第4話

「だからなんじゃいこれは!」


神に言われた通りポケットの中には一枚の紙のようなものが入っていたのだが、内容をぱっと見てすぐさま地面にたたきつけることになった。


「いやまぁ、何かの見間違いかもしれないしもう少しちゃんと見ておくか」


ふざけた情報が目に入ったとはいえ、他の説明はまともなことを信じて叩きつけた紙を拾いなおす。


えぇっとなになに・・・


・氏名 ナイフ・ぺ・ロー

・職業 盗賊

・年齢 25

・加護 無し

・恩恵 ナイフを舐めることにより一時的な身体強化(重ね掛けも可

・現在地 魔獣の大森林

・最寄りの街 パドゥドゥ(小さい町だが最初に訪れるならおすすめ)

       ゼクシード(大きな街で物流も多いが、基本物価が高い)

補足 私の財布から盗んだ2万円は返してもらいますので悪しからず。


「やっぱりくそみてぇな内容じゃねえか!」


勢いに任せて持っていた紙を真っ二つに割いてしまった。

名前から何から取ってつけたようなものばかり、唯一普通な部分は年齢と現在地くらいか。あ、あと最寄りの街も一応参考になるな。


ていうかあのパンパンに詰まっていた財布あの女の物だったのか。これって実質嵌められたかんじしない?気のせいだろうか?

まぁ気にしても仕方ないか、後気になるところは恩恵の部分か。ナイフを舐めることで身体強化って何だよ。ふざけすぎな気がするんだが・・・・


「そういえばつい紙に気を取られていたが、この目の前にある箱は何だ?」


少し興奮していたせいで回りが見えていなかったが、改めて周囲を見渡すとゲームでよく見るような宝箱が不自然に置かれていることに気が付く。

いかにもな感じで置いてあるせいで、またあの女の罠なんじゃないかと勘繰ってしまうが、もしかすると転生特典なるものかもしれないと思い意を決して開ける事にした。


「はい、オープン!」


少し重厚感のある箱を持ち上げるとその中には、少し大きめのナイフと腰に掛けれそうな革袋、鉄製の籠手と膝当てという初心者ご用達セットのようなものが入っていた。

転生特典だとするのなら少ししょぼいように見えなくもないが、実際はこんなものかあの神様適当そうだったしなぁ。


―――――――――


「ふむ、これは案外悪くない。前の世界じゃただのコスプレだが、こっちだと必須装備だな」


装備も準備万端、目的地は紙にも書いてあった神様おすすめのパドゥドゥの街。


どっちに向かえばその街につくのかはわからないが、ひとまず歩き続ければ舗装された道にでも出るだろう。

始まりは最悪だったが、ひとまず転生させられた以上罪を清算する意味も込めてこっちの世界で生きていく算段をつけないといけない。

未だに引っかかることはいくつかあるがそのあたりは追々考えていこう。


「異世界ライフ、スタートだ!」

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