第7話
このレッドドラゴンの大きさ……翼を含めれば10メートルぐらいはありそうね……。
「こんな大きいの、4人で倒せるのかしら?」
「一旦、引くか?」
アレンにそう提案されるが、せっかくここまで来たから、簡単に逃げたくない。
「──やるだけ、やってみましょう!」
「分かった」
レッドドラゴンが大きく息を吸っている。もしかして火炎ブレス!? 私は「アイス・ウォールッ!」と、氷の壁を作った。
──私の読み通り、レッドドラゴンは火炎ブレスを放ってきた。氷の壁だったものはジュゥゥゥ……っと、音を立て、蒸気となって消えていく──思っていた以上にヤバそうね……。
「皆、見ての通り火力が凄いですので、焦らず攻撃しますわよ!」
「その方が良さそうだな」
「うん。私は相性が悪そうだから、サポートに回りますわ」
「承知しました」
私達はレッドドラゴンの様子を見ながら、攻撃の隙を窺う──だが素早く上空に逃げられたり、攻撃力の高い爪や尻尾に苦戦して、なかなか攻撃は出来なかった。
「王子様、大丈夫か?」
回復薬を飲んでいるエリック王子様にアレンはそう声を掛ける。
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」
「なぁ、メリル。撤退した方が良いんじゃないのか?」
「そうね……残念だけど──」と、私が言い掛けた時、武装した兵士達が近づいてくるのが見える。
「どうかしたのか?」と、アレンが声を掛けてきて、私は兵士たちを指さしながら「あれって……」と、返事をした。
「あれはッ! 我が国の兵士達だ!」
「そうですよね!?」
「メリルお嬢様! それだけじゃないみたいですよ」と、商人の青年が言うので、指さす方向に目を向ける。
傭兵? 良く分からないけど、武装した集団がこちらに向かって近づいて来ている。
「あいつ等……来てくれたのか」と、アレンが声を漏らしたので、どうやらアレンの仲間みたいだ。
──兵士達が到着し、リーダーらしき男がエリック王子様に近づき「エリック様、お待たせして申し訳ございません!」
「お前たち……何でここに? 任務はどうした?」
「任務より王子の命の方が大事です。いつも助けて頂いているので、恩を返しに来たのですよ!」
「ありがとう……敵は強大だが、皆が力を合わせれば倒せない相手ではないだろう! 行くぞッ!!」
エリック王子様がそう言って拳を突き上げると、兵士たちは「おぉ~!!」と返事をして拳を突き上げる。
そして先頭を走りだす王子様に続いて、一斉にレッドドラゴンに向かって走り出した──。
武装集団が到着し、先頭を歩いていたムキムキでスキンヘッドのいかつい男が私の前で立ち止まる。男は舐めまわすかのように私を見ながら「おぅおぅ、あんたがメリルか?」
「はい。そうですが、何ですの?」
「がっはっはっは。確かに堅物のアレンがデレデレして話すぐらいベッピンさんだな」
「まぁ!」
アレンは恥ずかしかったのか、男に近づくと「ちょ、ガランさんッ。止めてくださいよッ!」
「がっはっはっはっは」とガランさんは豪快に笑いながら、アレンの背中をバンバン叩き「そう照れるなって!」
「もう……そんな事より今、レッドドラゴンに手を焼いていて……倒すの手伝ってくれませんか?」
「おぅ! そのつもりで来たんだ。おい、行くぞッ!」
ガランさんの掛け声とともに、アレンと武装集団は動き出す──私もサポートするため、後に続いた──。
両方合わせて100人といった所でしょうか? アレンもエリック王子様、これだけの人数を集めてしまうなんて凄いですわ……きっと日ごろの行いが、よろしいのですね。
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