第17話 樹木葬で眠る恋人
「ジェラート美味しい!」
「そうだな。確かに美味いな。初めて食ったけど」
「食い意地を張るねぇ。やっぱりアンタは」
「そうだろ.....って何でだよ!!!!!何でお前も食べてんの!!!!?」
俺の席には雪色と俺と。
何故か知らないがどっかのギャルが私服で座っていた。
シフトが終わったらしい。
のだが.....それで座っているっておかしくね?
俺は思いながらジト目を祐子に向ける。
「まあまあ良いじゃん?アハハ。私は邪魔しないし」
「邪魔とかじゃなくて良いのかこれ」
「良いよ。全然構わないしねぇ。ここの店長と責任者ユッルユルだから」
「.....マジかよ.....」
そんな感じで会話していると。
アハハ、と苦笑している雪色に、ねえ。ゆっきーはコイツに告白したの?、と。
ブハァ!!!!!、と思いながら吹き出す。
それから、なんて事を聞いてんだ!!!!!、と絶句する。
すると、アハハ、と祐子は笑った。
「私としてはユッキーに幸せになってほしいからね」
「.....お前な.....」
「告白した」
「.....!?」
その赤くなっている言葉に目を丸くする祐子。
それから、そっか、と柔和になる。
そして、で?返事は?お前さん、と肩に手を添えて聞いてくる。
俺はその言葉に、良い加減にしろ、と手を払い除けた。
そうして、そんな言葉にこの場で答える訳ないだろ、とも言う。
「.....そうだね。確かにアンタはそんな感じだもんね」
「.....まあな」
「記憶が無くなっても良い奴じゃん。やっぱりアンタ」
「.....そうかな。.....でも悪い気はしないんだよな。確かにな」
「.....正直。アンタには声が掛けづらかったけど。でも声を掛けて良かったって今は思う。アイツにそう言われた感じがするから」
アイツ。
それはつまり俺の恋人だった女の子の事だろう。
昴の事だ。
姉御肌だよな、コイツ。
そう思いながら祐子を見る。
祐子はニコッとしながら俺を見ていた。
「.....有難うね。祐子ちゃん」
「私は当たり前の事をしているだけ。それだけだから問題ないよ。ユッキー」
「でもそうやって見てくれるから。遠矢も思い出してきているし」
「.....そうかな。私なんかで良かったら幾らでも助けるけど」
そんな感じで会話していると。
そういやユッキーの妹元気?、と聞いてきた。
その言葉にビクッとする雪色。
そして、そうだね、と少しだけ複雑な顔をする。
「ん?どったの?」
「.....えっと.....」
「.....もしかしてだけど.....何かあった?」
「.....」
俺をジト目で見てくる祐子。
何でそうなるんだよ、と思いながら盛大に溜息を吐く。
そして、まあその。何だ。友人関係の悩みでな.....、と呟いた時。
とーお兄ちゃん!!!!!、と声が.....え.....。
「もー!こんな所に居た!何しているの!」
「.....お、お前.....花梨.....」
「.....?.....何この状況?この人達は?」
「遠矢君?誰かな?このガキ」
サングラスを掛けている花梨に指差す祐子。
すると、はぁ?アンタこそ誰、と言って花梨は反論した。
その言葉に祐子は、は?、と威圧する。
そして睨み合う2人。
「.....あのな.....お前ら。店内で何やってんだ.....」
「もしかしてだけど浮気?とーお兄ちゃん」
「人聞きが悪い!!!!!」
「は?こんなクソガキが趣味なのかな?遠矢君?」
「お前もクソガキ言うな!」
そして2人は睨み合う。
すると、あ、あの、と声がした。
雪色である。
その言葉に、あら。お姉さんじゃないですか、と花梨は反応する。
「ユッキー?コイツと知り合い?」
「そう。えっと.....」
「恋敵だけど何か?」
「.....」
「.....花梨。それをこの場で言うな.....」
エ◯ァ初号機の暴走みたいな感じになった祐子は、ああん?、とマジな威圧で反応。
そして全員が俺を見てくる。
面倒臭くなってきたな.....。
俺は思いながら見ていると周りがジト目になっている事に気が付く。
取り敢えず出るぞお前ら、と告げて俺達は会計してからその場を後にした。
☆
「遠矢君。貴方はロリコンだったのですね?」
「お前.....」
「さっきから何なのこのギャル」
「.....お前も自重しろ」
面倒臭!
俺は思いながら4人で歩いていると。
雪色は悲しげな顔をしていた。
邪魔されたのが腹立つのだろう。
俺はその姿に雪色の手を掴んでから。
そのまま駆け出す。
「あ!ちょ!とーお兄ちゃん!」
花梨が静止してくるがそれを祐子が止めた。
それから親指を立てる祐子。
助かった、と思いながら俺達はそのまま駆け出してから。
そして少しだけ離れたお墓。
墓地までやって来た。
「えっと.....良いの?遠矢.....」
「今日はあくまでお前とのデートだ。.....だから構わない」
「.....も、もう。そういうの.....格好良いんだよ.....本当に」
「ハハハ」
俺は笑みを浮かべながら俺は雪色を見る。
そして彼女は樹木葬だったかな、と俺は聞く。
すると、うん。そうだよ、と笑みを浮かべる雪色。
それから、何かお供えしないとね、と笑顔を浮かべる。
「.....有難うな。俺の為に」
「.....良いんだよ。君の大切な人は私にとっても大切な人だから」
「そうか」
「うん」
そして俺達はそのまま墓地の中を歩いて丘の上の樹木まで来る。
樹木葬とはつまり木の下に眠る事を意味する。
灰が木の下にあるのだ。
その樹が成長するから樹木葬。
良い話だ。
「.....ねえ。遠矢」
「.....何だ」
「.....もし私と結婚したら.....お爺さんお婆さんになって死んだら一緒にお墓入ってくれる?」
「.....当たり前だな。将来の伴侶と一緒に入るに決まっている。俺は決めているから」
「.....うん。それ聞いて安心した」
そして俺達は桜の木を見ながら手を合わせる。
それから持って帰るがお供え物を置いた。
先程のお店のお菓子だ。
ついでに買ってきたのだ。
「.....私が.....貴方の代わりに遠矢を守ります」
「.....」
「.....だから。安心して眠っていて下さい」
その時。
優しげな風が吹いた気がした。
俺達は頭を押さえながら空を見上げる。
そして見合ってから、見ているんだね、と雪色は笑顔を浮かべる。
「.....そうだな。確かに」
「.....良かったね。遠矢」
「.....有難うな。雪色」
それから俺達はそのまま墓地を後にしてから。
元の地点に戻ると.....花梨がムスッとして俺を見ていた。
宥めるまで大変な時間を要してしまう。
でもお菓子をあげたら宥める事が出来た。
何だコイツ。
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