第22話 金髪美少女の転校生が来ましたがなぜか僕にべったりです。ついでに裏ランキングの作成者がわかりました。

 翔が御堂の指示通りの【リバース】を使った日以降、日本海沿岸部や国際空港で身元不明の突然死の死体が日に数件ずつ発生することになる。

 どの死者が持っていたスマホも解析困難なものであった。


 死因は心臓麻痺と判断された。

 ただ、日ごとの数が多くないためかあまりニュースにならず、ローカルニュースで海岸に身元不明の死体が発見されたと報道されるくらいであった。

 もっとも全国に満遍なく散らばっていたため、何が起こっているとも気づかれることはなく共通性は見出されなかった。


 対してダンジョン内での不審死はある日突然激増し、こちらはニュースとなった。


 翔がダンジョン内の外国人の生死をリバースして次の日、各地のJEA支部に探索者やダン警から届けられた死者のスマホ数は2000個を超えた。

 いずれも解析困難なスマホである。

 また、残った死体はほとんどAランクアイテムのマジックポーチ(大)を持っており、発見した探索者のものになった。


 翌日も1000個を超し、ダンジョンで何か異変が起きたのではないか、何かの前兆ではないかと騒がれた。

 こうして日本ダンジョンで魔石を得て本国に持ち帰るために違法に活動していた外国人探索者はほどなくして理由がわからないまま全滅した。



◇◇◇



side アメリカ探索者協会本部



 WEA(世界探索者協会)の裏ランキングは、アメリカにも漏れていた。

 WEAやその周辺にもアメリカのスパイが当然紛れ込んでいる。

 諜報活動をしてないのは相変わらずクソ真面目な日本くらいなものである。



「ショウ=サカザキ、レイ=ミドウ、ジャパニーズか。前回のランキングにはいなかったはず。どうやって3ヶ月で世界のトップになったのだ?」


 本部トップは思案する。


「そんなことは引き入れてから考えればいいか。早くしないと露支那に殺されるかもしれん。いや、レベル次第では大丈夫か。そうなると誰を派遣すべきか……。力で従えるのは後の手段にするか。あいつは使いにくいからな」


 裏ランキングが届いてすぐに調べさせた翔と玲のプロフィールを見ながら、候補を思い浮かべる。


「ふむ……。ちょうどいい、同じ年齢の彼女がいるか。しかも彼女なら絶対に任務を遂行しなければならない理由もある。同盟国の日本には悪いがこいつをアメリカに取り込んで世界の覇権を露支那から取り返せれば、次の大統領は私だ……!」


 アメリカ探索者協会本部のトップは目をギラギラさせていた。



◇◇◇



「おはよう一樹、元気になった?」


「うん、もう大丈夫だよ翔。僕を病院まで届けてくれてありがとう」


 僕と一樹くんが暗殺者に襲われて3日後。

 一樹くんはあの暗殺者に薬をかがされて眠らされていた。

 毒性が強かったので僕の部屋から病院に連れて行ったのだが、昨日退院して今日からまた登校してきた。


「後遺症とかないの?」


「うん、なかったよ。突然倒れてごめんね」


「いや、気にしないで」


 謝るのはこちらだ。

 僕が狙われていたために人質にされたんだからな。

 でも今は大丈夫、命令どおり影が影の中で常に待機しているからだ。

 死者はお腹もすかないし眠りも必要ないし、命令に文句も言わない。

 最高だな。


「で、あの日どうして小遣い稼ぎに行こうとしたの?」


「いやあ、もうすぐ妹の誕生日でさ。ちょっとプレゼントを買おうと思ったんだ」


「そうだったの。コレ、あげるよ」


 そういって僕はプチゴールデンスライムの魔石を一樹くんに渡す。

 あのあと狩っておいたのだ。


「これは…… いいの?」


「うん、まあね。お詫びみたいなもんだ」


「ありがとう、もらっておくね。妹の誕生日は過ぎたけどこれで買ってあげられる」


 うん、巻き込んで申し訳ないからね。

 事情は言えないけど。



「おーい、席につけ、今日は転校生を紹介するぞ」



 矢部先生が朝のホームルームを始める。


 つか、転校生?


「おう、入れ」


「はい」


 おお…… マジか……

 

 男子たちがざわめく。


「アメリカから来た転校生、フラン=アスターさんだ。初めての日本で心細いと思うからみんな優しくしてやってくれ。席は、逆崎の隣だ」


「日本のみなさま、こんにちは。フラン=アスターと申します。みなさまと同い年です。よろしくお願いしますね」


「えー、ずるいぜー!」


「あいつには御堂さんがいるのにー」


 そんなこと言われても。

 僕が決めたんじゃないし。


 そしてフランさんがゆっくり歩いてくる。

 金髪碧眼で長髪をなびかせ優雅に歩いている。

 ついでに胸も大きい。

 非の打ち所がない美少女だ。

 あと日本語もうまいな。

 翻訳アプリいらなさそうだ。


「よろしく、サカザキくん」


「ああ、うん、よろしくフランさん」


 こちらに笑いかけてくる顔も可愛い。

 いつだったか御堂さんに言われた嫁は何人でもいいというのがちょっとちらついたのは許してほしい。



 授業中は、まだフランさんのタブレットが手配できていないということで、僕と席をくっつけていた。

 ときどき笑顔を向けてくる。

 つか、横乳が当たりそうなんですけど……。



 そして昼休み。


「サカザキくん、お昼を案内してほしいなあ」


「わかったよフランさん」


 そして、食堂のテーブルでは僕の両側に玲、フランさん、そして前には一樹。

 両側からの圧が半端ない。

 玲のほうから冷気がもれてる気がする……。


「おい、なんだあの両手に花は?」


「あの金髪はアメリカからの転校生だってよ」


「もう片方は御堂玲だろ? どうなってんだ? 堂々と二股か?」


「爆発しろ! それと凍れ!」



 なんだか周りの目が痛いよ。

 特に気にする様子もなくフランさんはエビフライ定食をもぐもぐしてらっしゃる。

 可愛いんだけど……。


「ねえ、翔、僕たちすごい注目を浴びてない?」


「奇遇だね一樹、僕もそう思うよ」


「翔、フランさんに近くない?」


 いや、フランさんが椅子をこっちに寄せてきたんだよね。

 お胸が当たりそう。

 はあ、どうしよう。



◇◇◇



 翔がフランと玲に挟まれて全然落ち着かない昼食を取っていた頃……


「御堂さま、ただいま戻りました。裏ランキングを作成した者を特定できました」


「よくやった、三日月くん。詳細は?」


 御堂君雄は帰国した三日月花音から報告を受けていた。


「対象はチョイ・ガンバ、WEA本部地下2階の研究室に在籍。朝鮮自治区出身、38歳独身、体重140㎏、チョコレートと風俗が趣味。ジョブは【下級戦士】、ユニークスキルは【ランクアイ】、効果は世界中の探索者のデータを取得できる。複数の場合は処理に時間がかかる模様。周りからはブタ主任と呼ばれている」


「そいつのせいで世界中の有望探索者が潰されてきたのか…… 翔くんが帰ってきたら早速話をしよう」



◇◇◇



side WEA御用達の高級娼館



「マリアちゃん、チョイさんからご指名よ」


「は〜い、いま行きま〜す」



 彼女はWEA職員がよく通う娼館に勤めるマリア(もちろん偽名)。

 実際はアメリカから派遣された情報収集員。


 そしてWEA職員のチョイはお得意様カモだ。

 彼はその特異なスキルゆえWEAから週一回のフリーパスをもらっていて、必ず週一回やってきてマリアを指名している。

 本来の彼の収入であれば年一回会えるかどうかの人気嬢なのだが。



「うっマリアちゃんのバキューム×××しゅごいよぉ……イクッ! マリアちゃん僕の××××飲んで!」


「マリアちゃんのオ×××相変わらず処女みたいにキツキツだぁ……。くっ、マリアちゃん、出るよ! 僕の無責任中出しで孕めぇぇ!!」



 彼はプレイ用の風呂で1人射精していた。


 その様子を離れたところで見ているマリア(仮名)。


「気持ちよかったですかぁ、チョイさん? あとで今週のお仕事内容と来週の予定を教えて下さいねぇ❤️」



 彼女のユニークスキルは【幻惑術】。

 自分よりレベルが低い者に都合のいい幻想を見させることができる術だ。

 そのため、アメリカは彼女のレベルを上げさせていた。


(おお、相変わらずキモいキモい。洗ってない×××をイラマさせられて喜ぶ女がどこの世界にいるんだよ。メルヘンやファンタジーじゃないんだから。風呂くらい入れっつーの。不潔だから童貞なんだよ。童貞が許されるのは小学生までだよねー)



 彼女は商売スマイルを顔に貼り付けながらチョイから貴重なデータを受け取って行く。

 ちなみにチョイはいまだ本物の彼女の裸に触れたことはない。

 たぶんこれからもないだろう。



◆◆◆◆◆◆


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