第8話 雪子の友人と予想外の展開

バレている。

俺はその言葉を受けながら心臓をドクンドクンと高鳴らせていた。

そして雪子を見る。

雪子は雪色と話していて時折俺を見ながらニコッとしていた。

その様子に心臓がまた高鳴る。


これでバレたらどうなってしまうのだろうか。

そんな事を考えながら。

俺は心臓をバクバクさせていた。

すると、あ。トイレに行って来ますね、と立ち上がる雪子。

それから俺と雪色を残す様にする。


「.....」


「.....」


えっと.....困ったな。

俺は思いながら雪色を見る。

雪色は俺に対してモジモジしながら赤くなって見ていた。

そして、その。えっと、と言いながら。

だが次の瞬間。


悲しげな顔になった。

俺は?を浮かべながら雪色を見る。

雪色は、えっと。その。.....雪子ちゃんとの会話を聞いたんだけど、と切り出した.....。

ま、まさか、と思いながら俺は青ざめる。

が次にこう言ってきた。


「.....途中からしか聞いてないけど.....何か.....雪子のお友達とデートするの?」


「.....ま、まあ.....」


何れにせよ大変な所を聞かれてしまっている。

俺は冷や汗を流しながら対応する。

えっと.....そういう事にはなったけど.....でも大丈夫だ、と。


適当にあしらっておけば相手もそこそこに諦めがつくだろう、と思い。

その.....そうするのは心苦しいが。

でも俺みたいな人間と付き合うぐらいなら他にも良い奴は居る筈だ。


「.....ねえ。遠矢。.....私.....は.....」


「.....?.....どうした」


「.....ほ、他の女の子と一緒なのは嫌」


「.....え?それはどういう意味だ」


「だ、だから.....その.....」


口をモニュモニュと動かす雪色。

そうしているとインターフォンが鳴った。

俺は!と思いながら雪色を見る。


雪色は、宅配便かな、と顔を上げる。

そして窓の外を見た.....時。

かなり驚いた表情をした。

俺も釣られて覗くと。


「.....え?あれってモデルの飯場花梨じゃないか?」


「飯場花梨(いいばかりん).....10代のモデル雑誌の有名な人だよね?相当有名だと思うけど」


「.....そうだな。.....え!?どういう事なんだ!?」


「そ、それは私が聞きたいかも」


外車が止まっている。

そしてそこから飯場花梨が降りている。

俺は!?と思いながら見ていると。


トイレに向かった筈の雪子が対応した。

ますます俺は!?と思いながら見ていると。

飯場花梨がこの家の中に入った。

そして上がって来る。


「.....え、え?」


「ええ.....?」


俺達はどうする事も出来ず。

そのまま固まっていると。

ドアが開いた。

それから飯場花梨と.....雪子が顔を見せる。

そのオーラはまさに芸能人だが.....。


容姿としては栗毛色の長髪。

そして顔立ちが小さくマジに美少女。

というか何を取っても美少女であって。


そして顔立ちは若干幼いがそれでも十分に大人染みている。

それからサングラスに。

モデルの様な服装をしている。


「ええ!?これってどういう事!?雪子!」


「私の友人だよ。お姉ちゃん。初めましてだけど。.....えっとね。何だか急に此処に来たいって言うから」


「初めまして。皆さん」


俺は愕然とその姿を見ていると。

飯場花梨は俺に対してニコッとしてサングラスを投げ捨てた。

そして持っているポシェットも投げ捨てる。

まるでゴミを打ち捨てる様に。

それから気がつくと俺に抱き付いていた.....ほ、ァ!?


「とーお兄ちゃん!久しぶり!!!!!」


「.....あ?!」


「.....!?」


「あらら。耐えられなくなったんだね」


どう言う事だぁ!!!!?

誰か説明してくれ!?

俺は思いながら頬擦りをしてくる飯場花梨を見る。

飯場花梨は俺を見上げて、間違いない!とーお兄ちゃんだ!私だよ!花梨!ね!?覚えているでしょ!?、と言ってくる。


「ちょ.....え!?」


「.....あ。でも記憶が無くなっているんだよね。.....じゃあ今から積み重ねていこうね。とーお兄ちゃん!」


「.....」


よく見ると雪色の顎が落ちている。

それどころか固まっていた。

俺はその姿を見ながら飯場花梨を見る。

か、花梨って!?

そもそも俺の記憶にこんな奴居ない.....って言うか!!!!?


「雪子の友人は有名モデルだったのか!?」


「そうです。話してなかったですかね?」


「話してないわ!この子が.....例の!?」


「そうです。デート相手.....あ。言っちゃった」


「.....!?」


俺は青ざめながらすりすりして来る飯場を引っぺがした。

それから飯場を見る。

間違いない。

病院でよく読んでいた雑誌の表紙の女の子だ。

飯場花梨はニコニコしながら俺を見てくる。


「.....とーお兄ちゃん。私ね。とーお兄ちゃんの為なら何でもするって決めたからね。お金10億ぐらいあるけど財産も全部あげるからね♪」


10.....は!?何言ってんのこの子!?

すると我慢の限界が来たのか。

雪色が立ち上がった。

それから、す、すいませんけど!私の.....遠矢にあまりすりすりしないで下さい!、と雪色は赤くなって言い出す。


「とーお兄ちゃんは私の恋人だし良いじゃないですか」


「.....こ、こい.....!?」


「何時から俺はお前の恋人になった!雪子!お前な説明しろ!」


するとニヤニヤと見ていた雪子は説明を始めた。

俺に向いてから飯場を見つつ、だ。

それから顎に手を添える。


「えっとですね。.....私はお姉ちゃんを色々な応援したいんです。でも私。友人の応援もしたいんです。.....だからその中間で応援したいんです」


「.....何の応援か分からんが.....まあそうなんだな!?」


「だから私はお姉ちゃんの身でもない。そして花梨ちゃんの身でもない。だから.....中間で応援させてもらいますね♪」


「.....」


その。

まな板だけど胸が当たっている。

この状況は.....かなりヤバい気がする。

思いながら俺は飯場を見る。

飯場はまたくっ付いて来てから笑顔を浮かべる。


「私ね。ちょっとこの後モデルのお仕事があるから。それが終わったら予定を空けてから.....とーお兄ちゃんとデートしたいかな」


「.....!?」


「それまでは雪.....何とかさんに任せるからね。うん」


「.....雪色ですけど.....」


雪色のオーラがかなり不愉快そうにドス黒くなっている。

ボルテージがMAXだ。

雪色と飯場の火花が散ってしまう。

俺は、誰か助けて、と思いながら.....。


記憶喪失擬きになってから何だかヤバいんですが、と思った。

そして飯場は本当に帰って行き。

嵐の様な感じは過ぎ去ってから.....改めて雪子と雪色に向いてから。

今後を話す事にした。

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