自分は記憶喪失ですとか義妹とかに言ったら大変な事になった件について

第9話 買い物に付き合ってくれる.....よね？ね？ね？

衝撃に衝撃が走る。

俺は愕然としながら飯場を見送ってから。

そのまま２人と対峙していた。

それは雪子と雪色だ。

何だか険悪な雰囲気が流れている.....気がする。

「.....あ.....」

「雪子。これはどういう事。何で私に黙ってこんな事を.....」

「お姉ちゃん。私にも権利ってものがあるよ。私が応援したいのはお姉ちゃん以外にも居るって事。ゴメンだけどね」

「.....そう」

俺を見ながら落ち込む雪色。

その姿を見ながら顎に手を添える。

それから、ふむ、と思う。

雪色、と俺は言葉を発した。

そんな雪色は顔を上げながら、何？、と聞いてくる。

「.....この様な状態になるとは思わなかったが.....俺はお前が大切だ。.....だからそんなに落ち込むな。飯場も凄いが.....俺にとっては金なんてどうでも良いしな.....」

「.....遠矢.....」

「.....ふふっ。きっと遠矢お兄ちゃんならそう言うと思いました。.....でも花梨ちゃんの事は忘れないで下さいね」

「.....忘れる事は.....無いけど。でも.....」

「一言で纏めるとですね。遠矢お兄ちゃんは昔.....花梨ちゃんに会っています」

「.....え.....」

俺は愕然としながら固まった。

それから雪子を見る。

雪子は胸を張りながら、ふふっ、と言う。

俺は顎に手を添えるが。

駄目だ。思い出せないのだが。

「まあ記憶喪失ですからねぇ。そういうのも忘れています.....よね？」

「そうだ.....な.....」

「.....」

雪色はますます困惑する。

そして悲しげな顔をし始める。

俺はその姿を見ながら居ると、お姉ちゃん。ゴメンね、と言い出した。

雪子がである。

お姉ちゃんを忘れた訳じゃないから、とも。

「.....お姉ちゃんの事は好き。だけど私も.....色々あるからね」

「.....分かった。負けないけどね」

「.....」

何だか複雑な感じだが。

上手く纏まった様である。

俺はホッとしながらその姿を見る。

そうしていると、ねえ。遠矢、と言ってくる。

俺は？を浮かべて雪色を見ると。

「.....で.....」

「.....？」

「.....デート.....したい」

「.....」

赤面してしまった。

その上目遣いに、だ。

俺は赤くなりながら、わ、分かった、と返事をする。

この言葉に決して雪子は止める事はしなかった。

俺はその姿を見ながら苦笑する。

「.....お姉ちゃん。頑張って。応援する」

「うん。分かった。.....応援を本当と思って動くから」

「.....だね」

そんな会話を聞きながら時刻を見る。

すると約束の時間を３０分以上過ぎていた。

俺は愕然としながら、か、帰るからな！すまん！、と慌てる。

雪色も雪子も顔を見合わせながら、分かった。気を付けて帰ってね、と言われる。

しまった.....一葉に殺される。

２人に見送られながら俺は大慌てで帰.....り道。

そこに仁王立ちした一葉が待機していた。

「.....お兄ちゃん？何処に行っていたのかな？」

「.....ぱ、パチンコ.....」

「何を馬鹿な事を言っているの。お兄ちゃんは１８歳未満でしょ。.....本当の事を話しなさい」

何コレ.....お母さんかな？

俺は一葉を見ながら真黒なオーラに何とも言えず。

そのまま俯いていた。

それから、す、すまん。雪色の所に行っていた、と苦笑する。

すると何かを見せてくる。

「.....これ。オートーべ動画」

「.....？」

オートーベというのはつまり某有名動画サイト。

そのスマホで見せられた動画を見ると。

飯場がチャンネルで何か喋っていた。

動画の内容は、♪私の好きなタイプ♪、という名目。

.....は？

『エヘヘ。これで視聴率も下がるかもしれません。でも私はこういうタイプが.....』

何考えてんのこの娘は？

俺は青ざめながら一葉を見る。

スマホの画面がブチ割れそうなぐらい強く握りしめていた。

あまりにお兄ちゃんの特徴が特徴的なんだけど.....気のせい？飯場ちゃんが好きだから.....登録していたんだけど、と言ってくる。

ニコッと笑みを浮かべて.....。

「.....き、気のせいじゃね？ahaha.....」

「.....ふーん。お兄ちゃん。私に嘘を吐いたらどうなるかは知っているかな？」

「.....」

「.....◯んこ無くなるよ？」

「ち○こ言うな！！！！！」

でも切るよ？マジに、と言ってくる一葉。

何この子！めっさ怖い！

俺は思いながら一葉を見る。

すると一葉は、まあ良いや、とスマホを仕舞う。

「.....お兄ちゃん。今から暇？.....まあ暇だよね？当たり前だけど暇だよね？」

「何度も言うのは.....何かあるのですか？」

「.....そう。ある。.....今から食材を買いに行くよ。スーパーに。どうせ買って無いでしょうし」

「帰って良いか？俺.....ちょっと疲れていて.....」

ふーーーーーん。お兄ちゃんは雪色さんとデートしたのに私には付き合ってくれないんだぁ、とジト目になる。

そして電話を掛けようとする。

そこには雪色の自宅の電話番号。

何をする気だ.....、と思ってから。

青ざめながら分かった！付き合う！、と言う。

「お兄ちゃんにエロい事をされたって言おうと思った」

「俺のメンツが壊されるからな？」

「エヘヘ。お兄ちゃん。それでこそ兄貴だよ♪」

そしてモジモジし始めてから。

俺の腕に自らの腕を絡ませてくる一葉。

何をしてんだ！？、と思いながら赤くなりながら一葉を見る。

一葉は笑顔を浮かべて、デート.....みたいだね、と言ってくる。

「.....エヘヘ。お兄ちゃん」

「.....な、何でしょうかね」

「.....」

「.....え？何か言ったか？」

小さく.....小さく。

何か言った気がしたが。

聞こえなかった。

俺は？？？を浮かべながら一葉を見る。

しかし一葉は、内緒、と言って教えてくれなかった。

そしてそのまままるで荷物の様に引っ張られて行く俺。