第3話

 送信から数分、私には一秒が一生に感じたが色良い返事だった。彼女も一言の返信だった。それから月日は流れ、当日。日本最大の花火大会の1時間前に彼女と合流した。お互いに私服だった。場所取りをしていないため、大会の最中は会場を歩き回っていた。そして、大太鼓を叩きつけた音がした。花火が打ち上がったのだ。ドン、ドン、パラパラ。私は花火に見入る彼女の横顔に見入っていた。東北では墓参りの際に花火をするという雑学を思い出しつつ、その時を過ごした。川の流れのように僕と彼女の時間も流れていった。そんな僕と彼女を花火は、見下ろしていた。白熱する花火の下で手を握ることができなかった。恥ずかしいが、今では甘酸っぱい思い出だ。手を握れず、思いも伝えられずに駅で解散した。彼女は終盤においては、退屈のようにも思えた。もちろん次の日の朝には充血して膨らんだ下着を脱いで、白い液を撒き散らしたのは言うまでもない。

 それからしばらく月日が流れ、秋。再度、彼女を遊びに誘おうと食事に誘ったが反応が悪かった。好きなのだから諦たくはない。なんとか粘り彼女から一つの事実を吐き出した。なんとも、神は私を見捨てたらしい。東は天皇、西はキリストまでに祈ったが叶わなかった。彼女はメッセージを送ってきた。その文字列は、彼女に彼氏がいる事実を報告しているようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る