第536話 情報収集
答えとしては潮風で装備品は傷むらしいです。
あと、死霊系迷宮は瘴気も高く、呪いの発生付着が多発するせいでも装備品は劣化するそうです。あと食材が傷みやすい。
そう聞いてゆるすまじって気分のネアです。
食べようとした物が呪われてるとかってひどいと思います。なまぬるい眼差しで「迷宮だからね」と言われました。
『環礁迷宮』用の装備を整える為に情報収集に抜かりのないアッファスお兄ちゃんですね。
「素人じゃあるまいし、基本装備をがっつりしてれば大丈夫でしょ?」
なんてエイルさんはカッコよく言い放ちますね。
「がっつり基礎装備を整えることができるのは資金面で潤沢かつ、迷宮体験が多くないと。ネアは身につけてるコートが汚れ落としできるとはいえ死体汁まみれになっても平気?」
え。
「イヤ!」
「だよね」
アッファスお兄ちゃん、なに気持ちの悪いこと言ってるんですか。きゅっとなりましたよ。きゅっと。
「じゃあ被害は最小に抑える為に現地のおすすめは把握しておこうね」
アッファスお兄ちゃんがにっこり笑って言い聞かせてきますよ。
くぅ、しかたありませんね。
「おすすめは他の迷宮に入り浸る。のハズね。ほとんど罰ゲーム扱い。それが『環礁迷宮』だったと思うけど」
エイルさんがつまらなさそうに教えてくれます。そして合流したガジェスくんに確認したところその通りでした。
それでいいんですか。環礁迷宮の迷宮核ぅ!
迷宮はヒトが入って魔力かきまぜてこそじゃないんですか?
聞いてみると別にエイルさんの国に行こうという人はそんなにいないそうです。
みなぞこの国なんてなんだか夢があると思うんですけど?
「魔力で呼吸確保する。つまり『生存』にかかる魔力を確保して行動する魔力を調整しなくちゃダメだから基本的に攻撃力行動力は下がるし、水中行動ってすぐ上下感覚も不安定になるから弱体化と言えるんだ。そりゃゲオルグ兄さんなら『水』のスキルギフトでうまくいくのかも知れないけど」
理由を述べるというか愚痴ですか? ガジェスくん。
水中行動を助けるアイテムとしてよくあるのが水中呼吸薬。水中呼吸薬は薬の効果時間中は水中だろうが地上だろうが呼吸できるようになる薬だそうです。なぜわざわざ地上というかと言えば粗悪品では水中呼吸できても地上呼吸ができなくなる薬だそうです。
碌でもない効果なんですがほんとうに、どこにそんな需要があるのですか?
あ。
気分悪いので考えませんとも。
水中呼吸薬はずぶ濡れになるそうなので避けたいところですね。装備傷みに繋がる案件でしょう。
あとは力を封入する必要のあるアクセサリーの類。
周囲に風の膜を張ることで呼吸可能になるというやつですね。
スキルで魔力を『風』に変換してアクセサリーに注ぐ使用法です。
つまり、変換性能によってはやたらと魔力を使うハメになりますね。水深による加圧とやらを耐える為にも魔力が必要になるそうです。
あれ?
魔道具も難有りでは?
「半水没エリアに海中行動が地上行動と同じ事になる魔道具やスキルギフトが見つかりやすいらしいよ。半水没エリアを攻略するのに必要だかららしい」
ガジェスくんが聞いてきたことを教えてくれます。
つまり、迷宮破壊を警戒しつつ、スキルギフトを与えて魔力を調整していってるわけですか。ヒトの住むあたりに入り口が近接しているということは間引きの必要性を突きつけているんですし。
氾濫で出てくるのはまず屍であるので定期討伐や間引きを目的とした国外冒険者への斡旋依頼があるということですね。
半水没エリアの先に行った冒険者は少ないそうです。
……腐った魚が泳いでいる水没エリアを泳ぐのはかなりイヤですよね。
海はいろんなものを内包していると思うんですが、……あ。そうですね。
半水没エリアに着いたら広範囲に『清浄』かければ大丈夫なんじゃないですか?
よし。
これやってみよう。
ちょっと心がすっきりした気がしますよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます