第33話 結局フランをアメリカから寝取って仲間にしちゃいました。それとまた不法な探索者たちを懲らしめます。

side フラン=アスター


 探索者協会との契約の打ち切りを告げた翌日、サカザキ様が迎えに来た。


「フランさん、いったん日本に戻りましょう」


「フラン、でかまいませんわ。では、よろしくお願いいたしますね」



 日本に帰ってきてから、今いるマンションを引き払う。

 アメリカの探索者協会に負担してもらっていたのだからもう出ないといけない。



 私は御堂邸を訪れた。



「サカザキ様にお会いしたいのですが。私は同じ高校のフラン=アスターと言います」


 対応してくれたのは初老の執事。

 応接室に案内されるとすぐにサカザキ様が現れた。


「どうしたの、フラン」


「まずはあらためてお礼を。妹の命を救っていただきありがとうございます。代わりに差し上げられるものを考えていました。私の一生をかけて恩をお返ししたいと思います」


「え、何でそうなるのさ?」


「妹を治したあの薬は、私では到底手に入れられることが叶わないSSランク。さらに鑑定にテレポーテーションにテレパシー。詮索するつもりはありませんが、それ以外にも有用なスキルをお持ちでしょう。そんな裏ランキング1位のあなたに差し出せるものは私自身しかありません。幸い、私のユニークジョブ【不死鳥の雛】がありますからあなたの盾くらいにはなれます」


 サカザキ様はちょっと困った顔をする。


「そんなつもりで助けたんじゃないんだけどなあ……」


「私なんかいらないですか? 容姿はよいほうだと思っていますし、まだ誰とも経験がない体です。貴方色に染めることができますよ」


「えと、無理しなくてもいいんだよ。アメリカに行く気はないし」


「前回はそのためでしたが、今は違います。アメリカの探索者協会の専属は辞めてきました。妹の治療の必要がなくなったので。だから、私は自分の意志で言っています。私をあなたの傍においてほしいのです」


「言いにくいんだけど、僕は既に恋人が2人もいるんだよ。それに妹さんを助けたのは君の見返りが欲しかったわけじゃなくて、君をいいように利用している大人たちが気に入らなかったから一泡吹かせたかっただけだ。多分フランが思ってるような人間じゃないよ、僕は」


「そういうところですよ」



◇◇◇



 フランさんの妹を助けて(僕が強引に)、それから一週間してフランさんを迎えに行って日本のマンションに送り届けた。

 どうやら引き払わなければいけないらしい。


 これでお別れか。

 彼女の妹が助かったのなら、僕に迫る理由はなくなる。

 元のアメリカの生活に戻るのだろう。

 

 と思っていたら、フランが家にやってきた、と美城さんから告げられた。

 最後のお別れをわざわざ言いに来てくれたか、もしやアメリカへの勧誘任務がまだ残っているのだろうか。



「私の一生をかけて恩をお返ししたいと思います」



 いやいや、何か勘違いしてるっぽいからちゃんと説明した。

 けど、アメリカとは関係なく僕のことを好きになったらしい。


 結局フランを説得できなかったので、この日は泊ってもらうことになった。

 マンションはもう引き払って行くあてがないんだからしょうがないよね。


 そして、玲と三日月さんに今回のことを話す。


「いいんじゃない? 翔くんがよければ」


 とは三日月さん。

 そりゃいいか悪いかで言えばハニトラとかじゃなけりゃいいに決まってるんだけどさ。


「さすが翔。アメリカからNTRった」


 こら玲。

 どこでそんな言葉を覚えた。

 

「私たちでフランさんと話してくるわ。女の話よ」



◇◇◇



 その夜、僕の部屋に薄着のフランがやってきた。


 彼女の意志は固かった。

 据え膳食わぬは男の恥。


 処女をおいしくいただきました。

 優しく中にも出しました。

 事前に玲が避妊魔法をかけてたからね。

 一応僕も使えるんだけど、だいたい使い忘れるんだ。

 あ、あといつのころからか僕の部屋のベッドはダブルベッドに変えられていた。



 これで恋人3人かあ。

 女の子同士っていろいろマウント取りとかがありそうなんだけど、玲と三日月さんとフランが話し合っての結果なんだから多分大丈夫でしょ。


 あ、夜のローテーションどうなるんだろ?

 


◇◇◇



 翌日、玲とフランとで登校する。


 玲とフランが僕をはさんで歩いている。


 フランが僕を見る目は気のせいかいつもより潤んでいる。

 以前の無理してる感とは違って自然な感じだ。



(またヤッたな……)


(またヤッたのね……)


 既に経験済みのクラスメイトたちはやはりフランの様子から察する。

 そしてそれを口にすることはない。


 未経験のクラスメイトはやっぱり気づかなかった。

 石田はさすがに察していたが、普段通りに振舞っていた。



◇◇◇



 放課後の下校中に気になっていたことを聞いてみる。


「フラン、そういや今まで放課後どこに行ってたの?」


「妹の病気を治すヒントがないかと思ってあちこち探してたの」


「そうだったのか」


「結局見つからなかったですが。アメリカでも見つからなかったし、可能性は低いかと思っていました。もしだめなら何とかして露支那帝国に忍び込もうと思っていました」


 露支那帝国は出入国管理が厳しいらしいから、一筋縄ではいかなかっただろうな。

 結局は僕の【万能錬金術師】で解決したけど。


 フランと一夜を過ごして、彼女にも僕のジョブやスキルについて明かした。

 で、彼女の希望により強化を施した。



ーーーーーーーーーーーーーー

フラン=アスター レベル 99999

ジョブ【ゴッドフェニックス】

ユニークスキル【魔神イフリートの加護】

ーーーーーーーーーーーーーー



 ユニークジョブ【不死鳥の雛】をリバースすると、【ゴッドフェニックス】に。

 これは死んでも1分後に任意の場所で復活できる特性がある。

 しかも肉体はなくてもいい。

 とはいえ、死ぬときの痛みはあるだろう。

 なお、マスター特典は自動で反撃する炎のバリアを展開できることだ。


 フランがアメリカのダンジョンを攻略しているときは【不死鳥の雛】の再生特性を活かして自爆特攻まがいの作戦をさせられることも度々あったらしい。

 そのおかげで非公式の攻略階層を更新できていたが、死ぬほどの痛みを何度も味わっているとのこと。

 



 絶対フランはアメリカに帰さないことに決めた。




 御堂さんには事情を話してフランを住まわせることを提案。

 あっさりと了承され、フランとも同居することになった。

 また、フランの国籍を日本に変える手続きも行ってくれるとのことだ。

 御堂さんは独自のつてがあるらしい。



 後日、500本のエリクサーを御堂さんに言われて用意したら、フランの国籍はすぐに日本となった。

 御堂さんの権力もたいがいチートじゃないですかね……。

 エリクサーをどう使ったばら撒いたのかは聞いていない。

 世の中には知らなくていいことがあるよね。



◇◇◇



「さて翔くん、最近日本で色々と起きたからね、ここらで目くらましをしておきたいと思う」


「御堂さん、何をするんですか?」


「外国のダンジョンを見てもらっただろう? その中に潜んでいる違法な露支那人の排除をしてほしい」


「また生死を反転させましょうか?」


「いや、ダンジョン事故に遭う確率を反転させてみたらどうかと思ってな」


「なるほど」


 御堂さんもいろいろ考えるもんだなー。


「日本ダンジョンでは不審死してもらったが、実は露支那政府から非公式に日本政府が問い詰められていてな。とはいえ、日本政府は本当に知らないから空振りなのだが。なら事故はどうだろうと思うのだ」


「ちょっとやってみましょうか」


「頼む。何らかの変化があれば外国で報道がされるはずだ」



(【リバース】発動! アメリカ、ブラジル、インド、EU、イギリス、南アフリカのダンジョンにいる露支那人のダンジョン事故に遭う確率を反転する!)


「御堂さん、終わりました」


「ご苦労。ところで、【リバース】を発動した場合、なにか感触はあるのか?」


「いいえ、特には。上手くいっても不発でも分からないんです」


「そうか。こちらは3日に一回頼む。日本についてはしばらくやらないでもいいぞ」



◆◆◆◆◆◆


【グラビティワールド】

 【重力魔法使い】の最上位ジョブ。

 重力に関する魔法を使える。ただし消費魔力が大きい。

 マスター特典は魔力の最大値の上昇。

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