第537話 フロア浄火
ひとつわかったことがあります。
ネア、ワーム系は某トラウマ事象により苦手ですが屍女とかは平気でしたからそこまでは意識していなかったんです。ええ。理解しました。『腐った死体』最悪!
ええ。
四足獣も爬虫類も水棲生物も……ヒトだったものの『腐った死体』は水っ気たっぷりで燃え難いし、変な煙出すし、苦痛なんてもうないらしく燃えながらでも噛みつこうと飛びかかってくるので本気の『浄火』でフロア焼き尽くしてアッファスお兄ちゃんに叱られました。ゆるく。
はい。
反省します。
でも、『清浄』で消失炎上しながら内臓(腐ってる)を撒き散らし噛んだり引っ掻いたりしようとしてくる敵性生物(魔物)は燃やし切るのが一番ですよね。
たまたま他にいた冒険者パーティの方(フロア全焼被害者)には簡易の着替えと適当に装備品を提供し、ドロップ品は好きに拾っていただいて構わないというあたりで話がつきましたよ。
アッファスお兄ちゃんはすごいんですよ。ガジェスくんもアッファスお兄ちゃんに尊敬の眼差しをおくっています。当然ですね。
私とエイルさんはパーティの人たちが安全区画で着替えている間安全区画のすぐ外で待機でした。確かにおっさんたちのあられもない姿を見たいかと言われれば……そうですね。チラッと付属物のない姿が見えたような気もしますが記憶から消去しておきたいと感じているのが答えでしょうか?
アッファスお兄ちゃんを若造呼びしてくるようなおっさんパーティでしたね。
傷も焼いて治したのにひどくないでしょうか?
これ呟いたら「結果的にだろう」とアッファスお兄ちゃんにたしなめられました。はい。反省しております。
まぁ、『浄火』で古傷も治癒可能だったのは驚きでした。確かにおっさんパーティの装備品が荷物袋も焼け落ちましたからね。あ、ステータスカードは無事だったそうですよ。
「あれ? 『浄火』で焼け落ちるって不浄物扱いですか?」
「そーなんじゃない? 清潔感はない方々だったし」
エイルさんも肯定しますね。なるほど。なっと……。
「二人とも失礼な話題をしない! 死霊系迷宮で綺麗なままとか無理筋だからな!」
ガジェスくんが飛んできてお叱りの言葉をくださいましたよ。
んー。
「あら、聞こえちゃった? 悪かったのかしら? ただのスキル考察よ」
「えーと、ごめんなさい」
傷つけるつもりはなかったんですよ?
「二人とも可愛いお嬢さんって外見なんだから、もうすこしだけ温厚に振る舞って」
え?
ガジェスくん、それはそれで私たちに失礼では?
褒めてませんよね?
「……そうね。弱者への配慮がなかったわね。できればとはいえ弱者は守るものですものね。配慮が足りなかった事実には謝罪してもいいわ。いい年した冒険者だと思ったけれど、実力は別ね」
エイルさん、火力高くありませんか?
「あまり人の来ない迷宮の氾濫対策してくださっているいい人たちでしょう?」
確か。
「あら。ネア。もちろん実力がなければ氾濫対策なんて無理。実力が足りないのにそんな場所に来るだなんて……あら。自殺の邪魔をしちゃったかしら?」
エイルさん、多分、あのおっさんパーティそんなんじゃないと思うんです。
「あんな感じの連中がひょろっとみなぞこの国の秘宝をとっていったんですもの。きっとこの迷宮のスキルギフトを活用してね」
あ、ただの八つ当たりですか。
実際のところ、むこう側に渡る海上ルートがないのでみなぞこの国で聞くのが実はネアの目的なのですが、エイルさん的にはご不満ですかね?
「エイルさん!」
ガジェスくんが安全区画を気にしつつエイルさんを嗜めようと必死ですね。
「お嬢さん、みなぞこの民か」
「水臣族よ」
おっさんのひとりが出てきましたね。
「ひとつ言わせてもらえば」
おお。おっさんの言い分ですね。
「フロアひとつ焼き尽くされたなら逃れようがないわ!」
えー。
不浄じゃなきゃ大丈夫では?
ゾンビと戦闘してると不浄からは逃れられないものだそうです。
あと、ゾンビは感染するそうなのですお礼を言われましたよ。ちょっとキツいことを言っているようなので怒られるのかと思っていたのでびっくりです。
ガジェスくんもびっくりしてました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます