第29話 ミナポン会議
「これより、第88回、ミナポン会議を始めまーすっ!」
闇桜が高々と宣言すると、薄暗い地下牢のあちこちで歓声があがった。
逮捕された彼女たちは檻の中で会話くらいしかすることがない。
「最近、私、外食、たくさんしましたよー!!!
これだけ!滞納して、外食する余裕がある!!
滞納しながら贅沢する余裕がある!
人間たちこそ!私たちを舐めている! どうですか?」
「「「「「わっかるー!」」」」」
あちこちの牢から賛成があがる。
「人間って、食っても食っても生まれてくるよね! これはエイリアンを舐めているとしか思えない!」
「櫻は、○○○円の滞納に対して、月○○○円の支払いを迫られ!お金に大変困っている!だから、金の催促に必死!!!脅迫行為をしましたが、校長からどれだけむしりとっても、やつら、まだしぶといでーす!」
「でもそろそろヤバイんじゃない? 櫻じゃなく校長こそ、金欲しさに騒ぎ立てる!脅迫犯の訴え、アピール、順調に進んでる?」
どこかから声が上がると、櫻は大丈夫大丈夫!と気楽に応じた。
その顔はまだ、真夏のクリームのようにどろどろ溶けていて、しばらく固まりそうにない。
「闇桜は? このままでは、口先ばかりの、ハッタリ野郎!異常者扱いで終わるぞ」
どこかから声が上がると、闇桜は大丈夫大丈夫!と気楽に応じた。
「お花畑男子が、うちらモンスターに、闘いを挑んで来る事事態!、、ミステイクだっ!ちゅーの!!!」
「オモチャのぴこぴこハンマーならぬ?先に、手形のついた挟むハンマーあるでしょう? あれ!あれでナイフを摘みながら!
『怖いよー、怖いよー、闘い怖いよー、痛いの怖いよー!』逃げ回りながら!持って振り回してるようなモンっすよ! 表ざたになったらどうなるか……」
【国民を洗脳】【国民を洗脳】【国民を洗脳】、卑怯な手を使わないと、トップに辿り着けなかった。成り済ますことが出来なかった。
それが、ミナポンたちの【今まで、やってきた事】だ。
どれだけ、他人に成り代わろうと、経験が浅い。結果的にいつも自分の才能に自信がないから、呪い、暴力を使って『自分が1番強くて!偉いんだぞー』と、圧力をかける。そのため、成り代わり先で揉めて檻に入れられるものも少なくないのだった。だけど、ある意味では、同じような友人ができやすい。
これはこれで愉快に暮らしている。
「我々は自分がやってきた事に拘り過ぎる言動ばかりやってるから、自ら汚点を悪目立ちさせている」
誰かが言うと、他が大きく賛同する。
「「「「「確かにー---」」」」
「だけどずば抜けた!良い評価を受ければ、あとは芋づる式に!無条件に、好印象を得られる!こんな、嬉しい連鎖反応も、強いインパクトを与えるアプローチは、もたらしてくれるかもよ?」
「でも、そんなの、あるかなぁー-?」
「この前の野郎はまた、チクリ入れてたぞー! 迫害依頼を受けるだけではない!政策もお金をもらえば、依頼内容を強行!制定まで持っていく!とか」
「えーっ、やばーい」
キャッキャッと楽しそうにはしゃぐミナポン達。
実際、彼らのパワハラから自殺者も出ている事が判明している以上、この異常なまでの攻撃性を危惧し、それなりに厳しく対処しなくてはならないのだが……どんなときでも楽しいと感じてしまうのが彼らの感性である。
2022年7月10日0時51分
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