科学は、信仰に基づく活動である。

彼の国は、歴史が500年程度しかないにもかかわらず非常にお金持ちな国である。


強い立場であるのに誇るべき文化がない場合、何か誇るべき精神的支柱を見つけるのが人間の常である。そしてその解の一つが宗教である。


彼の国ではある宗教を信仰している人が非常に多いらしいが、全く別の宗教にハマる人もいるらしい。


それが科学だ。


科学は、科学への信仰に基づく活動だ。


ここで言及すべきは、科学の文化的側面である。


すなわち、別の国においては、科学は伝統に対するアンチテーゼとなったが、しかし、彼の国においては、或る特定の時代において、そこで無限の可能性のあるとみなされた科学と、その科学への信仰が文化そのものとして受け入れられたのだ。


その現出の一つがが今でも彼の国で流行り続けるSFであると思う。科学への無限の期待が、科学によって変化した遠い未来を思い起こさせ、そうした思考もまた文化となった。


そして、それを守るためには、世界一科学が発展していなければいけない。


彼の国は、そうした宗教を信じる者と、そうした文化を持つ者によって、科学を文化的に支援し続けているのだろう。


それは、どこかの島国が千年前の建物を守るために支援するのと、同じことなのかもしれない。





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