第118話 アレクとアレク!そして再会!!
目の前に同じ顔の人間が現れて、思わず固まってしまう2人。次の言葉がなかなか発することが出来るにいると創造神が口を開く。
「本来なら会うのはまだまだ先だったのじゃが...とりあえず座るんじゃ。説明しようかのぅ」
そう言われて2人は、黙って席に座る。
創造神は、亜空間からお茶入りの湯呑と茶菓子を出して、もう一人のアレクの前に置く。
「まずは、お互いが誰ということじゃな。紛らわしいから、こっちのアレクを渉と呼ばせてもらうのぅ。アレクは、死んでここに来たのは覚えておるかのぅ?」
この空間にいるアレクに対して質問をする創造神。もう1人の現在生きているアレクを、紛らわしいので渉と呼ぶようにした。
「はい!僕は、ヨウスお兄様に殺されました。そして、気付いたらここに来ていました」
「そうじゃ。そして、それを見ていたアリーシャ...アレクの母親が息子の無念を晴らしたいが為に、異世界から渉を連れてきてアレクの体と渉の魂を結合させたんじゃよ。渉には、説明もなく我儘だけで転生をさせてしまいすまんかったのぅ...」
「創造神様、謝らないでください。俺は毎日楽しくやっていますし、バーナード家でアレクに起こった事には怒りを覚えていましたからね。色々ありましたが、アレクに転生出来てよかったですよ」
普通なら取り乱すような話だが、2人のアレクは真剣に話を聞いて頷いている。それを見た創造神は「ふぅ〜」と安堵の息を吐くのであった。
「2人共出来た人間じゃのぅ。普通なら怒るか?もっと問い詰めとるぞい。ワシは、2人に助けられたわい。そうじゃアレク、渉が見事にヨウスとの決闘に勝ち、バーナード家の不正は暴かれてディランは処刑。他の使用人なども鉱山奴隷となったようじゃ。しかしのぅ、以前話したルシファーの組織によってヨウスとチェスターは、鉱山奴隷から逃げ出したようじゃ。しかもヨウスは、魂を売りルシファーの組織に入ったようじゃな」
アレクは、知らされていなかった事実に驚きの色を隠せずにいた。渉も鉱山奴隷が逃げた事実とヨウスがルシファーの組織に入ったことを初めて知って驚く。
「僕が強ければ...いやそれよりも、渉さんありがとうございました。僕の代わりに色々無念を晴らしてくれて。でも悔しいな。僕もヨウスお兄様に一度は勝ちたかったです」
元々の体の持ち主であるアレクは、凄い綺麗な心の持ち主だったんだなと感じる渉。
「お礼を言うのはこっちだよ。アレクの体を貰えたから、今の楽しい毎日を送れているしね。こちらこそありがとう。それはそうと創造神様、鉱山奴隷が逃げてヨウスが組織に入ったって本当なのですか?」
「本当じゃよ。国が追っとるみたいじゃが、捕まえられておらんのぅ。場所を教えてやりたいんじゃが、干渉に当たってしまうからのぅ...教えられんすまんのじゃ...それとヨウスは、前と比べ物にならんくらい強くなっとるぞい。もし対峙する機会があったら十分気を付けるんじゃ」
またまた厄介事が舞い込みそうな予感に頭が痛くなりそうになる渉。
そんな話をしていると、ガチャとまたドアが開く。
「ただいま帰りましたよ。あらお客様...って何故貴方がここにいるのですか!!」
「え!?アリーシャ様ぁぁぁぁ」
渉を転生させた張本人でもあるアリーシャが帰ってきたようだ。
「ホッホッホッホ!今日は賑やかじゃな。ほれ、アリーシャも座わるんじゃ」
アリーシャも同じように椅子に座るが、なんだか落ち着きがないようだ。
「アリーシャ、罪悪感があるなら、自分の口から全て話して理解してもらうんじゃ」
「そうですね。渉さん、あの時は急に呼び寄せて、騙すような感じで転生させてしまってごめんなさい。本当にごめんなさい」
アリーシャは、顔を手で覆い大量の涙を流す。本当にずっと悩み、心にトゲが刺さっていたのだろう。
「俺は怒っていませんよ。転生させて頂いて感謝はすれど恨んだりはしていませんから泣き止んで下さい」
アリーシャは、その言葉を聞いて余計に泣き出して「ありがとうありがとう」とずっと言ってくる。それを見た3人は、顔を見合わせなんとも言えない顔になった後、笑い合うのだった。
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