第19話 転勤と2人きりの生活のスタート

『返事は今は要らない。.....私は遠矢さんが報告してくれるまで待つ』


「.....」


まあ何というか。

何故俺の周りはこんなに良い女の子ばかりなのだろうか。

思いながら俺は天井を見上げていたが。

また前を見てラノベに集中する。


今日は日曜日だ。

明日は学校であるが.....あっという間だったな。

何か.....。


『遠矢さんが記憶があるって事は知っている』


「.....はぁ.....困ったもんだ」


俺はそんな事を呟きながら文字を読むが。

集中出来ない感じだ。

俺も相変わらず最低なもんだな。

昔の事を引き摺りながらこの様である。


「.....」


全てを見抜かれては仕方が無いと思い。

その全てを俺は話した。

それから.....一葉は納得した様に笑顔を浮かべてから。

そのまま俺に頷き。

そしてニコッとしてきた。


「優しい彼女.....か」


俺は考えながら本に集中する。

するとメッセージが入った。

それは一葉である。

俺は?を浮かべながらメッセージを見ると。

何だかお義母さんとお父さんがお話があるって、と書いてあった。


「.....?」


そのまま俺は慌てて下に降りる。

すると母さんと和人さんが座っていて真剣な顔をしていた。

それから一葉が俺を見てくる。

ゴメンね。勉強中だったと思うから邪魔はしなかった、と言う一葉。


「.....いや。それは良いんだが.....どうしたんですか?」


「.....そうだね。.....みんな揃ったし説明を始めようか」


母さんの顔を見る真剣な顔の和人さん。

それから頷いてから俺達を見てくる。

実はね。僕達.....会社の都合で海外転勤になった、と話してきた。

俺達は愕然としながら、え、となる。


「.....それで2つの提案があるのよ」


「.....それは?」


「.....1つはこのまま貴方達はこの家に住んでそして和人さんと転勤。2つ目はアメリカに転勤するんだけど付いて来るか」


「.....アメリカ.....」


アメリカなんぞ未知の大国だ。

俺達にとっては、だ。

困惑する一葉。

俺はその姿を見ながら、どうする?一葉、と聞いた。

すると、私は.....友人達が居るから、と答える。


「離れたくない」


「.....そうだよな。.....俺も.....ちょっと」


「.....で、でも.....遠矢さんとその。.....この家で2人きり.....」


「.....遠矢さん?」


母さんが目を丸くする。

そして和人さんも?を浮かべて俺を見てくる。

あ、と言いながら更に困惑する一葉。

やってしまった、的な感じだ。

俺はその言葉に2人に向く。


「実は.....一葉に告白を受けました」


「.....それは.....」


「成程。血が繋がってないからね」


「.....それで.....2人きりで生活するのが.....」


「そうなんだね。でもすまない。これは.....どうしようもなくてね」


「.....」


どうしよう、となっている俺達に。

でも、と顔を上げた一葉。

それから俺の手を握る。

そして前を見た。


「私.....遠矢さんとなら一緒に居れる.....かも」


「.....その点は信頼している。.....お前なら上手くやれると。.....だから僕達は無理しないでと言っている」


「.....ね?遠矢さん」


「いや。良いけどそれで良いのかお前は」


「うん。むしろラッキーって思わなきゃ。私が遠矢さんを独占出来るんだから」


「.....一葉.....」


アハハ。貴方達ラブラブね、と言ってくる母さん。

冗談でも止めてくれ、と思いながら母さんに苦笑する。

すると和人さんは、でもこれなら安心か、と言う。

母さんは、そうね。あなた、と言いながら和人さんを見る。

俺達は苦笑してその姿を見ていた。


「一葉。良いかそれで」


「.....うん。仕方が無いよ。それにお父さん。大丈夫。私達の関係は昔と違って仲が良いしね」


「.....そうか。それなら良かった。.....じゃあ遠矢くん。任せても良いかな。自慢の娘を」


「そうですね。大丈夫だと思います」


それから俺達は頷き合って2人を見る。

すると母さんが、変な事はしちゃダメよ?まだ未成年なんだから、と言ってくる。

こらこら!、と思いながら母さんを見る。

そして真っ赤になる俺達。


「母さん。そんな事は無いから!俺がさせないし駄目だし!」


「アハハ。そうね。貴方達の事は信頼しているから」


「.....全く.....」


するとその中で和人さんが口を開いた。

実はもう僕達は明日にはたつんだ、と、である。

俺達は驚きながらも、気を付けてね、と何とか言えた。

明日か.....、と思うが。


「それじゃあ明日から.....私達って2人きりになるんだね」


「.....そうだな.....」


「.....よ、宜しくね。遠矢さん」


「あのな。何で恥じらって言う。こっちも恥ずいからな!」


「だ、だって」


母さんは。

和人さんは。

俺達の様子にクスクス笑いながら見ていた。

そして俺達はそのままその日を過ごしてから。

そのまま翌日になる。



「それじゃ行って来ます」


「ああ。今日中には飛行機に乗るから。放課後にはもう居ないけどすまないけど宜しくね。遠矢くん。そして一葉」


「.....はい」


「行ってらっしゃいね。2人とも」


「はい」


それからスーツケースを持って準備している2人と別れてから。

俺達は歩いて登校し始めた。

すると登校の途中で祐子が声を掛けてくる。

かずっちゃん!と遠矢くん!、と元気溌剌な声で、だ。


「よお。祐子」


「祐子さん」


「元気かなぁ?」


「元気っちゃ元気だ....が.....」


「?」


思ったけどコイツらに悟られない様にしないとな。

まさか血の繋がってない兄妹が一緒に家に住んでいるなんて。

思いながら顔を上げてから、何でもない、と首を振る。

そして一葉を見る。

一葉はポーカーフェイス状態になっていた.....オイ。


「か、一葉?」


「.....な、何?遠矢さん.....」


「.....遠矢さん?」


「.....あ」


「.....遠矢くん。何かあった?もしや」


「何もない。大丈夫だ」


ふーん?.....ほほう?、と顎に手を添える祐子。

こういうの苦手なのか一葉、コイツ!

このままでは芋づる式にバレる!

俺は思いながら慌てる。


そして一葉に落ち着く様に促した。

まさか学校で指折りの美少女と一緒に2人暮らしなんぞ.....まあその。

そんな憧れのシュチュエーションは絶対にバレてはならん。


コイツにバレると面倒かもしれん。

一葉は学校で告白受けまくりだし男子達にブチ殺されるかもしれん。

そう考えてしまう。

恐ろしや。

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