こつこつレベル上げ? 周回してレアアイテム? そんなことしなくてもすぐ最強! スキル【リバース】で苦戦しません!
第43話 うっかり4人目ができちゃいました。そしてもっと最強へ。一方では世界に暗い影が……
第43話 うっかり4人目ができちゃいました。そしてもっと最強へ。一方では世界に暗い影が……
ナディアちゃんの故郷にテレポートした僕たちが見たのは、焼け落ちた建物のがれき、それらを重機で片づけている自衛隊の姿だった。
近くにいた作業中の自衛隊員に近付いて聞いてみる。
「ああ、ここは露支那軍により滅ぼされてしまったのだよ。何でもユニオンアース教に協力していたとか…… ホントかどうか怪しいものだけどね。生き残った人間はいないそうだ。露支那軍が徹底的に蹂躙していったからね」
「…………ひどいですね」
「ああ、男はいたぶって殺され、女子供はことごとく犯されていたらしい。おっと、子どもに話すことじゃなかったかな。ボランティアで来たのならあちらのテントで頼むよ」
作業の現場から離れる。
ナディアちゃんの横顔を見る。
本人の希望といえやはりまずかったのではないかと僕は思ってしまう。
「お父さん、お母さん……」
「ナディアちゃん……。やっぱり帰ろう」
「うん。覚悟はしていたの。お兄ちゃんのせいじゃないの」
テレポートで家に帰ってくると、そのままナディアちゃんに割り当てられている部屋に2人で入った。
「ねぇお兄ちゃん、私サイロに連れていかれたあと、協力すればお父さんとお母さんにお金を送金する、って言われたの」
ナディアちゃんがポツリポツリとしゃべりだす。
「私のユニークスキル【広範囲化】で計画が10年は早くなるから、って言ってた。あまり良くないことだと思ったの。ユニオンアース教は以前からよくない噂があったし」
僕は黙って聞いていた。
「お父さんとお母さんのところにサイロが来たとき、お父さんとお母さんは断った。でもその瞬間にサイロは豹変して連れてきてた教徒にお父さんとお母さんを脅させ、2人とも気絶させられ私は無理やり連れて行かれたの」
胸くそ悪い話だ。
「薬を打たれてされている間もあの男は、『私がお前を生かしてやっているんだ、両親に金を送っているのも私だ。毎日私に心を込めて奉仕するんだぞ』といつも言ってたの。だから私がこんなになってもお父さんとお母さんは大丈夫、と思っていたのに、なのに……」
「ナディアちゃん、それ以上は……」
こっちが聞いていられない。
「悲しいし、ユニオンアース教も露支那も憎い。でもそれ以上に寂しいの…… お父さんもお母さんもいなくなっちゃった……」
ナディアちゃんの寂しそうな顔を見て思わず抱きしめて頭をなでてしまう。
「つらかったね……。僕も小さいころ両親が露支那帝国に殺されているんだ」
「え、お兄ちゃんも?」
「ああ。ただ物心つきはじめたころだったからあんまり覚えてはいないんだけどね」
「お兄ちゃんも私といっしょだね」
「うん。お父さんやお母さんの代わりにはなれないけど、家族と思ってくれていいんだよ。ここを出ていきたくなるまでいていいからさ」
「ありがとう、お兄ちゃん!! ……あのね、家族って、恋人も含まれるの、かな?」
「えっ……」
上目遣いのナディアちゃんに僕の理性は耐えられなかった。
◇◇◇
「翔、節操ない」
「あら、年下もいけたのね」
「翔さまがよければ私はかまいません」
魔が差したんです、といえばナディアちゃんに失礼かな。
上目遣いでナディアちゃんに見つめられ、キスしてそのまま最後までしてしまった。
おっかしいなあ、3人も恋人がいるから女の子には慣れてると思ってたんだけど。
3人に隠せる気がしないので自分から話しました。
「英雄色を好む、とはよく言ったものだ。翔くん、さらに増やしてもいいんだよ。まだ人妻とか未亡人とかあるぞ」
あとで知った御堂さんは笑いながら言うが、さすがにもうこれ以上はね……。
とか思いつつ4人まで増えちゃったけども。
◇◇◇
例のごとく、ナディアちゃんにも【リバース】を使ってつよつよにする。
ユニークスキルも復活させた。
「お兄ちゃん、【無職】をリバースするとどうなるの?」
「そういえば試したことないな~」
「ナディアで試してみていいよ」
「わかった。ちょっとやってみるか」
ーーーーーーーーーーーーーー
ナディア=サハル レベル 99999
ジョブ【森羅万象】
ユニークスキル【広範囲化】
ーーーーーーーーーーーーーー
【森羅万象】はあらゆるジョブを極めた者。
全てのジョブのスキルを使用可(ユニークスキルは別)。
全てのジョブの特性とマスター特典を有する。
あ、【無職】が最強じゃなかったんだ。
というのが最初の感想で、次は20個ジョブを集めて【勇者】になる手間がなくなったな、というのが次の感想だ。
もちろん僕や玲たちにもこれを使ってみんなジョブを【森羅万象】にした。
史上最強の5人だと思うけど、これって個性がなくない?
例えば転職システムがあるゲームだったら、全員最強の職業にして最強の技をひたすら使って裏ボスを最短時間撃破とか。
そしてその裏ボスが圧倒的パワーでストーリーボスを倒しに行くとかさ。
メンバー誰でもいいじゃん。
一応、みんなユニークスキルが異なるからそこで差異がでるけどここまでくればそれも誤差の範囲内な気がする。
御堂さんや美城さんにも教えたが、やはり必要ないと言われた。
「日本は安泰だな。しかし君たちは劇薬すぎるな……」
「御堂さん、僕ではもうお役に立てませんか?」
「すまん、気を悪くしないでくれ。そういうつもりではない。何でもできすぎるゆえ、何をするのが最適なのかわからんのだ。頼めば何でもできそうだからな。それに対価を払えるかどうかも怪しくてな。今までの功績に対する報酬もまだ十分ではないと思っている。お金に換算すればいったいいくらになるのやら」
「御堂さん、僕はあなたから受けた恩を忘れてはいませんよ。最初に無力だった僕を引き取ってくれて、里親との縁も切ってくれたこと。あのときの感謝はお金に換えられません。それに御堂さんの理念に賛同しているのです、協力は無償でもかまわないと今でも思っています」
「ありがとう、翔くん。今すぐではないが、立派な日本を作っていくことで君の協力に応えることとしよう」
◇◇◇
side 露支那帝国
「ようやく成功したか」
露支那帝国第4代皇帝秦王林は魔石兵器開発研究所からの報告書を受けて、笑みを浮かべた。
魔石兵器開発研究所は非公式の機関である。
魔石エネルギー登場以前の近代兵器は、突如現れたダンジョンからの魔物には効果が薄かった。
また、高レベルの人間に対しても同じく効果は薄かった。
そのため核兵器はただただ費用がかさむだけのお飾りとなり、公式には全て廃棄されている。
そして歴史は繰り返すもので、魔石エネルギーの登場とともに魔石を使った兵器の研究もなされた。
だが、どんなに研究してもダンジョンから得られる武器の威力を超えることはできなかった。
魔石銃なども開発されたが、個人でスキルを発動する方が手っ取り早かったので趣味の領域を出ないものとされていた。
それでも50年ほど前に、魔石を使った大量破壊兵器の研究・製造は国際条約で禁止はされた。
当然のごとく露支那帝国は条約を無視して研究開発を行っていた。
そのためには大量の魔石が必要だ。
なので露支那帝国内のダンジョンから得られる魔石は、地方の農村部や朝鮮自治区には生活を維持できる最低限しか配分されていない。
そうして節約しても足りないので世界各国のダンジョンに無断に侵入して魔石を持ち帰り数を確保していた。
それも翔がリバースを使って邪魔していたので数の確保ができなくなりつつあったところ、露支那帝国はついに実用的な兵器の開発に成功してしまったのだ。
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