第6話:宇宙人が考えたさいきょうのおうちデートプラン【えっち編】
俺とエレクトはふたりでベッドに潜り込んでいた。
朝日が差し込む天窓の外からはチュンチュンと鳥の声が――
「聞こえるか!
『あややややや、お布団が~』
それ宇宙だと笑えるの? と突っ込んでいる場合じゃない。俺は思い切り叫んでやる。
「でっきるわけないだろうが!」
『うゆ~? ナニをですか~?』
「だからその、ええええええええええええええええええっちをだよ!」
一万回くらい噛んだ。
『あやややや! な、なんでですかあ~?』
なぜか泣きそうな声を出すエレクトに、俺は早口長文説明をしてやった。
「いいか? そもそもえっちというのは出遭ったばかりの(中略。合計2万字くらい)……だから、はあっ、はあっ……えっちはそんな気軽にしていいものじゃないんだよ、はあ、はあ……」
途中でばっさりカットされたが、俺の熱弁は伝わっただろうか?
乱れた呼吸を整えながらエレクトを見ると、彼女は笑顔を浮かべて言った。
『それじゃあえっちをしましょ~』
「1ミリも伝わってねえええええええええええ」
エレクトは布団を胸元までかけながら『うゆ~』と上目遣いを向けてくる。まったく。それも地球の参考資料で習ったのか? なんともけしからん。もっとやれ……とは今回ばかりはいかない! 麗らかな乙女が〝ごっこ〟で〝えっち〟をするなんて、そんなの性が乱れすぎている! 令和ってそういう時代じゃないぞ!
「だいたいだな! お前、えっちって何をする行為かちゃんと理解してるのか?」
『うゆ~?
思いのほか実利的な回答が返ってきた。
「そうじゃなくてだな。ほら、もっと――あるだろう!?」
『えっと~、お互いの
「あああああもういいもういい! ちゃんとお分かりになっていらっしゃった!」
みなまで言うな! と俺はぶんぶん顔の前で手を振り回した。
エレクトの方も恥ずかしそうに頬を真っ赤にしている。
『それじゃあ――お待ちしておりますね~』
彼女は布団を引っ張り上げて、羞恥を隠すようにベッドに潜り込んでしまった。
いや、照れを隠すというよりこれは……あれだな。いわゆる〝あたしはベッドで寝るから。アンタは床で転がって夜を越せばいいわ。い、言っとくけどナニカしてきたら承知しないんだからねっ!(ツンデレ式襲われ待ち)〟というやつか?
――つうか全然違うわ! 初手で『お待ちしてます』ゆうてはったわ!
「くうううううう……人の気もしれずに……!」
俺の中で天使と悪魔が囁く。『せっかくのチャンスですよ、波にのってしまいなさい』『そうだそうだ! 地球に帰ったらこんなチャンスないかもしれねえぜ?』くそ、葛藤の欠片もねえな! ふたりして全プッシュじゃねえか!
『うゆ~。私は今布団の中にひとりですよ~』
などとエレクトはひとりアピールをしてきたが、逆に他に誰かいたら怖いわ! 宇宙式の
「くそう……良い香りを漂わせやがって」
布団を上げた拍子に髪の毛がふわりと揺れて、俺の鼻孔に甘い女の子の香りが漂ってきた。
冷静に考えれば、思春期男子の本能が理性に勝てるわけがないのだ。
しかも相手は俺の好みだし! 触覚生えてるけど!
――あの触覚、実は性感帯で触ると『あややああんっ♡』とか嬌声上げて俺の中のフェチズム満たしてくれないかなあ。
などと、ほぼ99%本能に敗北した思考を巡らせていたところで。
視界の隅っこに――
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