第21話 OH!NO!

最悪の状況だ。

俺は思いながらも.....まあいつかバレた事だしな、と納得する。

それから案内を続けて図書室、生徒会室、部室棟。

そんな感じで回っていると。


「遠矢さん」


「.....おう?どうしたかず.....は?」


「アハハ。人気者だね。遠矢さん.....?」


まるで死神の様な義妹が現れた。

黒オーラで俺を見据えている。

俺は命をマジに刈り取られそうだったので苦笑して顔を引き攣らせる。


すると花梨が、一葉。噂はマジ?、と聞いた。

一葉は?を浮かべていたが。

ははーん?、と俺の顔を見てニコッとした。


「そうですよ?愛人と一緒です」


「.....」


「.....ほーう?」


「この場所で言うな.....人通りがかなり多いだからな.....」


何アイツ?調子乗ってんの?、的な感じで男子達が見てきている。

そらそうだろうな.....指折りの3美女がこうやって集まっているだけで有り得ないのだからな。

思いながら顎に手を添える。

花梨と雪色は額に#を浮かべながら、分かった、と納得する。


「自宅では譲るけど.....この先は負けない」


「それは満場一致だね。花梨ちゃん」


「.....やってみなさい。私は.....遠矢さんを譲らない」


「.....お前ら.....」


ガチハーレムだな。

俺は思いながら、そろそろ時計が鳴るぞ、と言う。

すると慌てた様に、じゃあ。また後で、と去って行く一葉。

真面目な生徒だからなぁ、と思う。


「ところで.....遠矢さんって何かな?遠矢」


「.....それは気になってましたね。.....とーお兄ちゃん?」


「ああ.....面倒臭い.....」


俺は額に手を添えながら。

そのまま過ごしていたが.....。

この数時間後。

つまり昼休みだが.....花梨がとんでもない決断をした。

俺の家の横が空き家だったのだが.....。



「とーお兄ちゃんの家の横のアパートを買い取って引っ越します」


「.....お前マジに何言ってんの?ねえ」


昼休みになったのだが.....。

俺は雪色と一緒に屋上で飯を食っていると。

そんな感じでいきなり花梨が現れて言われた。

俺は唖然としながらその姿を見る。


「確かに俺の家の横のアパートは空き家だな。なんせ近所の婆さんが亡くなったから空き家だ。.....だからといえおま.....」


「許せないから。色々とねぇ.....」


「.....確か書いてあった相場で5000万だったぞあれ。大丈.....」


「私がそれぐらいの金銭を気にすると思う?とーお兄ちゃん」


「思わん」


マジかコイツは.....。

俺は考えながら見ていると。

雪色が目を輝かせていた。

楽しそうだね!、と言いながら。

うっ、と言葉に詰まる花梨。


「.....一緒に住みます?もし良かったら」


「そうだね。楽しそうだねぇ」


「.....お前ら。俺達を置いてとんでもないぶっ飛んでいる計画を進めるんじゃねぇ」


「何ならとーお兄ちゃんも出入り出来ます」


「何言ってんだお前は」


築45年らしいですけどリフォームもしますしね、と腰に手を当てて言う花梨。

俺は愕然としながら、そうか、と言いながら額に手を添える。

もう諦めたぞ俺はと思いながら。

それから、お前好きなんだな本当に俺が、と聞いてみる。


「うん。そうだね。大好きだよ」


「.....そうか」


俺は苦笑いを浮かべながら居ると。

一葉が今度は屋上にやって来た。

それから、誰かが近所に引っ越して来る.....って?、と言う。

状況を見て愕然としたのだろう。

俺は、それ花梨だぞ、と率直に答える。


「はぁ!?」


「5000万円で買い取りました」


「バカなの!?」


「馬鹿じゃないです。愛さえあれば何でも出来ますのよ。おほほほほ」


「馬鹿だ.....何処のキャラだ.....」


本当に馬鹿野郎だな、と思う。

だけどまあそれなりには楽しくなりそうだな、と思う。

すると花梨は、私、雪色さん、雪子が住む予定ですけど.....それ以外にも人を呼びます、と言ってくる。

あ?、と思いながら花梨を見る。


「4部屋あるみたいです。募集かけます」


「勝手な事をするな!?」


「勝手じゃないよ?私の土地だし」


「.....そうだけどなぁ.....」


面倒クセェなこんちくしょうめ。

俺はそう考えながら顔を引き攣らせながらジト目で見る。

すると花梨はニヤッとした。

愛さえあれば!、と言いながら指を空に指す。


「.....花梨は馬鹿なの?遠矢さん」


「.....俺もここまでとは思わなかった」


「私は馬鹿じゃないですぅ!!!!!」


こうして俺の横の旧アパートに花梨が引っ越し。

雪色が、雪子が。

そして募集を掛けて.....女子生徒が応募した。


その女子生徒は.....名前は遠藤。

遠藤穂乃果(えんどうほのか)という一葉の友人だった。

何だか嫌な予感がするのは俺だけだろうか。



家に帰ってから。

買ったは良いがリフォームまで数日掛かるらしい。

その為に俺の家に母家の主人という事で花梨が泊まっていた。


またかよ!!!!!、と思いながらも.....断る気力も無い。

俺はアパートの件で疲れた、とそう思いながら花梨と一葉を見る。

花梨と一葉は勉強をしている。


「あ。そっちはこういう解き方です」


「こっちはこういう解き方だよね」


「そうですね」


交代で俺達は家事をしている。

俺の番がきたので家事をしているが.....まあ。

何というか良い感じではあるな。

あの2人の雰囲気が。


「もー。見てないでちゃんと家事をしてよ」


「はいはい。.....にしてもお前ら仲が良くなったんじゃないか?」


「.....そうだね。まあちょっとは」


「.....少なくとも私はお姉ちゃんって思える様になりました」


そうかい、と思いながら俺は驚きながらも笑みを浮かべる。

それから真面目に仕事をしていると。

そういえば2人はどうやって仲良くなったんですか?、と花梨が聞いてきた。


俺達は顔を見合わせる。

それは自然だったな.....、と。

そう思う。


「俺が記憶喪失になってからだな」


「.....そうなんだ」


「私はあの日からだよねぇ」


「そうだな」


あの日は色々有りすぎる。

俺は答えたものの考えながら顎に手を添えていると。

遠矢さんから誕プレ貰った日からかな、と。

笑顔で答えた。


「.....昴さんの事は昔から知っていたんですか?」


「知っていたよ。.....そのお陰でライバルが沢山になっちゃったけど」


でも私は今の状況も楽しいかなって思い始めた、と笑顔を浮かべる。

それから、ね?遠矢さん、と言ってくる。

意外だな。

コイツがこんな顔が出来るとは。


「あーあ。何だか私だけ空回りしているみたいだよー。とーお兄ちゃん」


「まあ好きは好きで良いんじゃないか。花梨」


「みんな大人だね。私も大人にならないと」


「.....そうだな」


それから俺は苦笑する。

そして顔を上に上げていた花梨もクスクスと笑った。

そうしてから笑顔を浮かべる。

まあそうだな。

確かに今が一番楽しいかもな、と思える。

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