第4話 ケラケラ
僕は呆然とした。君は努力した試験の結果が0点だった経験があるだろうか。その感覚と似ている。いつのまにか握りしめた答案用紙が湿るように私の携帯の画面も濡れていた。雨は降っていなかった。悔しかったんだろう。体を前後に揺らし、奇声を上げた。どのくらい時間が経っただろう。私の声は既に枯れており制服は長袖になっていた。彼女はー私の彼女ではないため適切な表現ではないがー彼氏と手を繋ぎ歩いていた。クソッタレなことに駅から学校までの道程と時間が同じなのだ。握りしめた両手を離さず、楽しそうな彼女らと俯く僕。役犬顔男子の彼氏と白く美しい彼女。そして僕。彼女のふっくらとしたふくらはぎを舐めるように見た陰茎は、物言いたげであった。授業においては小うるさい教師を無視し、彼女の後ろ姿や横顔を見て鼻息を荒げていた。全ての授業が終わると僕は帰宅し、彼女は部活に向かった。彼氏と彼女は同じ部活だったので僕の知らない一面も知っていたのだろう。そして何もできぬ日々が三年という時を刻んだ。そして私の友人が彼女の処女喪失の事実も胸に刻んだ。私は二人の行為の様子を思い浮かべ、ケラケラと笑った。もちろん、右手を上下に擦りながら。
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