第16話 恋とギャルの友人と?

幼馴染とは言えど家は離れている。

そして本格的に知り合ったのが小学校の後半時代である。

何方かと言えば雪色よりも遥か昔に俺は花梨とかと知り合っている事になる。

俺はその事を思い出しながら図書館で本を探しては読み。

興味のある分野を探しては読みを繰り返していた。


「このカフェね。改築されてから本と一緒に過ごせる様になったの」


「ああマジか。それで人気なんだなカフェが」


「そういう事。.....好きな人と一緒だと尚の事楽しいけどね」


「お前な.....そういうドキッとする事を言うなって」


カフェは少しだけ混んでいた。

その為に待つ為に外の椅子で待つ。

俺達はその中でそんな会話をしていた。

クスリと笑いながら俺を顔を見てくる夢色。


「何の本を持ってきたの?」


「ああこれか。.....俺自体があまりこういうの読まないけどな。森鴎外の本だ」


「.....難しいの持って来たねぇ」


「舞姫とか読んだ事ないか?教科書で。あれ面白いぞ」


「.....ほえー.....流石は遠矢だね。.....昔から変わってないね」


そういう知的な所、好きだよ、と言ってくる雪色。

俺はその言葉に少しだけ赤面しながら頬を掻く。

それから、全くお前は。人を赤面させるのが得意だな、と言ってみる。

雪色は、でもこれは遠矢にしかしない、と話した。


「遠矢だからやってる。揶揄ってる」


「.....そ、そうか.....その。お、お前は何の本を借りたんだ」


「え?あ、私は.....」


「.....?」


私の本はちょっと恥ずかしい、と言いながら俯きがちになる雪色。

俺は?を浮かべてから、恥ずかしいってどういう事だ、と聞くと.....店員さんに、すいません、呼ばれた。


ビクッとして立ち上がる雪色。

すると雪色が持っていた本が落ちる。

雪色が、あぁ!、と言っていた時には俺が拾っていた。


「.....?......恋愛成就.....」


「み、見ないで.....」


「.....雪色.....」


「.....は、恥ずかしいって言ったのはこれだから。.....ゴメン」


「.....いや。可愛いじゃないか」


苦笑しながらも。

俺は立ち上がりながら本を渡す。

それから笑みを浮かべた。


すると雪色はドキッとした感じで赤面する。

そして俯いた。

それから店員さんに向いてから案内されていると。


「.....遠矢」


「何だ?」


「.....心臓がバクバクする」


「.....それは俺も同じだから安心してくれ。恥ずかしいんだ」


「.....遠矢が好きすぎて」


「それは恥ずかしいからな」


俺は真っ赤になりながら頬を掻く。

側から見ればバカップルだなこれ、と思う。

困ったというか恥ずかしいというか。

そしてテーブルに案内されて椅子に腰掛ける。

それからメニューを見始める。


「遠矢は何を頼むの?」


「.....俺は.....パスタ系が食いたいかな」


「.....じゃあ私はジェラートかな」


「.....それも良いな。一口食わせてくれ」


「.....ふあ?」


真っ赤になる雪色。

何を勘違いしているのかそれは無い。

俺は慌てながら、お前は何か勘違いしているけどかんせ.....それは無いからな!、と言葉を発した。

雪色は、う、うん、と頷きながらメニューに目を落とした。


「.....これってデートだよね」


「デート.....ってお前な」


「.....デートって思ってる。.....とっても楽しいもん」


「.....まあそれならそれでも良いけど.....」


俺達は蒸気を上げながら対応する。

すると店員さんが、いらっしゃーい、と言いながら寄って来た。

うん?この声は.....聞き覚えがあるぞ。

思いながら顔を上げると。

そこに祐子が居た。


「.....お前何してんの?」


「見ての通りバイトだけど?」


足立祐子(あだちゆうこ)。

俺の数少ない友人である。

茶色の髪の毛にウェーブが少しだけ掛かった髪型。

それから女子高生の癖に薄化粧をしている。

言うなればギャルに近いかもしれない。


「それはそうと.....ユッキーじゃん!」


「.....あ、こ、こんにちは.....」


「何?デートしているの?」


「えっと.....デートじゃ無いですよ」


「じゃあ遠矢君に付き合ってやってんの?かわいそうに.....」


ひっでぇなコイツ。

ボロクソに言いやがって、と思いながら俺は苦笑する。

すると、でもどっちみちにせよ遠矢君とデートなら応援したいな。ユッキーだもん、と言いながらウインクする。


俺は、んな事より注文、と言うと。

アンタは黙って、と言われた。

客に対する意見かそれは。


「ユッキー。大切な事はね。落とす事だから」


「.....ふぇ?」


「余計な事を純粋な奴に打ち込むなよビッチ」


「アハハ。殺すぞ?」


「最早お前は店員じゃねぇ.....」


そんな会話を楽しみながらも。

俺達はそれぞれ注文をした。

それから待機する。

その間に俺は雪色に許可を貰ってから舞姫を読み始めた。


「.....面白い?」


「.....そうだな。教科書とかによく載っていて.....これは面白かったしな」


「.....知的だね」


「.....そうかな。俺は.....ただ馬鹿な野郎だけどな」


「そんな事無い。だって私の遠矢だもん」


私のって.....、と思いながら赤面する。

本に集中が出来ない.....。

思いながら顔を上げると。

ジッと俺を見据えている顔があった。


「.....素敵だよ」


「.....お前な。マジに恥ずいから」


「.....うん。だね。あはは」


すると裕子が、へいお待ちどう!、とパスタを持って来た。

何言ってんだ、と思ったが。

美味そうな感じのオイルサーディンである。


なかなか良い感じだ。

そしてジェラートを置く。

すると裕子はスッと何かを雪色に渡す様にテーブルに置いた。


「.....うん?その紙は何だ?」


「内緒。アンタが関わる事じゃない」


「ひっでぇな.....」


そして、ユッキー。是非是非読んでね。コイツには内緒だから、と言いながらまたウインクして去って行った。

雪色は早速内容を読んで.....そしてボルテージ暴発した。

それから紙を隠す様な仕草をする。

何が.....書いてあるんだ?


「雪色。何が書いて.....」


「な、な、内緒!!!!!」


「.....?!」


俺は赤面で怒る雪色に何も出来ずそのまま、お、おう、とだけ反応した。

それから俺はパスタを食べ始める。

雪色はジェラートを。

彼女は暫く赤くなったままだった。

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