第7話 スローライフのためならやめれる!!
おはようございます。
気持ちの良い朝……
でもないな、今日は雨が降っているぞ。
しかも、土砂降りだ。
この世界にも雨はあるんだな。
この星って地球と同じような環境なのかな?
さて、今日は魔法の入門書を読むとするか。
昨日読もうと思っていたけど、寝てしまったんだよな。
まあ、いろいろあって疲れていたから、仕方ないか。
では、物置に行こう。
昨日の遅れは、今日取り戻すとしよう。
スローライフのために!
おっ、これかな?
背表紙に赤い文字で『人間をやめまくったマシローおじさんが書いた魔法入門書』と書いてある、図鑑くらいの大きさの白い本を発見した。
人間をやめまくった?
どういうことなのだろうか?
さっそく読んでみよう!
ふむ、入門書らしく魔法のことが丁寧に書いてあるぞ。
購入の仕方の図解まで添えられている。
非常に分かりやすくて素晴らしい本だな!
ん?
魔法の購入履歴を見る機能もあるのか。
へぇ、そうなのか。
おっ!
よポイントの入手方法も載っているのか。
えっ!?
シレモンを倒す以外にも、よポイントを入手する手段があるのか!?
なんらかの労働をする。
他者から買い取る。
このふたつでも入手できるらしいぞ。
はぁっ!?
なんだよ、それは!?
無理してシレモンを退治する必要はないのか!?
いや、そうでもないみたいだな。
労働の方は高額な賃金が得られるような、重労働なものや責任の重たいものを行わないと、たいしたポイントは得られないらしい。
子供ができそうな仕事では、丸一日働いてもごくわずかなポイントしか入手できないそうだ。
まあ、それでも圧倒的に安全だけどな。
他者から買い取るには、そこそこまとまったお金がいるらしい。
この世界にも、やはりお金はあって、悩まされることになるのか。
まあ、仕方ないか。
人の社会だからな。
ん?
これはお金の単位のようだな。
『ジカァ』というらしいぞ。
ジカァねぇ。
逆から読むと『赤字』になるんだな……
お金をためればためるほど、貧乏になっていきそうな名前だなぁ。
ここは魔法の分類について記したページのようだ。
なになに『魔法はふたつの系統に大別される。マトモ系とギャグ系である』と書いてあるぞ!?
えええええっ!?
なんだこの分類は!?
なんでこのふたつに分けちゃったんだ!?
もっとマシな分類方法はなかったのかよっ!?
マシローおじさん、何やってんの!?
『マトモ系は便利ではあるが、威力がなく、戦闘には向かない。その分、リスクもない。安価で購入できる』と書いてある。
へぇ、そういう魔法なのか。
具体的には、指先から小さな火を出せるようになる火魔法、ドライヤーのような温風を出せるようになる風魔法といったものがあるらしい。
確かに便利そうな魔法だが、戦闘で使うのは難しそうだ。
今は戦力を増強したいから必要ない魔法だ。
よポイントに余裕ができたら、購入を検討しようか。
『ギャグ系は便利なもの、威力の高いものと、さまざまな魔法が存在する。共通しているのは、人間の姿を失うことになるということだ』と書いてある。
はぁっ!?
人間の姿を失う!?
なんだそれは!?
いったいどういうことなんだよっ!?
『ギャグ系の魔法を購入すると、その魔法に関連のある姿に変化してしまう。本のタイトル通り、まったく人間に見えない姿になることもある』
ナンダソレ!?
訳が分からなさすぎるぞ!?
なんでそんなことになるんだよ!?
カスクソ邪神め、なんてことをしてくれたんだ!?
あっ、まさかトレットさんって、これのせいであんな姿になったのか!?
その可能性が高そうだな!!
ところで、これは元に戻れるのか!?
おっ!!
『元の人間の姿に戻ることはできるが、大量のよポイントが必要になる』と書いてあるぞ。
戻る手段はあるのか。
そこはひと安心だな。
で、肝心の方法は?
ふむ、よポイントを支払うことで、購入した魔法を便利にしたり、強化したりできるのか。
その中に人間に戻るという項目があるそうだ。
ただし、どれも高額らしいけどな。
ここからは各魔法の詳細について書いてあるようだ。
マシローおじさんが実際に使ってみた感想や、他の使用者たちの感想もまとめてあるようだ。
あっ、トレットさんはこれを購入したのか。
『人間のお茶魔法』
黄色と茶色の水を操る魔法。
購入すると、体が便器もしくは尿瓶になる。
マシローおじさんの評価。
攻撃、防御、回復、補助とさまざまなことができる魔法。
特に精神攻撃魔法が強力で、最強であると評価する者もいる。
問題は姿。
気になる方は、よポイントをためてから購入しよう。
使用者たちの評価。
強い、便利!!
姿を気にしない人にはオススメ!
購入したら彼女にフラれた、これはクソ魔法。
やはりトレットさんはギャグ系魔法の使い手だったのか。
強くなるには人間の体を捨てて、ギャグ系の魔法を購入しなければいけないのだろうか?
いや、それは早計か。
この本を読み終えてから判断しよう。
読み終わった。
やはりギャグ系の魔法を購入しないと、戦力の増強にはならないようだ。
強くなれなければ、ダンジョンも攻略できないし、スローライフ邪魔し隊を撃退できない!
すなわち、スローライフをするのは不可能になってしまう!
そんなのは絶対に嫌だ!!
よし、決めた!!
俺はスローライフのために、人間をやめるぞぉぉぉっ!!!
さて、問題はどのギャグ魔法を購入するかだな。
最強らしいし、俺も人間のお茶魔法を購入してみようか?
そういえば、いくらだったっけ?
もう一度見てみよう。
げっ!?
一万よポイントもするぞ!?
購入できないじゃないか!?
仕方ない、他のものにするか。
トレットさんはどうやってこんな高いものを購入したのだろうか?
生まれてからずっと仕事に明け暮れていたのか?
あっ、まさか親の遺産で買ったとか!?
孤児院にいるのだからあり得そう……
どうやら気軽に質問して良いものではなさそうだな。
触れないようにしよう。
さて、どれを覚えようか?
とりあえず、今購入できるものをリストアップしようか。
ワライトールショッピングウィンドウに、価格で絞り込み検索をする機能があるみたいだから使ってみよう。
……いっぱい出てきたぞ!?
今の俺でも、購入できるものがいろいろあるんだな!?
うーむ、どれにしようか?
おや?
マトモ魔法はどれも一〇〇よポイントなんだな。
まあ、今はいらないけどな。
えっ!?
これは!?
シチローたちの強化なんて項目があるぞ!?
こんなところにあったのかよっ!?
シチローが進化する。
サンクトの神鑑定の儀式が早く終わるようになる。
ディディのアイテムボックスの容量が増える。
といったことができるみたいだ。
お値段はどれも一〇〇よポイントだ。
シチローの進化は気になるし、他のふたりのも重要だ。
ああっ!?
いったいどれにすれば良いんだよぉぉっ!?
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