第28話 アリス対シフターズ 決着!

 「あなた達もあの世界も、混沌の闇に沈んじゃえ!」


 「そんな事はさせん!」


 カンゼンダイシフターとジャバウォック、宇宙空間でバチバチと荒事を繰り広げる巨人と怪物。


 先手で軍配で殴ったカンゼンダイシフターに対して、ジャバウォックも鉤爪の生えた腕で殴り返す!


 「ぐはっ! やるな、だがまだまだ♪ キジテッポウ、射て~っ!」


 「オッケ~、ボス♪ ケンケンケーン!」


 カンゼンダイシフターの右足から黄金の炎を纏った弾丸が放たれる!


 「……がはっ! 嘘っ、私の体に傷がっ!」


 「はっはっは、見たか♪ 邪気を払う豆鉄砲だ、お前が邪悪なほど効くぞ♪」


 「馬鹿にするな~~~っ!」


 今度はジャバウォックが口から火炎を吐き出した。


 「目には目を、火には火を! アカオニファイアーだ!」


 「赤鬼の業火を喰らいなさいっ!」


 カンゼンダイシフターの右腕から火炎弾が発射され、両者の放った炎と炎がぶつかり合い爆発する!


 「……くっ、まさか私と互角の相手がいたなんて!」


 ジャバウォックは、カンゼンダイシフターに対して焦りを感じた。


 「互角、片腹痛いわ♪ 一人ぼっちのお前と俺達五人、勝つのは俺達だ♪」


 カンゼンダイシフターが自信を持って語る。


 「私一人だって、負けないっ!」


 ジャバウォックが怒りの叫びを上げ、纏っている城からミサイルを発射する!


 「私の出番ですね♪ モンキーロック!」


 キシフターが宣言し、巨大隕石を作って盾にした。


 ミサイルと隕石の盾がぶつかり合い、どちらも消滅する。


 「良し、反撃だ♪ アオ、頼む!」


 「かしこまりました♪ イヌ分身、流れ星キックです!」


 アオシフターが叫び、カンゼンダイシフターが無数の分身を作って全方位からジャバウォックに蹴りを叩き込んだ!


 最後の蹴りで、ジャバウォックを月まで蹴り飛ばしたカンゼンダイシフター。


 自分達も月へと向かい月面に降り立つ。


 「これがお月様、感動です♪」


 「オーガシマは青いね、ボス♪」


 「いや、二人ともまだ戦闘中!」


 アオとミドが憑きに来た事で感動してる中、二人にツッコむキシフター。


 「殿、奴はまだ生きております!」


 「その通りだアカ、焦熱地獄張り手だ!」


 ジャバウォックが土煙の中から伸ばしてきた腕に対して、カンゼンダイシフターは右腕を燃やして突き返す!


 「ぎゃあああっ!」


 ジャバウォックが悲鳴を上げ、燃えている腕を無事な腕で切り落とす!


 「やっと奴の腕一本落とせたか、まだまだ行くぞ!」


 カンゼンダイシフターが呟く、だがジャバウォックは失った腕を再生させた。


 「ちいっ、蜥蜴の化け物と言う所ですか!」


 アカシフターが残念がる、今度はジャバウォックが鋭い鉤爪で切りつけて来た!


 「させませんっ!」


 アオシフターが叫ぶと、カンゼンダイシフターの左足が蹴り上げられて犬の頭が敵の腕を噛んで受け止める。


 「良くやった、飛びつき腕ひしぎ!」


 そしてその流れに乗って、飛びつき腕ひしぎ十字を掛けるカンゼンダイシフター。


 「離してっ!」


 腕を振り回し、カンゼンダイシフターを投げ飛ばすジャバウォック。


 「ケンケーン♪ 落ちないよ♪」


 「ワンワン♪ くるっと大回転です♪」


 カンゼンダイシフターは空中で一回転して着地した。


 「猿も見惚れる身軽っぷり♪」


 「どうやら敵は格闘が不得手のようですね?」


 「学校とか言った事がないのだろう」


 好き勝手言いつつ、体勢を整え直すカンゼンダイシフター。


 「学校何て嫌いっ! いじめっ子も、口やかましいオールドミスも大嫌いっ!」


 ジャバウォックが怨念を込め、漆黒のブレスを吐き出す!


 「オニガワラシールド! ……ぐわっ!」


 巨大な鬼瓦の盾で防ぐも盾が弾き飛ばされ、自身も吹き飛ばされてゴロゴロと転がるカンゼンダイシフター。


 「……くそ、今までで一番威力が乗ってたな!」


 「殿の言葉が、あ奴の心に踏み込んだのでしょう」


 「……外の世界から来た、怨念の妖魔かなんかですかえあいつ?」


 「怨みならこちらも負けてません」


 「アオ、ああいう奴には怨みで戦ったらダメ!」


 「ミドの言う通りだ、良し良し皆良い子だ♪ 心を清めて戦うぞ♪」


 カンゼンダイシフターの意識空間で、仲間達の心を癒す言葉を発して宥めるシロシフター。


 「はあ、殿の甘いお言葉が心に染みまする♪」


 「はい♪ 気分が良くなりました♪」


 「疲れた心に効きます♪」


 「えへへ~♪ キジーも気持ちよくなって来た♪」


 シロシフターの言葉で、仲間達の心の疲れが取れた。


 「あなた、お気に入りの生徒だけ可愛がる男の先生みたいで嫌い!」


 カンゼンダイシフターの様子を見たジャバウォックが、怨念を強めた。


 「それがどうした♪ お前に嫌われても俺達は一向に構わん♪」


 堂々と言い返し、金棒を構えるカンゼンダイシフター。


 「然り、悪党の恨み言など知らぬっ!」


 アカシフターが叫ぶ。


 「哀れですね、何だか悲しい」


 アオシフターは、ジャバウォックを憐れんだ。


 「自分の不幸は、暴れて誰かを苦しめる言い訳になりませんよ!」


 自分も前科があるキシフターが叫ぶ。


 「お前が不幸なら、キジー達がぶっ飛ばして笑い飛ばす!」


 ミドシフターが闘志を燃やす、相手がどんな不遇な生を歩んでいたとしても許してはおけぬことがある。


 「貴様の悲しみや苦しみ、その命ごと退治して呪われた生から救ってやる!」


 シロシフターが宣言して、カンゼンダイシフターが突っ込む。


 「あなた達なんかに、憐れんでもらいたくない!」


 ジャバウォックは今度は全身から漆黒の闇を触手にして襲い掛かる。


 「あれが影なら行けるはず、クナイバインド乱れ打ち!」


 アオシフターが叫ぶと、カンゼンダイシフターの左足の犬の口から無数の苦無が発射されて襲い来る触手に刺さりその動きを止めた。


 「流石ですアオ♪ カナボウフルスイング!」


 アカシフターが叫び、カンゼンダイシフターの右腕が金棒を振りまわせば触手がバキバキと粉砕されて行った。


 「おおっ♪ 痺れますねえ、クマデ電光石火突きっ!」


 今度はキシフターの番だと、左腕に熊手を持ち換えて槍の如く突きまくる。


 「きゃ~~~っ!」


 疲れる度に電撃が流し込まれて、痛みに叫ぶジャバウォック。


 「お前らに苦しめれた皆はもっと痛かったんだ! キジミサイルッ!」


 お次はミドシフターが右足のキジの頭の口を開けて、ミサイルを発射する。


 ミサイルの直撃を受けてジャバウォックは、胸部の装甲が消滅した。


 「……くっ! あなた達なんかに、負けないっ!」


 「その負けん気を、なぜ自分の世界にいた時に出さなかった!」


 「出して戦ったら、私が悪者にされたあげくに閉じ込められた!」


 「貴様に味方する者は誰もいなかったのか! 友や家族はどうした?」


 「友達も家族も嘘つき、皆私の敵! 私はジャバウォックの力で全て壊した!」


 再び殴り合いになる、カンゼンダイシフターとジャバウォック。


 「このヴォーパルの剣で、私をいじめる怪物のあなたを倒す!」


 距離を取り、漆黒の刀身を持つロングソードを虚空から取り出して手に取り構えるジャバウォック。


 「ならばこちらも剣で勝負だ、ヤチオノオオタチッ!」


 敵が剣ならこちらもと、カンゼンダイシフターが刃に黄金の炎が灯る大太刀を召喚して大上段に構える。


 術理など関係なく、剣を振り回しながら襲い来るジャバウォック。


 対するカンゼンダイシフターは、呼気を吐き出し足裏から水流を噴出させて波に乗るように動き回り相手の攻撃を回避する。


 そして、タイミングと間合いをはかり駄々っ子のように暴れるジャバウォックの背後を取った!


 「哀れな怪物よ、生まれ変わって出直して来い! 勧善大成敗っ!」


 相手を弔うかのように呟き、大太刀を振り下ろすカンゼンダイシフター。


 その一刀で両断されたジャバウォックは、黄金の炎に焼かれて倒れた。


 「見てボス、何か光の玉が沢山天に昇って行くよ♪」


 黄金の炎に焼かれるジャバウォックの亡骸から、ミドシフターが言うように無数の光の玉が昇天して行った。


 「恐らく、あの怪物の犠牲となった魂でしょうか?」


 アカシフターが呟く。


 「蛍みたいですね、綺麗♪」


 アオシフターが感動する。


 「もしくは星ですかねえ? 何処へ行くのやら?」


 キシフターも干渉的に呟いた。


 「これで、ブラックテイルはやっつけたんだよねボス♪」


 ミドシフターが尋ねる。


 「ああ、俺達の大勝利だ♪ 行くぞ♪」


 シロシフターが答える。


 「「ブレイブ♪ ブレイブ♪ シフターズ♪ あ、大勝利~♪」」


 カンゼンダイシフターが、勝利の決め台詞を叫んだ。


 こうして、異世界戦隊ブレイブシフターズはブラックテイルとの戦いを勝利で飾ったのであった。


 「あの魂達が、今度は良い生を歩めるように生まれ変わらん事を」


 元巫女のアカシフターが祈る。


 「また悪い物になって、この世に帰って来れちゃたまりませんからね♪」


 キシフターが微笑む。


 「退治が終わればお弔いですね、ご主人様♪」


 アオシフターも穏やかな気持ちで魂を見送る。


 「キジー達が頑張ったもん、きっといい感じに生まれ変わるよ♪」


 ミドシフターも仮面の下は笑顔で昇天する魂を見送った。


 「あのアリスと言う子も、今度は良い人生を歩めますように」


 シロシフターは、昇天してい行く魂の中にアリスを見つけた気がした。

 

 天に昇って行く魂達に手を合わせて弔う、カンゼンダイシフター。


 戦いと敵の弔いを終えたカンゼンダイシフターは、分離して大桃号へと戻り変身を解いた。


 「あんた達、お帰り~♪ お疲れ様♪」


 大桃号の屋敷から甲板に、お園さんが出て来て五人を出迎えた。


 「お園さん、ただいま~♪」


 キジーがお園さんに抱き着く。


 「ただいま帰りました、見事に大勝利を決めて参りました♪」


 アカネがお園さんに微笑む。


 「後は、この戦いを物語にしてお芝居や読み聞かせで語り継ぐだけですね♪」


 チグサが微笑む。


 「いやあ、これはもう永遠に語り継がれる大傑作間違いなしですよ♪」


 ウコンが自画自賛する。


 「ただいま、お園さん♪」


 太郎も帰還を告げる。


 「うん、お帰り♪ そうだ、屋敷の居間にご馳走が出て来たよ♪」


 お園さんが皆に教える。


 「やった、祖母ちゃんや神様達からのご褒美だ♪」


 太郎がそれを聞いて喜ぶ。


 「これは、オーガシマを肴に大宴会ですな♪」


 アカネも笑う。


 「ひゃっは~♪ オーガシマに帰る前に大宴会ですよ~♪」


 ウコンも喜ぶ。


 「お月様の上でご飯、素敵です♪」


 チグサはうっとりする。


 「あれ? キジー達って、初めてオーガシマの外に出たんじゃない?」


 今頃キジ―が、この世界で初めて宇宙に出た事を実感する。


 「よっし、大勝利と初めて宇宙に出た快挙のお祝いだ~♪」


 太郎が叫び、仲間が応と答えて祝勝会が始まった。

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