第913話 総助と弦馬を撃退と玉座の間奪還!
ノックスは、総助と弦馬の背後に一瞬で回り、双剣ではなく、大剣を取り出して弦馬を真っ二つに斬ろうと大剣を振り被って振り下ろす。
「フッハハハハ、やるな。まさか、お前の剣をこの身に受けるとは......」
弦馬は、ギリギリで躱して腕を斬り落とされるだけで済んだ。しかも、血が出ることもなく痛みすら感じていないようだ。
「これでも躱すのか。しかも、大剣に神力を纏わせても意味がないと......やはり、俺の考えは合ってたかもな。まぁ、確信が持てるまで何度もやってやるがな」
ノックスは、大剣を背中に背負い直し、双剣を構えて弦馬に迫る。だが、総助が目の前に割って入って来た。
「私も、混ぜてくださいよぉ。二人で遊ぶなんてズルいじゃないですかぁ」
「俺は、誰だろうと構わないぞ。お前も、同じ存在だろうからな」
ノックスは、大剣では見せることのなかった剣速で、総助を切り刻む。
「へぇ〜、この体を傷付けて、更に傷の治りが遅れますかぁ......それに、人間が神力を使う限界を......ですが、少々鬱陶しいですねぇ」
総助は、体を斬られ続けても全く動じていない。しかし、斬られ続けて、いい気持ちになるわけもなく、流石に鬱陶しくなり体から濃密な黒いモヤを出して、ノックスを襲う。
「ふぅ〜、危ないな。まだ足りないか。こりゃ、今日で死ぬかもな」
ノックスは、危険信号を察し、一気に神力を体内に流してスピードを上げて、総助達から距離を取った。しかし、まだ体が慣れていないので、最大の力を使うと、神力をあっさり使い果たして元に戻ってしまう。
「弦馬、聞いてた話と違うねぇ。これは、早々に殺さないと厄介になるよぉ」
「そうだな。ここまで強くなるとは思わなかったな。おっと、余計に面倒なやつが来たな」
ステッキと黒のハットが特徴のサンジェルマンが、弦馬と総助の後ろに現れた。そして、弦馬の中では、ノックスよりも面倒だと認識しているようだ。
「ふぅ〜ん。下等生物か。何故、魔神が下界にいるのかは不明だけど、ここで消滅させてあげる」
サンジェルマンは、ステッキを振りかざした。すると、どこからともなく、総助と弦馬の体に黒蟲が張り付いて、ルシファーの時と同じように体を黒く蝕んでいく。
「チッ、面倒な能力だな。それに、支配力が強過ぎる。総助、コアを犠牲にするか?それとも、逃げるか?どうする?」
「この二人を相手に戦うのは意味がないねぇ。それに、分析されたら面倒だねぇ。この体を捨てよぉ」
総助の言葉に弦馬が頷くと、二人の体は、溶け始めて、最終的にはドロドロした黒い液体だけとなり、地面に落ちた。
「逃げ足だけは早い魔神だ。う〜ん?私も、本来の力にはほど遠い。早く、レオちゃんには強くなってもらわねば」
サンジェルマンは、黒い液体を眺めながら呟き、レオがいる場所に戻った。
ノックスは、力を使い果たしていたので、総助と弦馬が去ったことに胸を撫で下ろした。
◆
アレク達が、玉座の間に突入すると、王と大臣とハワード大将軍がいた。
「コルンよ、何故ここにおるのだ!?」
王は、牢にいるはずのコルンが現れたことに驚きを示した。リグリス連邦の兵士の人数が、足りていないせいで情報共有がなされていない。
「ジキタリスさん、手筈通りにお願い。俺は、大将軍とか抜かしてる男と戦うからさ」
「お気を付けください。では、早々に終わらせましょう」
ジキタリスは、一瞬で大臣と王の下に近付いた。だが、ハワードが行く手を阻もうとする。しかし、アレクが横から現れてハワードを蹴り飛ばした。
「あとは任せるよ。狂化強靭薬を飲むのは嫌だけど、久々に本気になろうかな」
アレクは、強化薬を飲んでハワードを吹き飛ばしたが、威力が足りないので、狂化強靭薬を飲んで一気にカタをつけようとする。
「ワシを蹴り飛ばしたのは、どこのどいつだ!許さん!許さんぞぉぉぉ」
「うるさいよ!そろそろ、俺達は国に帰りたいから終わらせるよ。それに、大将軍という割に弱いから名前負けしてるよ」
アレクは、ハワードに連撃を食らわせる。しかし、先程と違いハワードは、身体強化を使ったのか、ダメージを受けている様子はない。
「ガッハハハハ、お前こそ口だけではないか!弱過ぎる!弱過ぎる!ワシの一撃で沈めてやろうぞ」
ハワードは、同じみの振り被って大打撃を与えるパンチを繰り出してきた。この一撃で終わるだろうと思っていたハワードではあったが、アレクにあっさりと跳ね除けられて重い一撃を腹に受けて蹲る。
「それ以上動いたら、本当に死ぬよ」
「ぎざまぁぁぁ!ぐはぁ......」
アレクは、早々にケリを付けるために、神力を使って殴り飛ばした。ハワードも、身体強化で強化はしていたが、流石に耐えることは出来ずに倒れ込んだ。
そして、ジキタリスもアレクから貰った薬で、王と大臣を眠らせて、計画通りコルンが玉座に座るのだった。
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