第27話 アリス対シフターズ 決戦開始!

 「お前が女王か、そちらから来てくれるとは運が良い♪」


 太郎がアリスに対して微笑む、だがそれは獲物を見つけた笑みだ。


 「殿、敵の御大将自らお出ましとはありがたいですなあ♪」


 アカネも金棒を脇に構える。


 「ついに、この時が来ましたね大将♪」


 ウコンも熊手を上段に構える。


 「ブラックテイル、殺すべし!」


 チグサも殺意を解放した。


 「よう悪党♪ キジー達の前に出て来たな、決闘なら受けてやる♪」


 キジーも銃を構える。


 「まあ、皆が私の事を思て見てくれる♪ 嬉しいわ♪」


 アリスが太郎達を見て獣の如く微笑む、獲物を見つけたのはアリスも同じだった。


 「折角大物が来てくれたんだ、皆行くぞ♪ ブレイブシフトだ!」


 太郎が叫び皆が変身する。


 「天からこの世にやって来た♪ 白桃の変身勇者、シロシフター!」


  ほら貝を吹いてから一回転して、軍配を構えて名乗るシロシフター。


 「唸る剛腕、正義の金棒っ! 赤鬼の変身勇者、アカシフター!」

 

 陣太鼓を鳴らしてアカシフターが名乗り、太鼓が消えて金棒を八相に構える。


 「悪党成敗、殺すべし♪ 忍犬の変身勇者、アオシフター!」

 

 横笛を吹いて名乗るアオシフター、横笛が苦無に変化した。


 「電光石火で悪を討つ♪ 美猴の変身勇者、キシフター♪」


 鉦を叩いて名乗りを上げ、落雷と共に来た熊手を上段に構えるキシフター。

 

 「銃を撃つのは平和の為に♪ 雉の変身勇者、ミドシフタ―♪」

 

 三味線を鳴らしてから、銃を構えてミドシフタ―が名乗る。


 「我ら五人の変身勇者、異世界戦隊ブレイブシフターズ♪」


 シロシフターがチーム名を名乗れば、五人の背後で五色の爆発が起こる。


 「うふふ♪ 私、特等席で見てるのね♪ 素敵、じゃあ一緒に踊りましょう♪」


 「皆、気合い全開で挑むぞ! 勝負、勝負!」


 アリスが自分の影の中からトランプのスートの頭とカードの鎧を着た異形の兵士達を召喚してけしかけて来た!

 

 「ほう、トランプの兵隊の戦闘員とは不思議の国のアリスの怪人か!」


 シロシフターが仲間達と戦闘員を倒しながら叫ぶ。


 「その言い方。もしかしてあなたはヒーロー達のいる次元の地球人なの? 幹部達より物知りで面白い♪」


 アリスがシロシフターに向けて掌をかざす、その手から影の触手が現れてシロシフターに迫る!


 「グンバイスイングッ! なるほど、どこかの地球でヒーローに負けて侵略に失敗してこちらに来たという所か?」


 シロシフターがアリスの触手を打ち払い叫ぶ。


 「殿、我ら以外の女子と楽しそうに語り合わないで下さい!」


 アカシフターが戦闘員達を倒して、シロシフターを守りに来る。


 「そう言う空気じゃなさそうですけど、アカと気持ちは同じです!」


 アオシフターもやって来る。


 「つまり、大将のご同輩やご先達に負けてきた敗北者だと? メシウマです♪」


 キシフターも合流する。


 「ヒャッハ~♪ オーガシマなら、邪魔するヒーローがいないと思ったのか? 残念だな、キジー達がこの世界のヒーローだよ!」


 ミドシフターもやって来て集結するブレイブシフターズ、戦闘員達は皆倒された。


 「そうね、本当にヒーローってどこにでも邪魔しに来るのね♪」


 「当たり雨だ! 邪悪が禍を持って悲しみや苦しみを人々にもたらす時、それを退治する者も必ず現れる! 貴様の邪悪、ここで俺達が退治するっ!」


 シロシフターが叫び、シフトチェンジャーを振リ上げてアリスへと一騎打ちとばかりに飛び掛かり振り下ろす!


 「忌々しい正義のエネルギー、気に入らない!」


  アリスは何処からか取り出したロングソードで受け止める。


 「怪物を倒すヴォーパルの剣気取りか? お前の影から怪物の気配がするぞ?」


 「あなただって、仮面の下に真っ赤な顔の怪物がいるじゃない!」


 「俺の仲の力を怪物と見るのは、お前が邪悪だからだ♪」 


 アリスとシロシフターは言葉を交わしつつ、互いに武器を打ち合いの白兵戦をしながらアリスは自分の影から闇の触手を出して搦手を仕掛ける。


 シロシフターは、格闘しつつ相手の搦手に対してはこちらもマスクからモモビームや全身から黄金の炎を出して防御と異能のぶつけ合いを行った後に双方距離を取る。


 「殿、敵将との勝負で昂るのは良いのですが我らがいる事をお忘れなく」


 戻って来たシロシフターにアカシフターが言う、どこかアカシフターの声に嫉妬が来モテ知多。


 「そうですよご主人様? 私達は、皆で戦隊です!」


 アオシフターも仮面の下で頬を膨らませる。


 「皆で敵と向かい合いましょう! と言うか、私も戦いとはいえ大将に他の女と絡んで欲しくないです!」


 キシフターが本音を言う。


 「うん、ボスはキジ―達のだもん! あいつにはあげない!」


 ミドシフターもアリスを睨む。


 「あら良いわね? お友達がたくさんいてうらやましい♪」


 アリスがシロシフターと仲間達の関係を知らないのでからかう。


 「はっはっは♪ 我らは友程度の仲ではない、殿の妻である♪」


 アカシフターが笑う。


 「私達は、運命に導かれてご主人様と出会い結ばれました!」


 アオシフターも主張する。


 「そうでっす♪ 私達は大将に惚れ込んでここまで、そしてこれからも付いていくんです♪」


 キシフターも胸を張る。


 「キジー達はただの戦う仲間じゃない、夫婦で家族なんだよ♪」


 ミドシフターが、アリスに対してあっかんべ~をする。


 「……妻? 異世界でハーレムなの? 最低だわ!」


 アリスがシロシフターを睨んで叫ぶ。


 「知るか、俺達が決めた事だ! 仲間と繋がり、俺はこの第二の故郷オーガシマに根を張った! ここが俺の新たな故郷、俺が皆と愛して守り生きて行く世界だ♪」


 シロシフターが堂々と叫ぶ。


 「何て傲慢な輝き、意地悪でわがままな男の子は嫌いよこのいじめっ子!」


 「この世界を汚して人々を苦しめる、貴様の方がいじめっ子だ!」


 アリスの言葉にシロシフターが言い返す。


 「殿、ブレイブバズーカの下知を!」


 「ご主人様、問答は無用です!」


 「大将、決めましょう!」


 「ボス、お願い♪」


 「良し、ブレイブバズーカ! レインボーバスター!」


 素早くブレイブバズーカを完成させ、必殺の砲撃を繰り出すブレイブシフターズ。


 虹色の光の奔流はアリスに直撃し、爆発で土煙が上がった。


 「……やったか?」


 「大将、それは言っちゃいけない台詞!」


 シロシフターにキシフターがツッコむ。



 「……痛い、煙たい、こんな世界もういらない! 混沌の闇に沈めてやるわ!」


 煙の中からドレスが焦げて小破程度に傷ついたアリスが現れ、捨て台詞を吐いて姿を消す。


 「あれ? あいつ何か逃げちゃったよ、私達勝ったの?」


 ミドシフターが疑問を呟く。


 「ややっ! 大将、空に紫色の月が出ましたよ!」


 キシフターがそれを見て異変に気付いて叫ぶ。


 「ま、禍々しいです! あれ、白いお月さまも見えてますよ?」


 アオシフターが普通の月も見つける。


 「もしや、あれが探していた敵の城では? 殿、敵の出城が攻めて来ましたぞ!」


 アカシフターが紫の月を、詳細は知らずとも敵の本拠地だと感じ取った。


 「決まっている、大桃号で迎え撃つぞ! 皆、急いで牛車に乗り込め!」


 シロシフターが叫び、全員が牛車に乗り込む。


 するとステルスモードを解除した大桃号から、牽引ビームが放たれ超高速で牛車が引き寄せられた。


 「あんた達、どうやら大勝負みたいだね?」


 待機していたお園さんがブレイブシフターズに尋ねる。


 「ああ、これが最後の大勝負だ♪ 大勝利の大団円で決めて見せるぜ♪」


 シロシフターがサムズアップする。


 「お園さんは、大桃号で御見物下され♪」


 アカシフターが優しく告げる。


 「最後は、めでたし♪ めでたし♪ で飾ってきます♪」


 アオシフターも仮面の下で微笑む。


 「一番の特等席ですよ、お園さん♪ あ、キシフターの活躍はマシマシに盛って書いて下さいね♪」


 ちゃっかりと調子の良い事を言うキシフター。


 「大桃号の中から戦う様子は見られるから、安心して書いてね♪」


 ミドシフターが告げる。


 「あんた達なら、やってくれるのは信じてるよ♪ がんばってきな♪ 私も、座長として作家として後の世にずっと語り継がれていく物語になるように書くからね♪」


 お園さんが笑顔で答える。


 「それじゃあ皆の者、一世一代、荒唐無稽、天下御免大芝居の幕開けだ♪」


 「「お~~~っ♪」」


 シロシフターのコールに、お園さんも含めてレスポンスが返る。


 そして大桃号は、オーガシマの外である宇宙へとやって来た。


 宇宙空間で相対する、巨大な桃と紫の大玉。


 巨大な鬼の顔の形をした大陸が一つだけの青い星、オーガシマを守るべく異世界戦隊ブレイブシフターズの最後の巨大決戦が始まろうとしていた。


 巨大な桃、大桃号が真っ二つに割れて飛び出して来たのはダイシフター。


 更に牛車も巨大化して飛び出してきた。


 「行くぞ、全部合体♪ カンゼンダイシフトだ!」


 桃から生まれたダイシフターが、雄叫びを上げる。


 ダイシフト♪ ダイシフト♪ 完全無欠のダイシフト♪


 宇宙に響く大音声の祭囃子、カンゼンダイシフト音頭が流れ出す。


 最大まで巨大化したダイシフターに、割れた大桃号が武士の正装のかみしものように追加の肩当となる。


 次に巨大化した牛車から車と牛が分離して、牛は手足を縮めて巨大な牛頭となりダイシフターの胸部と合体して追加装甲となる。


 車も左右に分離して脚部の追加装甲へと合体した。


 「完成、カンゼンダイシフター♪」


 カンゼンダイシフターが見得を切る。


 すると、それを待ていたかのように紫の大玉も変化を始めた。


 巨大な翼と鋭い鉤爪を持つ紫色のドラゴンが、四つ這いから手足を伸ばして立ち上がり人とドラゴンの混ざった形態となる。


 そこに、アリスの居城が胴鎧となって装着され口を開けたドラゴンの中にはアリスの顔があった。

 

 「これが私の全力、ジャバウォックよ! 覚悟しなさい、いじめっ子!」


 ジャバウォックとなったアリスが叫けび、襲いかかった。


 「来たな、勝負だ♪ カンゼングンバイ、どりゃ~~~っ!」


 カンゼンダイシフターが、超巨大軍配を向かって来るジャバウォックに対してフルスイングで殴り飛ばす!


 カンゼンダイシフター対ジャバウォック、最後の決戦のゴングが鳴った!

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