第13話 花梨の、雪色の、焦っての気持ち
どうしても。
貴方にこの気持ちを。
と言いながら俺を見てくる一葉。
俺はその姿に見惚れてしまい。
あまりの事に赤くなってしまった。
『一葉。俺はお前の気持ちに応える事が出来ない』
『良いんだよ。お兄ちゃん。.....私の気持ちが伝わればそれで良いの。考えるのはゆっくり決めて。でも私はお兄ちゃんが好きだから。それだけ知っておいて』
部屋に戻ってから。
そんな事を言われてからだが頭がボーッとする。
すると横に座っていた花梨に頬を抓られた。
勉強を教えていたのだが.....。
花梨は俺の姿を見ながら頬を思いっきり膨らませていた。
「.....とーお兄ちゃん。本当に何も無かった?一葉と」
「.....な、何も無かった。本当だ」
「.....」
花梨は悲しげな顔になる。
そして、私だってとーお兄ちゃんが好きなのに、と言う。
俺はハッとしながら、悪かった、と告げる。
それから花梨の頭を苦笑して撫でた。
「すまん。.....すまない」
「とーお兄ちゃん。.....もし、もしだよ?.....一葉に告白されたのなら.....私もとーお兄ちゃんに告白したい」
「.....あ.....へ!?」
「.....私はとーお兄ちゃんが好き。大好き。この身は貴方の為にってぐらいに好きなの」
あの日、私に優しくしてくれた日から。
だからお兄ちゃん。
私の告白はこんな形だけど.....私の事も見ていてね、と言ってくる。
俺は赤面しながら花梨を見る。
お願い、と言いながらウインクした花梨。
「.....お前な.....」
「私ね。.....とーお兄ちゃんが本当に好きだから心から。.....だから私の事も見てほしい」
「.....」
「.....返事は今は要らない。.....ね?」
「分かった。お前の想いも取り敢えずは受け取る」
苦笑する俺。
笑顔になる花梨。
それから.....そのまま俺達は勉強を再開した。
そして俺は指差しながら教える。
花梨は成績が悪いそうだ。
だから教えて欲しいらしい。
ガチャッ
「.....一葉?」
ドアが開いた。
それから一葉が顔を見せる。
笑みを浮かべながら、だ。
そしてお茶菓子と飲み物を持ってきた。
それから並べて置いていく。
「じゃあ。これだけ持って来ただけだから」
一葉は笑みを浮かべながら手を振る。
そして去って行こうとしたその背中に花梨が、待って、と声を掛けた。
まさかの花梨だ。
俺は!?と思いながら花梨を見る。
「.....告白.....したの?とーお兄ちゃんに」
「.....そうだね。.....告白したよ。一応言うなら」
「.....そうなんだ。私も告白した。.....じゃあこれからはライバル同士だね」
「うん。だろうね。.....これからは本格的なライバル同士だと思う」
それから花梨と一葉は見合いながら頷く。
そしてライバル同士の顔をした。
俺はその姿を見ながら苦笑してしまう。
全くな、と思いながら、だ。
「お前ら本当に.....良いコンビだよな」
「.....私達?.....別に」
「そうだね。私達は仲良いわけじゃないよ。お兄ちゃん」
「.....いや。そうは思えないな」
言いながら俺を見てくる2人。
俺はその姿を見ながら溜息を吐きつつ。
そのまま、なあ。一葉。お前も勉強するか?、と聞いてみる。
すると一葉は、そうだね、と言ってくる。
「私も勉強に混ぜてもらって良いのかな」
「.....良いよね。とーお兄ちゃん」
「.....じゃあみんなでするか。一葉は頭良いしな」
それから俺達は勉強を始める。
そして時間が経過してから夜になった。
丁度.....仕事が終わってから電話が掛かってくる。
俺は驚きながら画面を見ると.....そこに。
雪色と記載があった。
「.....もしもし?雪色。どうした?」
『遠矢。.....そっちに.....花梨ちゃんが行ってるよね』
「.....そうだな。.....それが目的か」
『.....そうだね。その事もある。.....電話口で申し訳無いんだけど』
「?.....何だ?」
『私ね。遠矢が好きなの』
「.....!!!!?」
俺は真っ赤になりながら。
その言葉にかなり動揺する。
え.....雪色も俺が好きなのか!?、と思いながら。
そして雪色は涙を浮かべた様なグスッという感じで鼻を啜る。
俺は?を浮かべながらスマホを握る。
『.....私は.....遠矢が.....好きだから。.....好きなの。.....大好き。.....だから.....』
「.....」
『.....嫉妬しちゃう。.....どうしても』
「.....成程な」
『.....ねえ。私どうしたら良いと思う?.....どうしても.....許せない』
「.....なあ。.....明日会えるか」
『.....明日は土曜日だけど.....』
そうだな。
だから会えるかって言っている。
と言いながら俺は窓から星を見る。
星々を、である。
それからゆっくり告げた。
「俺な。お前に告白されて嬉しい」
『.....うん』
「だから俺は.....お前の気持ちを安定させたいって思う。.....だから会おう」
『.....2人きりで?』
「.....そうだな。お前がせっかく来てくれるんだ。何か奢ってやるよ」
『.....有難う。.....だから好き。君の事が』
言いながら笑顔を浮かべている様な言い方になる雪色。
焦っている気持ちが落ち着いた様だ。
俺はその姿を感じながらホッとしつつ。
そのまま空を見上げる。
「.....雪色」
『.....何?』
「.....記憶無くなって良かった。俺は」
『.....本当にそれで良かったの?』
「.....1から全部積み重ねれるから。.....お前の記憶も何もかもがな」
言いながら俺は星を数える様にしながらそして笑みを浮かべた。
雪色は、うん、とグスッと言いながら言ってくる。
そしてそのまま俺は別れてから。
夜中にモードに突入した。
だがまた驚愕する事になるんだが.....。
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