第15話 トリは右足、全合体ダイシフター!

 「キジーがトリだね、キジだけに♪ ハッハッハ~♪」


 オーガシマにアメリカはないがアメリカンジョークを飛ばすキジー。


 「お主の術式は、お主の義両親が天国で組んでくれたものじゃ」


 ガンテツは、キジ―とは反対に神妙に彼女へとシフトチェンジャーを渡す。


 「リアリ~~ッ? 殺されたキジ―のパパとママ、天国へ行けたって事っ?」


 豆鉄砲を喰らったように驚くキジー。


 「ヤチヨが魂を引き上げての、天国で宿を営んでおる♪」


 ガンテツが笑顔で肯定した。


 「……ちょっと! キジ―、また涙が出て来たよ! パパ達の仇を討って、これからはずっと楽しく笑い飛ばして生きて行く予定だったのに~~っ!」


 キジ―がポロポロと涙を流して泣いた、ガンテツは静かに見守った。


 そこへ太郎が現れて、キジ―を優しく抱きしめた。


 「……ボス、タイミング良すぎるよ!」


 キジ―は太郎の胸で思い切り泣いた、太郎はキジ―の好きにさせた。


 「……うう、キジ―の顔がウコンみたいに真っ赤になっちゃったよ♪」


 キジ―が顔を赤くしてから太郎に微笑む。


 「キジー、良かったな♪」


 太郎も優しく微笑んだ。


 「うん♪ キジー、テンション上げて行くね? ブレイブシフト」


 キジ―が太郎から離れてミドシフターに変身する。


 「泣くのはおしまい、ここからはぶっ飛ばして行くよ♪ ロボシフト♪」


 ミドシフターがロボシフトする、その姿は二足歩行ができる鳥。


 ボディは金属質、胴と翼はと顔は緑色、足の爪と嘴は金となった。


 胴に機銃、両翼には飛び道具の発射口、尾羽の部分に変身アイテムであるダブルバレルピストル型のシフトチェンジャーが付いていた。


 「トリガーハッピー♪ 笑い飛ばして、ぶっ飛ばして行くよ~♪」


 ミドシフターが叫びながら羽ばたくと、空に向けて嘴からはビームを吐き両翼からミサイルを発射し尾羽から風圧弾を一斉射撃でぶっ放した。


 「私からの祝砲だよ、パパ♪ ママ♪ キジ―はこれから沢山、悪い奴やっつけてボスと子供を沢山作って育てて楽しく生きるよ、天国に行った時に二人に沢山お話しできる位ネタ集めして行くから待っていてね♪」


 天に首を向けて語るミドシフター、その声は何処か泣き声が混ざっていた。


 「ボス、ただいま♪ これから皆でうんと、悪い奴と悲しみをぶっ飛ばして世の中を笑い飛ばして生きて行くね♪」


 地上に降りて来たミドシフターが太郎に語る。


 「そうだね、一緒にやって行こう♪ 模擬戦とかはしなくて良いかな?」


 太郎がミドシフターの言葉を肯定してから、彼女に模擬戦は必要かと尋ねる。


 「キジーは大丈夫かな、試運転はバッチリだよ♪ それよりボス~♪ キジー、早く皆と合体したいよ♪」


 ミドシフターが太郎に全合体をせがむ。


 「そうか、じゃあ全員集合だ♪」


 太郎が明るく全員集合を宣言する、すると彼の元に仲間達が瞬時に現れた。


 「いよいよこの時が参りましたなあ♪」


 「ついに、皆で合体する時が来たんですね♪」


 「いや~♪ キジーちゃんもロボシフト修得、いよいよ合体ですね♪」


 「うん、キジ―も皆と合体するの楽しみだよ♪」


 「うん、俺も楽しみ♪ 変身してから合体するロボって、地球でもレアなケースだからさもう興奮して来た♪」


 集まった仲間達に、太郎が瞳を輝かせながらロボットについて語る。


 「それでは各々方♪ いざ、ブレイブシフトと参りましょう♪」


 アカネが太郎の話を切って、流れを変える。


 「「ブレイブシフト♪」」


 アカネの音頭で全員がブレイブシフトで変身した。


 「よ~~~し、皆ロボシフトだ♪」


 次はシロシフターが音頭を取る。


 「「ロボシフト♪」」


 そして、全員がロボシフトを完了した事で遂に五体のロボシフターが勢揃いした。


 「良し、それじゃあ皆♪ 合体ダイシフトだ♪」


 「「お~~~♪」」


 シロシフターのコールに仲間達がレスポンスする、そしてどこからか太鼓に笛に鉦にと景気の良い祭り囃子が鳴り響き出した。


 ダイシフト♪ ダイシフト♪ 皆で合体、ダイシフト♪


 「よっし来たっ♪ アカ、キ♪ 俺の腕になってくれ♪」


 シロシフターが仲間に頼み、ジャンプをしてから大の字になるように手足を開き巨大化する。


 「はい、かしこまりました~♪ 鬼の右腕みぎうで、力持ち~♪」


 アカシフターが巨大な右腕に変形して、シロシフターと合体する。


 「お任せ下さい♪ 猿の左腕さわんは、ムッキムキ~♪」


 キシフターも巨大な左腕に変形してシロシフターと合体する。


 「アオ、ミド、俺の足になってくれ♪」


 シロシフターが残りの仲間に頼む。


 「しっかり支えます、ご主人様♪ 犬は喜び左足~♪」


 アオシフターも変形して巨大化をして合体し、狛犬像のような姿勢で左足となる。


 「オッケ~、ボス~♪ キ~ジ~は右足、ケーンケーンパ~♪」


 最後のトリは雉だけにミドシフターが翼を後ろに畳み体育座りのような姿勢で右足に変形と巨大化をして合体の工程を完了させる。


 そして、最後にシロシフターの頭部のバイザーが左右に開き白き兜を被った赤き憤怒の面相の鬼神の顔が露わになった。


 「「完成♪ ダイシフター♪」」


 全員で叫び名乗りを上げると、法螺貝の音が鳴り響いた。


 今ここに、異世界戦隊ブレイブシフターズの巨大ロボットである天下御免の五色の巨人! その名もズバリ、ダイシフターが誕生した。


 ダイシフト♪ ダイシフター♪ 天下御免の巨大武者~♪


 囃し立てる歌が鳴り響く中、見得を切るダイシフター。


 誰が上げているのかはわからないが、ダイシフターの背後で花火が上がる。


 「おお♪ これがダイシフター♪、殿や皆と繋がっているのがわかります♪」


 右の肩アーマーとなったアカシフターの頭が叫ぶ。


 「良いですねえ、この皆との一体感♪ 寂しくない♪」


 左の肩アーマーとなったキシフターの頭も喋り出す。


 「私の頭が、左の膝ですね♪ 膝蹴りで噛み付いちゃいますよ♪」


 アオシフターがウキウキと物騒な事を言う。


 「キジーの頭は右の膝、口からミサイル発射するよ♪」


 ミドシフターが嘴を開いてミサイルを出して見せる。


 「これが俺達の新たな姿、ダイシフターか♪」


 シロシフターは感動していた、自分もついにロボを手に入れた。

 ここからが戦隊の新たな始まりだと、気を引き締めた。


 「さて、ヤチヨの奴から預かった式神を使うかの♪」


 距離を取ってダイシフターの完成を見ていたガンテツが、懐から紙の人形を出して空へと放り投げる。


 すると人形は巨大な黒い鎧を纏った鬼へと変化して、ダイシフターに襲い掛かった。


 「殿! 模擬戦ですぞ、お気を確かに!」


 アカシフターがシロシフターに向けて叫ぶ。


 「うお! いきなり出たな、キジミサイルだ♪」


 シロシフターが叫び、右膝のキジの頭が嘴を開いて緑色のミサイルを発射した!

 黒鬼はミサイルに反応し、側転で回避する。


 「甘いよ! キジミサイルは追尾式♪」


 ミドシフターが叫ぶと同時に、ミサイルが黒鬼の背中に着弾し爆発した!


 「こっちに来るなら、オニガワラシールドで押し返します!」


 アカシフターが叫べば、ダイシフターの右腕が巨大な鬼瓦の盾を持ち腕を伸ばして黒鬼を突き飛ばす。


 「流石はアカ♪ この距離なら、モンキーストレートでワンパンです♪」


 キシフターが叫べば、ダイシフターの左の拳が金色の岩のグローブを嵌めて左ストレートを叩き込み黒鬼を木っ端微塵に粉砕した。


 「よっしゃ♪ 私達の勝ちですよ皆さん♪」


 キシフターが調子に乗る。


 「まだです、お替りが出ました!」


 青が叫んだ通り、ダイシフターの前に新手の巨大黒鬼が刀を抜いて襲って来た!


 「行きますワン! ドッグファング!」


 アオシフターが叫び、ダイシフターの右膝を上げて振り下ろされた敵の刀を犬の牙で噛み付いて止めて刃を折る。


 「アオ、賢い♪ 今度はアカの火炎放射だ!」


 ダイシフターの右肩、アカシフターの頭が口を開けて超高温の火炎放射で黒鬼を焼き尽くす。


 「これで二体目♪ だけど、今度は新手が三匹出たよ!」


 ミドシフターが叫んだ通り、今度は三体の巨大黒鬼が同時に出現する。

 三体の巨大黒鬼は、三方向から飛びかかってダイシフターへと迫った!


 「俺の雄叫びを喰らえ、ダイシャウト~~~~ッ!」


 コアとなっているシロシフターの頭部が口を開けて、振動波を放てば黒鬼達はその衝撃に突き飛ばされて地面に転がった。


 「よし、止めだ♪ ヤチヨオオタチ~~~ッ!」


 ダイシフターが武器の名を叫ぶと、天に暗雲が立ち込め落雷と同時に巨大な金の鞘に納めれた大太刀が舞い降りてダイシフターの両手に握られる。


 そして、鞘から大太刀が抜かれると血の如く真紅の刀身が露わになった。


 「我らが前に立ちはだかりし悪鬼共! 正義の鬼神の刃を受けて見よ!」


 ダイシフターが口上を上げて、ヤチヨオオタチを大上段に構える。

 この時、何処からともとなく鼓の音が鳴り響いた!


 起き上がった巨大黒鬼達は、真紅の刃に驚愕する。


 「……ヤチヨオオタチ、大成敗っ!」


 真紅の刃に灯るは黄金の炎、大上段から横一文字に振るわれた一刀が三体の巨大黒鬼達の首と胴を泣き別れさせたのであった。


 「……これにて、一件落着!」


 ダイシフターが、ヤチヨオオタチを納刀すると同時に巨大黒鬼達は大爆発を起こして消滅する。


 これにて、模擬戦は終わり異空間の空に青空が広がった。


 「ふう、取り敢えず仮免合格って感じかな♪」


 元に戻った太郎が、異空間の崖の上に敷かれたシートの上で呟く。


 「殿、お疲れ様でした♪ 後は敵の首を取って見せよ、と言う事でしょうな♪」


 アカネが太郎に近づき、握り飯を差し出す。


 「ああ! アカネ先輩ずるいです、大将~♪ おかずの黒豆ですよ~♪」


 ウコンも太郎に黒豆を持て近づく。


 「キジーはボスに、出汁巻き卵を上げるよ~♪」


 キジ―も太郎の所にやって来た。


 「うお! 皆ありがとう、いただきます♪」


 仲間達から差し出された食べ物を食べて行く太郎。


 「……うん、どれも美味い♪ 空も青いし皆がいる♪ あっはっは♪」


 太郎が元気に笑い出した。


 「皆で笑い合えるって、素敵ですね♪」


 チグサが太郎にお茶を差し出すと、太郎は受け取って飲んだ。


 「楽しい、美味しい、最高♪」


 ウコンもはしゃぐ。


 「パパ、ママ♪ キジ―は今はこんな皆と暮らしてるよ♪」


 キジ―は空に向かて呟いた。


 全員がロボシフトの術を身に付けて、合体ロボットのダイシフターになった我らが異世界戦隊ブレイブシフターズ。


 しばしの休息を経た後、彼らの旅がまた始まるのであった。

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