(三)-2
母は祖父や祖母にそう口酸っぱく言われ続けた。そして二人の息子が家を出た頃に父を亡くした。その際、父が守ってきた祖父母の遺言を、母は死ぬまで守り通そうと決意したのだという。さすがに所有する全ての田畑を耕作はできないものの、一部だけでもしっかり引き継いで、残していくのだという。だから死ぬまでこの家に住み続けるのだと、母は強弁した。
とはいえ、心配だった。その兄はもういない。俺は大阪に帰らなければならない。母は一人でここに残ることになる。
だから俺は老人ホームを探して入るべきだと母に言った。もしも大阪に来るなら部屋を探すとも言った。それに老人ホームなら大阪へ行けばたくさんあるだろうし。
(続く)
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