第538話 おっさんずパーティ
おっさんパーティの人たちは別に私に怒ってはいなかったらしくほっと胸を撫で下ろすネアですよ。
あと、みなぞこの国の住人が地上の住人に対して辛辣なのは今に始まったことではないそうです。
この辺りでは何百年か前に人が『水臣族(みなぞこ)の宝物』を盗んで逃げた事は有名な話であり、その宝の価値をわからなかった当時の人々は特に探す水臣族を手伝わずその賊と宝をひっそり流したそうです。
その後、水臣族の『人』に友好的であったカイリュウが亡くなり、外海にいっさいの船が出れなくなったそうです。
迷宮で海産物は採れるでしょうが、外海を渡っての交流はなくなったとのことですよ。
あ。
この国には海むこうとの交流の痕跡が残っているんですね。
「別に『ヒト』が嫌いだった訳ではないけど、賊を逃した連中に好意を持つ事はないし、盗られた物を彼らが取り返してくれた訳でもないし、友好って片方だけの利益じゃダメでしょ。カイリュウが亡くなった情報は届いてなかったからすこしかなしいかな」
エイルさんの言葉におっさんパーティの人たちが「マジ水臣族長命だな。カイリュウが亡くなった伝説ってかなり昔……」と反応していましたよ。とるべき反応としてわからなくはないですがダメなヤツでは?
気にした風もないエイルさんとすこし雑談したところ、その亡くなったカイリュウも種族としては『水臣族』でエイルさんにとっては遠縁筋だそうです。
ついでに言えば『水臣族』は地上と水中では外見が違うそうです。
え。
「エイルさんも!?」
「そうよ」
あっさりでした。
エイルさんの真実の姿ってどんな姿なんでしょうか? ちょっぴり好奇心でわくわくしますよね。
「カイリュウはソトウミを渡ったつー外洋船よりでかかったつーぞ?」
おっさんのひとりがそんな情報を教えてくれますよ。仲間うちの人に「ガイヨウセンってなんだ?」とか言われていたのでおっさんパーティ内の知恵者枠かも知れませんね。
「外海の島にある迷宮に向かうためにかつては使用されていたって学都の歴史書に記載があったと思う」
ガジェスくんの解説によると帝国は帝国内の迷宮すべての入り口が学都にもあるので必須ではないために廃れていったものだそうですよ。
小型の魔導船は迷宮内で使用することがあるので錬金術師や魔道具師による造船業は盛んだそうですが。
リリーお姉ちゃんがアッファスお兄ちゃんに水空両用(水中は不可)の移動船を預けてくれているそうです。
リリーお姉ちゃん、どんだけ才能豊かなんですか?
感心されてアッファスお兄ちゃんが嬉しそうににこにこしてたので、ええ。ネアも嬉しいです。
ガジェスくんは興味から調べて知っていてアッファスお兄ちゃんはリリーお姉ちゃんが資料を散らかしていたから知っているそうです。リリーお姉ちゃんは散らかし上手ですし、自分ではある場所をわかっていますもんね。私はいつもの場所に置いたつもりでもすぐ物をなくし気味なのは黙っておきますね。
おっさんずパーティはネアが『浄火』しながら進むつもりであると聞いてついてくると宣言してきました。
「知ってます! 寄生ぷれいって言うんですよね。ね。アッファスお兄ちゃん」
納得して言い切った私におっさんずパーティとガジェスくん、アッファスお兄ちゃんが沈黙し、エイルさんが小さく鼻でわらいましたよ。
あれ?
違いましたか?
咳払いをひとつしたアッファスお兄ちゃんがおっさんたちに「道案内は期待しても?」と聞きおっさんたちが「五階層までなら」と返していましたよ。
あれ?
ネアの発言はなかったことになりましたか?
えー。
「まぁ、寄生プレイと言えるのかもね。どう考えてもエイルさん以外では戦闘力が足りなさ過ぎて」
ガジェスくんが苦笑いしながらこぼしますが、ガジェスくんは雑務をしながら見聞を深めてついでに戦力も鍛えているワケですから問題はないですよね?
え。
違いましたか?
あと、アッファスお兄ちゃんはちゃんと強いですよ。
勘違いはよくないです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます