第20話 花梨転入生とジト目と

そもそも2人きりとは何事か。

俺は考えながら汗をかいていた。

それから教室で、あのクソバカ遠矢だけどさ。なんか最近怪しいよな、とかの男子達の会話を聞いていた。

クラス中が噂に溢れている。

この原因は俺が、記憶喪失、という話になってからだ。


「遠矢君人気だねぇ」


「一つの原因としてお前さんもあるけどな。疑問で俺を見ている事だ」


「?.....それが何故原因に?」


「自覚しろよな!?お前可愛いんだから!男子達の耳が悉くお前の怪しさを受け入れてんだよ!」


「またまた。自意識過剰だにゃあ」


こやつぶっ殺そうか。

思いながらジト目で祐子を見る。

それから溜息を吐いていると。

遠矢!、と笑顔で雪色がやって来た。

何だよ?と思いながら雪色を見る。


「ユッキーどしたの?」


「えっと。遠矢と一緒にお昼が食べたい、なって」


「「「「「ぶち殺すぞ!コラァ!遠矢テメェ!!!!!」」」」」


自意識過剰の猿どもがうるさい。

俺はまた盛大に溜息を吐きながら、良いけどこの場ではその話は禁句な、と雪色に告げる。

雪色は、ゴメン、としょんぼり。

俺は、まあ多少は良いけどな、と言う。


「有難う。遠矢」


「おう」


するとホームルームの時間になった。

キンコンカンと音がしてから担任の杉原千里(すぎはらちさと)先生が入って来る。

女性の教師。

それから俺達に、猿ども!今日は転入生が来るぞ!、と絶叫した。

猿どもwww

あ、俺もか.....。


「「「「「「マジすか!!!!?」」」」」


男子どもが目を輝かせてそう言う。

すると、オウ!、と力強く千里先生は返事しながら教室のドアが開く。

それから入って来た生徒に俺は顎が落ちた。

何故なら飯場花梨が.....。

俺は青ざめる。


「とーお兄ちゃん!転入したよ!飛び級で♡」


「お、おう.....」


抱き着いて来た。

俺は愕然としながら花梨を見る。

周りを見渡してみる。

全員が赤面もしくは愕然もしくは唖然としていて.....特に祐子が、ぶち殺す?、的な顔をしていた。

困惑顔のユッキーも居る。


「っていうか何故おま!?」


「えへへ!とーお兄ちゃんが好きだから!」


居場所無くなったなコレ。

俺は盛大に青ざめながら周りを改めて見る。

ぶち殺す、的な感じで立ち上がった無数の初号機が暴走した。


まるで破壊神みたいな。

待てお前ら!、と言うと。

逆に聞くが待つ理由あるか?、と話してきた。


「お主は有名モデルまで虜にした。ロンギヌスの槍に貫かれて死ねや」


「賛成」


「人類保管の為に犠牲になってもらおう」


何言ってんのコイツら。

俺は思いながら先生を見るが。

ニヤニヤして楽しそうだ。


ふざけんな止めろや。

思いながら最後に花梨を見る。

花梨は嬉しそうに俺にスリスリして来る。

俺に居場所が無い。


「遠矢.....」


「ゆ、ユッキー!お前が最後の希望だ!頼む助けてくれ!」


「嫌。だって浮気してる」


「ユッキー!!!!?」


そして俺は壁際まで追い詰められたが。

まあそこまで、と千里先生が言った。

それから、時間無いぞ出席確認するから、と言ってくる。

もうちょい早く止めろ。

思いながら前を見ると、後で覚えてろカス、的な感じで皆解散して俺に唾を吐いて去って行った。

本当に野蛮だ。


「ねぇ。遠矢くん」


「何だよ。祐子」

 

「ハーレムでも作る気?」


「そんな気はない」


ふーん、とジト目でプイッと横に向いた祐子。

俺は盛大に溜息を吐きながら椅子に座ってから花梨を見る。

ニコニコしながら花梨は俺を見ていた。

左の席で。

後が思いやられる。



「とーお兄ちゃん!学校案内して!」


「女子に頼め」


「嫌。だって私はとーお兄ちゃんが良い」


休み時間。

消化器で殴られそうになりトイレに避難すると出てから花梨にそう言われた。

俺は溜息を吐きながら、分かった、と言う。

すると顔を上げると。


「私も一緒でいいかな」


雪色がそう言ってきた。

俺はその姿を見ながら居ると。 

お姉さんは大丈夫ですよ?、と花梨は笑顔になって俺を見てくる?

俺は苦笑しながらその姿を見つつ雪色を見る。


「分かった。一緒に行こう」


「えー。とーお兄ちゃんそれは.....」


「仲良くしろ。クラスメイトだぞ」


「とーお兄ちゃんが言うなら.....」


若干助かった。

俺は考えながら雪色を見る。

雪色は、ありがとう、と言いながら付いて来ながら。

ねぇ花梨ちゃん、と聞く。


「はい」


「仲良くしようね」


「まぁとーお兄ちゃんが言ってますから。仲良くしましょう」


「有難う」


その姿を見ながら俺は苦笑する。

それから顔を上げてから歩き出した。

先ずは保健室とか行くか、と思いながら。


この学校はバリアフリーに優れている。

その為に色々なスロープとかがある。

エレベーターも兼ね備えている。


「とーお兄ちゃん」


「何だ?」


「とーお兄ちゃんエロい事が出来る場所は保健室が妥当ですか?」


「.....」


頭おかしい?

俺は考えながら見るが。

花梨は真面目な顔をしていた。

俺はその顔にチョップする。

それから、無い、とそのまま話した。


「俺はエロい事はしないから」


「またまた。お兄ちゃんの部屋のラノベえっちなのが有りますよね。そういう事したくないんですかぁ?」


「置いていくぞお前」


「もー。つまんない」


「あのね。花梨ちゃん。学校でそんな話は駄目だよ」


だってこの日を待ちわびていましたから、と笑顔を見せる花梨。

俺は花咲く様な笑顔に赤面した。

全くコイツは、と思いながら。


それから案内を続けていると、そういえばとーお兄ちゃん。重大な事を忘れていましたが、と切り出す。

何だよ、と思いながら花梨を見ると。

花梨はあり得ないぐらい暗い笑顔を浮かべた。


「今日からとーお兄ちゃんは義妹さんと一緒でご両親が居ないんですよね」


「なっ」


「!?」


雪色がどういう事!?、的な感じで俺に向いて来た。

何故それを知ってんだよ!?

俺は唖然としながら花梨を見る。

花梨は秘密裏に仕入れた情報でした、と言う。

マジなんですね?、とジト目をした花梨。


「ふーん.....幼馴染にも教えてくれないんだー。そんな事を。ふーん.....」


「.....」


逃げて良いかな俺。

考えながら俺は話を無くす様に動き出したが。

ジト目の2人からは逃れる事が出来ずに許してくれなかった。

当たり前だろうけど、だ。

面倒臭くなってきたな.....コレ。

どうしよう。

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