第13話 犬は左足! 青のロボシフト!
「いよいよ私の番ですね♪」
自分の出番が来たチグサが喜ぶ。
「チグサ、宜しく♪ 遂に三体合体か♪」
仲間達と合体できるのが嬉しい太郎。
「チグサ殿は、どの部位となるのかが気になりますな?」
アカネは右腕は譲らないという意気込みだった。
「心配せんでも部位の変動とか無いわい、一度作った術式の組み換えとか神でも行うのは面倒な仕事なんじゃ!」
ガンテツが、チグサのシフトチェンジャーにロボシフトの術式をインストールし終えてから告げる。
「ご恩に報いる為にも、ブラックテイルは打倒します!』
チグサが瞳に黒い炎を灯す。
「殊勝な心掛けじゃが、お主はその憎しみの重さが不安じゃな?」
チグサの敵への憎悪を、ガンテツは危惧した。
アカネは太郎への愛が重い、チグサは敵への憎しみが重い。
「重さも大事だから、俺達で補えば良い♪」
太郎は前向きな事を言う。
「まあ、お主らならどうにかできるじゃろう」
ガンテツは、少々不安であったが指をパチンと鳴らす。
次の瞬間、太郎達は見知らぬ海岸にいた。
「……おお、これが海ですか♪ 初めて実物を見ました♪」
アカネが海を見て感動する。
「私も、初めて海を見ました♪」
チグサも海を見て感動した。
「……海か、ウコンやキジ―も連れて皆で泳いだりしたくなってくるな♪」
太郎が海を見て仲間達の水着姿を想像する。
「遊ぶなら後で遊ばせてやる、だがその前に修行じゃ!」
ガンテツが咳払いをして、修行の開始を宣言する。
「よし、やる気が出て来た♪ ブレイブシフト♪」
太郎がシロシフターに変わる。
「太郎様と海遊び、何と素晴らしい♪ ブレイブシフト♪」
アカネもアカシフターに変身する。
「ご主人様と、過ごす海♪ ブレイブシフト♪」
チグサもアオシフターに変身した。
「お主ら、浮かれすぎじゃ」
ガンテツは呆れたが、憎しみの気持ちより海遊びをしたいと言う気持ちの方が健全で良かろうと思い放置した。
「……行きます、ロボシフト!」
まずは修行のメインである、アオシフターからロボシフト。
全体的なボディのベースは、エジプトのアヌビス神のような犬頭人型。
顔にはゴーグル状のバイザーが付いている。
胴体は砂時計体形で胸にシャチの頭のような形のアーマーを纏い、背中には二つのタービンを背負っている。
手足のアーマーには、背びれのようなブレードが付いていた。
「これが私の、ロボシフト! え? 私、犬なのにシャチになってます!」
アオシフターは自分の追加要素に混乱した。
「おお! いかにもこの部隊に相応しい姿ですな♪」
アカシフターがアオシフターを褒める。
「アオ! その姿は格好良いよ、水に強そう♪」
シロシフターも、アオシフターを褒めて意識を戻そうとする。
「……え、格好良い? そ、そうなのかしら♪」
アオシフターは、仲間の声に意識を取り戻した。
「アカさん、ご主人様、大丈夫です♪ 犬も、シャチも私だから♪」
アオシフターがそう言うと、ゴーグルの下の目が黄色く輝いた。
「おお、アオがやる気に♪ これは燃えますな、殿♪」
アカシフターが、オニガワラシールドと金棒で砲台を作る。
「アオ、全力で来てくれ♪」
シロシフターがアオシフターに叫ぶ。
「行きます、ワオーン!」
アオシフターが、スフィンクスのように四つ足で身を伏せて変形する。
「凄い、変形した!」
シロシフターが驚く!
そして、アオシフターはタービンを回してホバークラフトの如く突進して来た!
アカシフターが撃って来た火の玉を、ジグザグ運動で回避しながら近づき白と赤の二体のロボシフターを弾き飛ばす!
「な、何と言う素早さか!」
「もしや、水陸両用?」
驚きつつ体勢を立て直した、シロシフターとアカシフター。
だがそこへ、アオシフターの口から魚雷が発射された!
「ふん、オニガワラシールドは砕けぬ!」
「あ、危なかった!」
アカシフターがオニガワラシールドでシロシフターを庇い、アオシフターの魚雷攻撃を防ぎ切った。
「良し、じゃあこっちからも行くぜグンバイトルネード!」
シロシフターが軍配を振るい竜巻を起こす!
だが、アオシフターも変形したまま超高速回転で竜巻を起こして相殺した。
「やりますな、カナボウダイナミック!」
アカシフターが、金色に輝く金棒を振りかぶって突進する!
「避け切ってみせます!」
アオシフターは、人型に戻るとバック転でアカシフターの攻撃を躱して海へ入る。
「海へ入られたか、なら合体して追いかけよう!」
「敢えて相手の得意分野に飛び込む、良いですな♪」
アカシフターがシロシフターの右腕となり、炎を噴き出してロケットの如く飛んでアオシフターを追いかけて海へと突っ込んだ。
「……これが海の中ですか? アオは一体?」
「ヤバイ、何か光った! 緊急回避!」
シロシフターが命じて、アカシフターが鬼瓦からガスを噴き出し推進力を出して飛来物を避ける。
シロシフターの背後で、爆発が発生した。
「流石ですなあ、如何いたしましょう?」
アカシフターがシロシフターに尋ねる。
「うん、アカはこのまま俺の推進装置になって」
シロシフターがそう指示を出した所に、回遊魚の如く突進してきたアオシフター!
シロシフターはガードするも、アオシフターに振り回されて投げ飛ばされた。
この模擬戦の結果、シロシフターとアカシフターの二体はアオシフターに負けてしまった。
「ぐぬぬ、負けてしまいました! 悔しいです、殿~っ!」
悔しがるアカネが太郎に抱き着く。
「うん、陸でも海でもスピードがヤバいね」
敗因を考える太郎、まだ分のある陸戦で勝負すべきだったと言う結論に至る。
「如何に足止めをして、攻撃を当てるかですな」
アカネも敗因を考えてみた。
「ほほう、まさか坊主達が負けるとは驚いたの?」
模擬戦の結果を見たガンテツが驚く。
「でも、次はどうなるかわからないです」
勝って兜の緒を締めるチグサ。
「そう言えば、ご主人様はアカネさんと最初は二人で修行したんですよね?」
チグサが太郎に尋ねる。
「ああ、そうだけど?」
太郎がチグサの意図がわからずに答える。
「でしたら、私と二人でお願いします♪ アカネさんだけ二人きりは狡いです♪」
チグサが太郎に要求した。
「むう、確かに我らに不公平はいかん! ここはチグサ殿にお譲りいたす!」
アカネが悔しそうに言った、太郎には拒否権はなかった。
そして今度は、シロシフターとアオシフターの二人で訓練となった。
「ワオーン♪ ご主人様、私に乗って下さいな♪」
ロボシフトしたアオシフターが変形し、シロシフターがその背に跨る。
「あれ? 何かしっかり来る! アオの首の後ろからハンドルが出て来た!」
シロシフターが驚く、先ほどの模擬戦でももしや乗れるのではと思ってはいた。
「ワオン♪ やっぱり、この姿は私がご主人様を背に乗せるための姿♪」
アオシフターが喜ぶ。
「いや、ちょっとアオさん何で喜んでるの?」
シロシフターはちょっとアオシフターが怖くなった。
「ご主人様、あのワルジーによって飼い犬と混ぜられた私には人であるチグサと犬であるシロの二つの心があるんです♪」
アオシフターが解説してくれた。
「……もしかして、俺を背に乗せたいって言うのはその犬のシロの方の気持ちがそうしたいって事か?」
アオシフターの言葉に思い至るシロシフター。
「はい、シロもあの時からご主人様の事が好きになってて♪ ロボシフトで大きくなれたからご主人様を背に乗せたいと♪」
アオシフターがロボット化しているから、顔の表情は変化しないが笑いながらシロシフターに答える。
「そうか、今までも一緒にいてくれたんだな♪ これからも宜しく♪」
シロシフターがアオシフターの頭を撫でる、するとアオシフターが急に猛スピードで砂浜の上を疾走しだした。
「ワオン♪ す、すみません! 私の中のシロの部分が喜んでしまってます!」
アオシフターがぐるぐると海岸を駆け回る。
「うお! よ~しよし♪ 海へゴーだ♪」
シロシフターが、アオシフターのハンドルを回して海の方へ移動する。
「うう、私がこう言う事に慣れてなくてすみません」
アオシフターが謝る。
「いや、気にしなくて良い♪ 航行は、水上と水中の両方できるのか?」
シロシフターが、自分のマスクに表示されたアオシフターの情報を読みながらアオシフターに答える。
「武装は、あの口からの魚雷と他には何かあるのかな?」
シロシフターが情報を調べていると、水中に小鬼のような怪物達が出現した。
「目標確認、シッポミサイル発射!」
アオシフターが叫ぶと、尻尾の部分からミサイルが発射され小鬼達を撃破した!
「……何か、凄い隠し玉を持ってたんだな?」
シロシフターがたじたじとなった。
「忍者の力を貰ったので、まだ色々とあります♪」
アオシフターがクスリと笑った。
「頼もしいな、じゃあ最後は俺もロボシフトして合体だ♪」
そして、ロボシフターとなったシロシフターとアオシフターが合体した。
「私は左足ですね、しっかりご主人様を支えます♪」
神社の狛犬像のような形で、犬の頭部分が膝に来て左足パーツとなって合体しているアオシフターが言う。
「ありがとう♪ しかし水中で良かった、地上だとバランス崩す形だなこれ?」
新たな自分の左足となったアオシフターを見て呟くシロシフター、右足の方が短くなっていて地上で試すのは難しい合体だと感じた。
「この合体って、私達皆が一つになれていう意味でしょうか?」
アオシフターが問いかける。
「ああ、今俺達がこうしているのは各々がそれを自覚しろって事だろう」
神々の遠回しな、お前らは支え合えと言う説教に納得するシロシフター。
「でも、良いと思います♪ 皆で一つになって支え合う、私達は戦う仲間だけでなく家族でもあるんですから♪」
アオシフターがしみじみと語る。
「そうだな、じゃあ最後はあの俺達位の怪物を倒そう♪ 苦無を出してくれ!」
シロシフターが叫ぶと、爪先となったアオシフターの前足から苦無が生えた。
新たに現れた鬼のような怪物が突っ込んで来る。
「よし、合体技だクナイサマーソルトスラッシュ!」
突っ込んで来る敵に対して、苦無を金色に輝かせて蹴り上げて両断する。
海岸に戻って分離した二人をガンテツが迎えた。
「ふむ、標的の式神はしっかり撃破したようじゃな♪」
ガンテツが微笑む。
「……く、私も一緒に戦いたかったです!」
戦いに参加していなかったアカネが悔しがった。
こうして白と赤と青が終わり残るロボシフトの修行は、黄色と緑の二人となった。
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