狂愛

坂口 大雲

第2話

 私は彼女の裸体を思い浮かべ、陰茎を上下に動かした。右手を激しく動し、妄想に浸る。彼女の初体験を入念に考え、絶茶に至るまで5分。この生活を続けて5年になる。彼女との出会いは、同じ教室だった。授業に集中できない私は、左隣に座る友人と話していた。その奥に座る女の子と目が合い心を射抜かれた。卵のように白い肌、短く切り揃えられた上品な髪と妖艶な笑みに包まれてしまった。私はしばらく、口を聞かずに心臓の鼓動を聞いた。教師に声をかけられ我に変えるも、充血した陰茎が物言いたげに私を見上げていた。

 1時間の退屈な授業が終わり、教室から去る彼女の生脚を舐めるように見ていた。筋肉質なふくらはぎと、彼女の愛らしい顔に妙なギャップを覚えた。たしか彼女はバトミントン部だった。私は帰宅部だったので接点はまるで存在しなかった。接点を探すと共に季節は夏になった。蝉の泣く音、アスファルトを焼く太陽の日差し、鼻の奥に残る塩素の匂い。七月。ノートを写させて欲しいと嘘をつき彼女の連絡先を取得した。彼女との話が重なるたびに使用済みのティッシュも増えていった。使用済みのティッシュが、一箱を越えそうな日曜の昼下がりに一言のメッセージを送った。『花火大会に行かない?』と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る