔法と求人魔法は、当たりが引ければ便利そうだ。
ハズレだと、マズいけどな!
さて、どうする?
購入するか?
うーむ、そうだなぁ……
みんなの意見も聞いてみよう。
「そうじゃな、購入しても良いのではないか?」
「安いし、買っておけば良いんじゃねぇの?」
「気になるなら、購入すれば良いのである」
みんな賛成のようだ。
では、購入しようか。
まずは電線魔法からだ。
電線魔法を購入した。
体に変化はないな。
では、腕から電線を出してみようか。
あれ?
出て来ないぞ?
なんでだ?
あっ、そうか!?
衣のせいで毛穴が塞がっているからか!?
なんということだ!?
衣魔法と電線魔法は相性が悪かったのか!?
やってしまった!?
電線を出すことができそうなのは口だけだな。
とりあえず、やってみようか。
うおっ!?
黒い電線が出て来たぞ!?
長さ四〇センチくらい。
太さ四センチくらい。
動かすことはできる。
息苦しくはない。
うーん、なんていうか……
微妙な魔法だな。
まあ、今更文句を言っても、どうしようもないけどな。
では、次は泥包装魔法にしよう。
泥包装魔法を購入した。
顔の衣の上に泥のパックが出現したそうだ。
現状はそれだけだ。
強化後に期待しよう。
では、次は発光器魔法だな。
発光器魔法を購入した。
おっ、ヘソのあたりが白く発光し出したぞ!
かなり明るいな!
懐中電灯の代わりになりそうだ!
これは便利な魔法だな。
「ハヤトよ、膝の裏側も光っておるぞ」
「えっ!?」
シチローにそう言われたので、膝の裏を見てみた。
確かに発光している。
なんでこんなところまで?
まあ、いいか。
最後は求人魔法だ。
変なのが来ないと良いけど……
とりあえず、祈っておこうか。
変のが出て来ませんように!!
フリじゃないからな!!
よし、では、やるか!
求人魔法を購入した。
うわっ!?
俺の目の前に妙な人型の何かが現れた。
頭部は直径三センチくらいの、黒い球状の毛の塊。
赤いドレススーツ、黒いドレスシャツ、黒い革手袋、黒い革靴を身に着けている。
身長二〇センチくらい。
このような姿をしている。
そして、腕を枕にしながら横向きに寝転がっている体勢で、空中に浮いている。
こいつはいったい何者なんだ?
派手なスーツを着ているホストのように見えるぞ。
ポーズは休日のおっさんのようだがな。
「どうも~。求人魔法から来た『キュースト』ッス。よろしくお願いしま~す」
求人魔法から来たのか!?
まあ、そんなの言葉の綾だろう。
どうでもいいことだな。
「はじめまして、購入者の生方速人だ。ハヤトで良いよ。よろしくな!」
「ハヤトの兄さんッスね~。オレっちはキューストで良いッスよ~」
シチローたちも自己紹介をした。
「ところで、キューストは何が得意なんだ?」
「そうッスね~。なんでしょうね~?」
「自分のことだろう? 分からないのか?」
「自分のことでも、意外と分からないものッスよ~」
あれ?
これはハズレを引いちゃったのか?
いや、そう断定するのは早計だろう。
キチンと調べてみないと。
そうだ!
ここはサンクトに神鑑定をしてもらおうか!
「仕方ねぇな! よっしゃっ、いくぜ! ぬおおおおおおおおおおっ!!」
サンクトが儀式を始めた。
ここからが長いんだよなぁ……
せっかくの能力なのに、これでは使いにくすぎる。
サンクトの能力も強化したいところだよな。
ああ、よポイントが全然足りないな!
もっと稼がないと!!
「おお~、なんかすごいッスね~」
キューストがサンクトの儀式を見て喜んでいる。
まあ、確かに神鑑定はすごい能力だけどな!
では、儀式が終わるまで暇だし、物置の中を見てみようか。
他に何か役に立ちそうな本はないかな?
うーむ、やはり孤児院だけあって、子供向けの絵本が多いな。
そういえば、この世界の普通の子供は、どんな本を読んで育つんだろうな?
ちょっと気になってきた。
読んでみるか。
ふむ、なるほど。
がんばって勉強したら良いことあるとか、懸命に働いたら良いことあるとか、そういった内容の本ばかりだな。
こうやって幼少期から、競争を促すような思想を植え付けるのかな?
まあ、それは構わないけどな。
そういえば、トゥハァの言っていたスローライフ許可証の入手方法が分かるダンジョンは、どこにあるのだろう?
記載されていそうな本はないかな?
うーむ、見つからないな……
院長に聞いてみようか。
「おひょおおおおおおおおっ!!! おっ、来たぜ、ハヤト!!」
サンクトの儀式が終わったか。
では、結果を聞いてみよう。
「キューストには、会話した相手を脱力させる能力があるぜ!」
「おおっ! そんな能力があるのか!」
「そいつはすごいッスね~」
「ん? 俺は会話したけど脱力なんてしなかったぞ」
「味方には効かねぇみたいだぜ!」
「それは便利だな!」
後でシレモンに相手に試してもらおう!
効果があるなら、大当たりだな!!
「他には何かないのか?」
「後は結構速く飛べるみたいだぜ!」
「そうなのか、キュースト?」
「どうでしょうね~?」
「ちょっと飛んでみてくれよ」
「いや~、今はちょっとのんびりするのに忙しいので~」
「全然忙しくないっての! いいからやれ!」
「仕方ないッスね~」
キューストがしぶしぶ物置の中を飛び回った。
確かに結構速いな。
小動物のようなすばしっこさだ。
まあ、実際小動物みたいなものだがな。
これは何かの役に立ちそうだ。
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