第12話 当然のように優勝して代表に選出。それとユニークスキルがさらに超強化されます。

 全国高校探索科大会に向けた校内代表選で、3ブロックの代表がそれぞれ僕、玲、倉橋先輩となり、チーム戦のメンバーが決定。

 そして、この3人でシングル代表枠を争うことになったけど……


「先生、私は棄権します。シングル枠には出ません」


「御堂、考え直せ。どう見てもお前は強い。全国大会でもいいとこまでいきそうだ」


 先生がどうにか翻意させようとするが、


「私より翔くんが強いので意味がありません」


 と素っ気ない。


 何でだろう?


(玲、どうして棄権するの?)


 僕は玲に小声で聞いてみる。


(翔とは戦いたくない。あと、翔にはあのスキルがあるから絶対勝てない)


 ああ、なるほど。

 なんか正々堂々戦うことばかり考えていたから【リバース】を使うことなんか考えていなかったよ。

 確かに【リバース】を使えば即戦闘不能に追い込めるからな。


 まあでも、何かしら魔力を消費するスキルを使うと【リバース】は使えなくなるからあんまり現実的でもないんだけどさ。


「ということは、先生、シングル枠は私と逆崎くんで争うのですね?」


 3Aの倉橋先輩が先生に聞いている。


「御堂、あとからやっぱり参加することはできんぞ?」


「はい」


 やはり玲の意志は変わらなかった。


「なら、倉橋と逆崎の対戦だな。逆崎は辞退するとか言わないよな?」


「ええ」


「よかった、御堂さんは強いからね、僕もただでは済まなかっただろうから」


 ええ、玲より弱いと思われてるんだ。

 まあ僕は派手な技使わなかったしね。


「先輩は自信ありそうですね」


「うん、自慢じゃないが去年も優勝していてね。去年は全国大会の初戦で敗れたが今年は全国大会の優勝を目指す!」


 最後のほうは声が大きくなっていた。

 けっこう思い入れがあるようだ。


「キャー! 倉橋先輩! がんばってー!」


「そんな1年なんかに負けないでー!」


 え、倉橋先輩もモテキャラなの? 

 確かに顔はいいけどさ。

 優しいが芯の強い男の子って感じの。

 黒髪でややウェーブかかったイケメンだ。

 そして天は二物を与えているらしい。


 僕の鑑定スキルで彼を見てみると、昨年優勝も納得できる。


ーーーーーーーーーーーーーー

倉橋 達也 レベル571   

ジョブ【竜戦士】

ユニークスキル【竜撃剣】

ーーーーーーーーーーーーーー


 レベル高い。

 僕と会った時の玲よりもさらに高い。

 それにユニークジョブ【竜戦士】は特殊な戦士系の職業。

 ステータスにつき【バトルマスター】と同等の補正を受ける。

 

 このジョブの真価はユニークスキルが使えることにある。

 そしてユニークスキル【竜撃剣】は攻撃時に体力、魔力を吸収する効果を付与するパッシブスキル。

 強い(確信)。


 つまり倉橋先輩の攻撃を受けたら魔力が減るわけで、そうなると僕は切り札の【リバース】を使えなくなるってわけだ。

 レベルが拮抗していれば僕の天敵だったね。



◇◇◇



「二人とも用意はいいか? はじめ!」


 僕と倉橋先輩が対峙する。

 向こうも僕と同じく剣を構えている。


 僕と先輩のどちらも動かない。

 が、先に動いたのは先輩だった。


「何か待っているようだね。その誘いに乗ろう。くらえ、剣の舞!」


 先輩がこちらに駆け出して連続する剣戟を放つ。

 【竜撃剣】の性能を考えたら複数回攻撃が一番効率的ということなんだろう。


「パリィ!」

 

 僕も攻撃を弾き流すパリィを発動するが、模擬剣がかち合った時にわずかに体力と魔力を持っていかれる感覚がする。

 む、パリィじゃだめなのか。

 当たりさえすれば効果を発揮するし、まともに食らえばそれだけ持っていかれるというわけだ。

 ということは躱すのを強制させられるのか。

 やはり強い(確信)。


 剣の舞を全てパリィでしのぎきった後、バックステップで距離をとりスキルを放つ。


「烈風剣!」


 飛ぶ斬撃というやつだ。

 攻撃を受けてはいけないなら遠距離技で対応すればいい。

 うーん、そのうち魔法職にもジョブチェンジしておいた方がいいかな。

 これで決まるかと思いきや、


「燃え盛れ炎よ、ファイアウォール!」


 意外にも炎の壁を出してきた。

 魔法も使えたんだ。

 ってことはいったん魔法職を経てから今のジョブに就いているのか。

 たぶん魔法にも【竜撃剣】の効果が乗るからだろうな。


 だがファイアウォールを突き破って烈風剣が先輩にヒットし、護符が赤く光り輝いた。


「そこまで、勝者、逆崎!」


「おいおい、マジかよ! 最強の倉橋が負けたぜ!」


「そんな~、倉橋先輩が~」


「二人ともリア充だからな、爆ぜろ!」


 ちょいちょい暴言が混ざる生徒のセリフは置いといて、これで僕がシングル出場だ。


「まさか僕が負けるなんてね。隠し玉だった魔法まで使わされるとは…… それに、まだ全然本気じゃないだろう?」


「うーん、まあ……」


「ユニークジョブかユニークスキル、もしくはどちらもいいものを持ってるんだろう、僕みたいにね。詳しくは聞かないさ。ただ、僕の代わりに出るんだ、全国大会での優勝を託すよ」


「できるだけ頑張ってみます」


 大会のレベルに合わせて、だけどね。



◇◇◇



 というわけで、僕はシングル枠での出場、僕と玲と倉橋先輩でのチーム出場が決定した。


「翔、おめでとう」


「ありがとう」


「でもまだ翔が強くなる余地がある」


「どうやって?」


「鑑定で【リバース】のスキルをあらためて見てみた。対象を反転する。消費魔力100%」


「そうだね」


「対象は、単体、全体、範囲、一部、などの柔軟性を持って指定できる。現に私の【氷神の呪詛】のうち顔を醜くするという部分に限定して反転できた。だから……」


「だから?」


100という部分のみ反転すればいいと思う。倉橋先輩の【竜撃剣】みたいな魔力にダメージを与える攻撃がこの先あるかもしれない」


「なるほど、やってみようか」


(【リバース】発動! 【リバース】の消費魔力100%を反転する!)


「どう、玲?」


「ん、見てみる。……【リバース】、対象の効果を反転する。消費魔力0%。成功した」


 おお……。

 これでいつでも【リバース】発動できるじゃん。

 8時間のクールタイムの問題も解決だ。


 さらに閃いた!


「玲、魔力を使い切ったあと魔力量を【リバース】したら魔力を全快させられるよね!」


「そうね、翔。スキルや魔法を使い放題。間違いなく世界最強。そして私はその恋人」


 うん、そうだね。

 最後のはちょっと恥ずかしいけど……。


 これでやってみたかったことをガンガンできるぞ。

 

 あ、その前に玲のお父さんにも一応報告しなきゃね。



「御堂さん、二子玉高校探索科の校内代表になりました。僕はシングルで、僕と玲さんはチームです。それと、【リバース】の消費魔力に【リバース】を使って消費魔力がなくなりました」


「とんでもないな…… これはますます誘惑に耐えねばならなくなるなあ、美城」


「さようでございますな」


「? どういうことですか?」


「いや、何でもない……」


「あの、ところで、お二人とも神々のポーチはいりませんか?」


「ん、それはなんだ?」


 あ、そういやまだ教えてなかった。


「えと、50階のゴブリンキングのレアでマジックポーチ(極小)を手に入れます。んで、マジックポーチ(極小)のランクを反転したら、ランクSSの神々のポーチになります」


「倒す前にドロップ率を反転させる」


 玲が補足をしてくれた。


「神々のポーチは収納量ほぼ無限、中の物の時間は止まったままで登録した者だけが使える仕様になっています」


「ほほう、ランクSSか。露支那以外ではそのランクのアイテムは出たことがないな。ドロップ率を反転させてレアをゲットする。貴重なものほどドロップ率が低いのに翔くんにとってはいとも簡単に手に入る。なら言葉に甘えて一つ用意してほしい。無論報酬はあるぞ。一億円出そう」

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